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国際秘密警察 鍵の鍵

国際秘密警察員、北見次郎を主人公にしたシリーズ4作目。

ウディ・ アレンがデタラメな吹替をし「What's Up, Tiger Lily?」のタイトルで海外に出回った映画は、本作と「国際秘密警察 火薬の樽」を組み合わせて編集し直したもの。

今見ると、完全なセクハラオヤジにしか見えない主役だが、当時の日本で「007」を解釈するとこう云うイメージだったのだろう。

室内に設置された望遠鏡、電気ショックなど、「007 ロシアより愛をこめて」(1964)や「007 ゴールドフィンガー」(1965)等のアイデアをアレンジしたものが登場している。

本作での見所は、何といっても、颯爽とした青年ギャングを演ずる黒部進の姿と、その部下の一人を演ずる無気味な天本英世の存在。

黒部さんは「ウルトラマン」(1966)の前年で、「ウルトラQ」(1965)の「甘い蜜の恐怖」にゲスト出演なさっていた頃で、ちょっと日本人離れしたイケメン青年である。

口ひげを生やしたダンディな青年悪漢と言った役所で、主人公と組んで中丸さん演じる悪の組織に最後まで立ち向かう結構儲け役。

天本さんはペットとしてコブラを飼っており、いつかそのコブラが人間を喰う所を観たがっている異常性格者という役所。

電気を使った拷問等も喜んでするそのキャラクターは正に絶品。

北見と戦い壮絶な最期を遂げる。

若林映子さんと浜美枝さんといえば、まさに「007は二度死ぬ」(1967)でのボンドガールコンビだが、本作での共演の方が早かったとは意外な気がする。

特に若林映子さんは、後年、モデルになったと噂される「サンダーバード」のミンミンそっくりのチャイナ服姿や、入浴シーン(もちろん、吹き替え)もあり、お色気サービスも満点。

主人公の北見次郎の本作での見せ場といえば、「快傑黒頭巾」の大友柳太郎ばりの変装振りであろう。

なお、本作のタイトルには安岡力也の名も書かれており、どこかに出演していたはずなのだが、ハッキリと確認する事が出来なかった。

ゴーゴークラブで踊っていた半裸の男か?

シリーズの中では今観ても見所が多く、かなり出来が良い作品だと感じる。
▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼
1965年、東宝、安藤日出男脚本、谷口千吉監督作品。

SONYのトランジスタラジオを聞きながら、ビーチチェアでくつろいでいたトルコ帽のドルド(大木正司)は、隣で雑誌を顔にかけて寝ていたカペナム(春日章良)を起こす。

ジープで出発した2人は、トンワン王国の輸送トラックを襲撃する。

横転したトラックの運転席に乗っていた男を将校だと気付くいたドルドたちは、情報を知っているかも知らんと判断連行することにする。

トンワン王朝はモーア人に対し奴隷になるよう強いて来た歴史があった。

モーアの家や土地を奪い取った。 モーア人たちはテロ組織「闇」を作り、トンワン王国を血に染めてやると決意していた。

貨物船の甲板で、捕まえた将校を海に突き落とす処刑が行われる。

タイトル

トンワン王国の第7刑務所の壁の外に停まっていた車には2人の現地の男が乗っていた。

しかしその塀の角を挟んだ反対側には、外国人女性と国際秘密警察、北見次郎(三橋達也)がいちゃついていた。

その塀の内側からロープをかけ、塀の上によじ上って来た囚人は北見の車の方へ走って行ったので、下で待機していた男たちは、おい!車はこっちだ!と塀の上に呼びかけ、チェッ!余計な車が!と北見の車が反対側に停まっていることに気付く。

北見は外国人女性と車の中でキスをしていたが、その時、女性は北見のスーツのポケットからこっそり札を抜き出していた。

その時突然、塀の上から飛び下りて来た囚人が屋根に落下して来たので、北見は仰天するが、外国人女性は車から逃げ出し、代わりに運転席に乗り込んで来たのは脱獄して来た囚人だった。

布で顔を隠した囚人が勝手に車を走らせ始めたので、車から追出された格好の外国人女性に、金は払ったぜ!と呼びかけた北見は、運転していた囚人にこの屋根どうしてくれるんだ?とへこんだ車の屋根のことを聞くが、布顔の布を外した囚人が美人の女性だと気づくと、こいつは驚いた!と呟いたので、あんた日本人ね?とその囚人白蘭(若林映子)も驚き、とにかく御迎えご苦労さんと言うので、北見は自分が誰かと勘違いされていることに気付き、白蘭の方も自分を手引きした相手ではないらしいことに気付く。

急いで車を停め、逃げ出そうとした白蘭だったがドアが開かない。

それを見た北見は、ちょっと変わった車でね、俺の命令がないと開かないんだと言う。

結局、北見は、白蘭を自分が泊まっているホテルに連れ込むことに成功、白蘭はシャワーを浴び始める。

バスタオル姿でシャワールームに入った白蘭は通りに面した窓から外を見てカーテンを閉める。

まだか?と室内で北見が急かすと、まだよとシャワールームから声がするので、北見は鍵穴から中を覗くと、その気配に気付いた白蘭は泡を鍵穴に投げて来たので、ドアから目を離した北見の右目には鍵穴の形の泡が付着する。

北見は、白蘭がまだ出てきそうにないことを知ると、寝室へ向かい、壁から無線機を取り出すと、香港支部にいるジャクリーンからの定時通信を聞く。

良い精力剤があったら送ってくれなどとジャクリーンをからかい、アジア地区で何かスリルのある事件はないか?と尋ねるが、私を口説くことよとジャクリーンは言い返して来る。

無線を終えた北見の寝室に入って来たのは、シャワーをすませチャイナドレスに着替えた白蘭だったので、これが脱獄囚か!と北見が驚くと、何で独身男の部屋にこんな服があるの?と白蘭の方も呆れながら聞いて来る。

裸の上に直に着てると想像するだけでゾクゾクするなどと北見がにやけると、恋人は下着まで置いてるの?と白蘭もからかって来る。

脱獄の手引きをしてくれたのは誰か?と北見が聞くと、今朝これがポケットに入っていたのと白蘭はメモを取り出してみせる。

そこには今夜2時、車は西角で待つ…と書いてあった。

どうして私を脱獄させたんでしょうね?と白蘭が不思議がるので、君が必要だからさ、人にはないテクニックを持っているとか…と北見が推理すると、おかしな人、警察に突き出せば賞金がもらえたのに…と白蘭は北見に興味を持ったようだった。

すると北見は、僕にとっての賞金はこれ!と言いながら白蘭を抱きキスをする。

その時、ドアの外に気配を感じた北見は、ドアの下に敷いてあった小型のカーペットを思い切り引っ張るとドアを開ける。

ドアの外で様子を伺っていた男2人は足を取られバランスを崩していたので、あっさり殴り飛ばした北見だったが、側に見慣れぬ美人ミーチン(浜美枝)が立っていることに気づく。

思わずにやけて声をかけた北見だったが、背後から近づいた男に後頭部を殴られ気絶してしまう。

北見はトンワン王国の王宮で気がつく。 召使いが呼びに来たので、ここはどこだ?と聞くが、しーっ!と黙らせられる。

やがて、大広間に連れて来られ、そこにいた若い殿下から、北見、宜しく!と挨拶された北見は、呆然とするが、殿下がすぐに退室した後、重臣らしきスリタイ(中村哲)が近づいて来て、いきなり北見の頬にキスをして来る。

殿下のお言葉をかけられたあなたは幸運ですなどと笑顔で話しかけて来たスリタイは、奥地のムーアのこと知ってますか?彼らの反王政活動がバカにならんのですと言って来る。

彼らは横浜で手広く資金集めをしています。麻薬、武器売買、博打や売春などで…、その組織「闇」のメンバーの1人ゲゲン(中丸忠雄)がこれですと北見に写真を見せたスリタイは、あなたにはこの男の金庫を破って、彼らが貯め込んでいる1000万ドルを奪って欲しいのですと言う。

それを聞いた北見は、貧乏セールスマンが金庫破り?と驚くが、何故、無線機が寝室に隠してあるのです?国際秘密警察北見次郎君!引き受けてくれるだろうね?とスリタイは見つめて来る。

さらに、ゲゲンの屋敷と金庫の見取り図を北見に見せたスリタイは、ガードマンは20〜30人いるし、赤外線警報装置も付いている上に、金庫は三重の扉になっているとその警戒の厳しさを伝授する。

それを聞いた北見は、金庫破りのベテランを脱獄させたのはその為だな?と気付く。

廊下に出た北見の前に姿を現したトンワン王国秘密警察員ミーチンは、ゲゲン相手に白蘭と私たち3人でやりますと北見に告げる。

この美人はあなたの言うままに動きますよとスリタイが言うので、ベッドでも?と北見はにやけて聞き返す。

日本の横浜マリンタワーの展望台に来た北見は、先に付いているはずの白蘭から一向に連絡がないのはどう言うことか?ゲゲンの地下金庫を探っているんだな?と考え込んでいたが、側にいたミーチンは、妬けるから、あなたから離したのよなどと言いながら展望用の双眼鏡を覗き込むと、ゲゲンの船が来ているわと教える。

日本とトンワンの間で、武器や麻薬を運んでいるだけではなく絶好の仕事場にしているの、船で博打や売春をやっているのよとミーチンが言うので、なるほど…、外国船だからうかつに手を出せないと言う訳か…と北見も双眼鏡を覗き納得する。

港からランチで大勢の外国人客を停泊した貨物船に運んでいた。

貨物船の船内では大掛かりなギャンブルが行なわれていた。

そんな中、ルーレットで1人勝ちしていた蔡何青 (黒部進)は、御強いですな?と不振な目で言葉をかけて来たディーラー役のカペナムに、仕掛けが分かったんだと答えたので、仕掛け?とカペナムの顔が緊張する。

機械の癖が分かったと言うことさと蔡が言うので、どんな癖ですか?とカペナムが聞くと、君が一番知ってるはずさと蔡はいなす。

支配人室にいたゲゲン(中丸忠雄)は、じゃあ、その男が蔡何青だと言うのか?と仕掛けを見破った客の情報をカペナムから聞き緊張する。

いつもの手で様子を見るんだとゲゲンは指示を出す。

蔡は、自分のバッグに手にした札束を詰め帰りかけていたが、もうお帰りですか?ランチを待つまで柔らかいものでも…とカペナムが声をかけて来る。

柔らかいものね…と言いながらカペナムに付いて行くと、そこは甲板だったので、表は汚い貨物船と言う訳か…と蔡は苦笑する。

すると、ずらり並んだ船員室からチャイナドレスを来た女性たちが姿を現したので、なるほど、ちょっとした飾り窓だ…と言いながら、蔡は女性たちを見て回る。

そして、1人の女(北あけみ)の前に来た蔡は、どっかでお目にかかりましたね?と話しかける。

その手で知らない男に声をかけるのかい?しかも僕の所でにいた女を引っこ抜いてかね?とカペナスを皮肉った蔡は、顔見知りの女をビンタする。

そこに、やっぱり蔡何青か…と言葉をかけて来たのはゲゲンだった。

蔡は、持っていたバッグのチャックを引いて、横のレンズのような部分に止めると、そのまま海に向かって放り投げる。

命より金が大事と言う訳か…とゲゲンが苦笑すると、僕のシマで商売されたら上がったりだ…、この忠告を聞かなければ海が真っ赤に染まるだろうと蔡が脅すと、貴様の身体でな…とゲゲンは言い返す。

すると笑い出した蔡は、僕がそんな不用心な男だとでも思うのかね?バッグは部下が拾って行ったよと言い、今捨てたバッグを持った男がボートで港に向かう姿が見える。

あのバッグにはカメラが付いていて、チャックがスイッチになっているんだ、ゲゲンの現場写真は撮らせてもらった。

僕を殺せばバッグを警察に届けることになっているんだ、それでも良いのかね?と蔡が笑うので、貴様、まだ帰らんのか?とゲゲンが忌々しそうに聞くと、ごっそり稼がせてもらいたいからねと蔡は答える。

どう言う意味だ?とゲゲンが警戒すると、言葉通りの意味さ…と蔡は笑う。

タクシーに乗り、シルクホテルに向かいかけていた北見とミーチンだったが、運転手の稲川(堺左千夫)が油が切れたのでスタンドに寄りますと言いながら、後部座席の2人に銃を突きつけて来る。

キャバレー「ハーロン」 店内では外国人や海軍兵たちがゴーゴーを踊っていた。

上半身裸の男が派手に踊りまくっていた。 カウンターにドリンクをもらいに来た黒人は、バーテンの沼口(天本英世)が下を見てばかりで客に無関心なようなのを不思議がる。

沼口はカウンターの下でコブラを飼っていたのだった。

そう興奮するな、今、餌をやるから…とコブラに語りかけた沼口は生きたニワトリをぶら下げてみせる。

そこに戻って来た稲川は、おい、まだボスはまだ帰って来ないのか?とコブラを気味悪がりながらカウンターの中に入ると、床に仕込んであった双眼鏡を覗き込む。

双眼鏡は地下室の様子を監視するもので、並んで壁に繋いで来た北見とミーチンの姿を確認する。

北見はミーチンの方へ身体をずらしながら、今の君の手を握り愛撫したいんだよ…と囁きかけたので、見損なったわ、無線タクシーで連絡させるなんて…、ゲゲンは汚い男たちよとミーチンはバカにする。

すると、何か勘違いなさっているようですね?僕の名は蔡何青(サイ・カセイ)と自己紹介しながら、沼口と稲川を従えてやって来た蔡は、トンワン王国秘密警察員ミーチン!君たちから少し頂きたいものがあるんだと話しかけて来る。

すると、金庫の構造図だな?と北見があっさりバラしてしまったので、ミーチンは呆れる。

二枚目君、どうだね?素直に出してくれるとありがたいのだが…と蔡が言うので、御願いしてもムダだろうと北見が答えると、仕方ねえ、身体に聞こうと言いながら部屋の隅にあるむき出しの電線の前に行き、電流を通してみせる。

その手をここへ繋いでやろうか?それともこれか?と言いながら、日本の電線コードをバチバチ言わせながら近づいた沼口は、バーベキューだ!と脅す。

バーベキューなら小のは暗いもののウィスキーはどうです?と言いながら、北見の足下に酒をこぼした稲川は、それにマッチを落して燃やしてみせる。 痺れるようなジンだと稲川は笑うと、目がつぶれても知らないぜと言いながら、ジンを北見の顔に浴びせかけ、そこにもマッチの火を近づけて来る。

何にするの?とミーチンが聞くと、金庫破りさ、ゲゲンに縄張り荒らされているんだと蔡は答える。

お嬢さんの方から…と沼田が近づくと、待て!彼女のヘアピンの中だとあっさり北見は教え、その言葉通り、ミーチンのヘアピンブローチの中からマイクロフィルムが出て来る。

赤外線警報装置付き、ベルギー製のYQ8号型だ、特別なプロが必要だと北見が言うと、どこにいるんだ?と蔡が聞いて来る。

その前に自由にしてくれよ、俺たちは素手だぜと北見が頼むと、蔡は稲川に2人の手錠を外させる。

しかし、次の瞬間、稲川の銃を奪い構えると蔡も銃を構えていたので、これじゃ相打ちだろう?タイアップどうだい?と北見は銃を構えながら持ちかける。

ゲゲンは共通の敵だ、君らは腕を貸せ、頭は俺が出す、俺は1000万ドル奪ったら、後はそっちの勝手だと北見は提案する。

それを聞いた蔡は、トンワン国情報員としては裏切りだろう?と苦笑する。

するとミーチンが、国際秘密警察なら…とうっかり北見の正体を明かしてしまう。

引き金の引き方から本物らしい…と蔡が判断すると、北見次郎って言うんだ、今言った言葉は変わらない、どうするね?と北見が聞いて来たので、分かったと蔡は答える。

俺も同じさ、仕事となったらギャングとでも握手すると北見は笑う。

下着姿の女たちを品定めしたゲゲンは、良い女を揃えろとカペナムに命じる。

ギャラは最高!みっちり稼ぐんだな…と部屋を出て行く女たちにカペナムは言い聞かせるが、そんな中、1人だけ残った美女がいたので、お気に召したらしい、ボスの専属だ、えらい出世だぜとカペナムは笑いかける。

その美女こそ、先に日本に来ていた白蘭だった。

蔡の部屋の入り口で見張ったいた沼口に代わり、別の男が引き継ぐ。

部屋の中では、地下室より大分マシだ、まだ怒ってるのか?と北見が、ギャングとタイアップするなんて…、1000万を同じ穴の狢に渡すなんて!と怒っていたミーチンに聞いていた。

俺は昔から欲しいものは何でも手に入れる主義でね、君もだ!と北見が言っている所に蔡が入って来て、打ち合わせの支度が出来たと言って来る。 スライドを見ながら、ミーチン、説明してもらおうと蔡は命じる。

屋敷まで車で1時間、ドアには高圧電流が流れている。 ゲゲンは部屋からマイクロTVで外の様子を監視している。

入り口を入って長い廊下があり、これがその突き当たりのドア。

ドアの中がゲゲンの寝室らしいけど、私たちが調べられたのはここまで、金庫はきっとこの中よとミーチンは説明を終える。

その頃、その寝室のベッドから起き上がったゲゲンは、凄いテクニックだな、どこで学んだ?と白蘭を褒めていたが、御嫌い?と白蘭がベッドの上から聞くと、血のしたたるようなステーキを食べた感じだ、食後の酒と行こう…、君は何を飲む?とゲゲンは聞いて来る。

白蘭は、ゲゲンの寝室の壁に隠された武器類を見つける。

その時、犬の鳴き声が聞こえて来たので、何だ?誰か来たのか?とゲゲンは通信装置で子分に聞くが、ただの空鳴きですと言って来たので、警戒を緩めるなと指示する。

その間、ベッドから部屋の開いていた棚の奥の空間を見た白蘭は、その床に金庫の置いてあった痕だけが残っていたので、金庫の痕!ここにはない!と気付く。

金庫破りの女はどこだ?と蔡が聞くと、マイクロキーだろう?と言いながら、北見はミーチンのハンドバッグの秘密のアンテナを伸ばしてみせ、彼女がどこにいるか分かると蔡に教える。

その頃、白蘭は、胸に漬けたブローチをいじっていた。

その白蘭を乗せ、来るまで横浜港にやって来たゲゲンは、今日のギャンブルは凄いぞ、名残に見せてやると言うので、名残?と白蘭が聞くと、3肥後に船が出発する。

トンワンに連れて行ってやる、他の大事なものと一緒にな…とゲゲンは分かって教える。

ゲゲンの貨物船に乗り込んだ白蘭は、1人で船内を巡り、乗務員にバレないように隠れながら金庫の在処を探す。

船内にはネズミがいたので白蘭は怯える。

やがてエンジンルームにやって来た白蘭は、謎の扉を見つけ開いてみると、そこに金庫があることを発見する。

洗面室へやって来た白蘭は、水道の蛇口をひねり、水を流しながら、金庫はエンジンルーム!出帆は明後日、道具を持って来て下さい!とミーチンとの連絡用のブローチに話しかけていたが、いきなりカペナムに捕まり、何を話してた?と追求される。

その通信を聞いたミーチンは、今までの計画はご破算ね、船に乗り込むのは無理だわ…と落胆したので、北見は俺に付いて来いと、どこかで聞いたようなことを言い出す。

白蘭は水を使った拷問を受けていたが、通信の内容を吐かなかったので、消しましょうか?とドルドが聞くと、ゲゲンは後で考えると答える。

そんなゲゲンの貨物船の甲板には、いつの間にか「東和燻蒸会社」のどくろマーク入り立入禁止マークが立っていた。

口ひげをつけ変装した北見が、船員たちを集め、これから消毒する検疫官ですと自己紹介すると、先ほど連絡しました通り、全員下賤してもらうと言い渡す。

くどいようですが、船全体を密封し青酸ガスを使いますから、ネズミで10秒、人間でも2〜3分でころりと参りますと検疫官に化けた北見は説明しながら、心の中では、白蘭はどうしたんだ?と案じていた。

同じく燻蒸会社の人間に化けたミーチン、沼川、稲川たちはガスマスクをつけて顔を隠し、船内に潜入すると白蘭を探し始める。

北見が、まだ残っていた船員に全員降りましたか?と声を掛けると、後2〜3人残っていますと言う。

白蘭は気がついていたが、ドルドが、女はどうする?とカペナムに聞くと、ボスもイカしておくつもりはない、そうだろう?とカペナムは言うので、白蘭を船底に残して2人は船を降りることにする。

2人が甲板に上がって来ると、そこにいた北見が、あなた方で最期ですか?以前、船底に密航者がいてガスで死んだ事故があったんですが、そう云うことがあると我々の手落ちになりますと言うと、手伝ってやるぜとドルドは言い出し、北見が用意していた青酸ガスのボンベを開くと、勝手に船内に放り込む。 ガスが船内に蔓延し始めたので、北見も慌ててガスマスクをつける。

船底にいた白蘭は、ネズミが死んで落ちて来たのでガスが撒かれたことに気付く。

船内に入った北見は、白蘭!と呼びかけ探しまわる。 それに気付いた白蘭も、北見さん!と答えるが、それに気付いた北見が部屋をこじ開けようとぶつかってもドアは開かなかった。

ダメだ!今、ダイナマイト使うから下がってろ!と北見は中の白蘭に呼びかけるが、それを聞いた白蘭は、ここは船の底よ、こんな所でダイナマイト使ったら…と答えようとするが、身体が衰弱しているため相手に届かない。

そこにミーチンたちが近づいて来たので、お〜いここだ!と呼び寄せた北見は、ミーチンが持って来た道具箱を明け、その中に入っていたプラスチック爆弾をドアノブに付け、白蘭、下がってるんだ!と再度中に呼びかけ導火線に火を点ける。

一方、部屋の中では、爆発させまいと、白蘭が必死に針金を使ってドアの鍵穴を開けようとしていた。

やがてドアが中から開き、白蘭が転がり出て来たので、北見は慌てて導火線を引きちぎって爆発を止める。

白蘭!大丈夫!とミーチンも駆け寄る。

その際、ミーチンが落していたブローチ型通信機を拾う。

船上では、残ったのはあの女だけ、今頃、青酸ガスで…とドルドが笑ったので、ゲゲンは悔しそうな顔になる。

金庫の前にやって来た蔡は、時間がない、こいつもダイナマイトで爆破しようと提案するが、北見は、中の1000万も灰になるぜと言い聞かす。

白蘭は、電動ドリルで第一の扉の錠の周囲に穴を開けて行く。

ドルドたちは機関銃を持ち、車で移動していた。 錠の周囲に四角く穴を開けていた白蘭だったが、ここからはダイヤのドリルでないと…と言い出したので、そんなもの用意してないよと北見は焦る。

するとミーチンが先ほど拾っておいたブローチを差し出し、これでしょう?と白蘭に言う。

その中に仕込まれていたダイヤのドリルをつけ、最後の部分の穴を開け、扉の切り取り線が完成すると、錠の周囲の部分が四角く折れる。

そこから手を突っ込み、上のダイヤルを回すと、第一の扉が開く。

その奥には普通の数字合わせ錠の扉があったので、白蘭は数字錠を回そうとするが、先ほどの青酸ガスと拷問でめまいを起こし、涙も止まらないと言い出し、ガスマスクを取ろうとするので、頑張るんだとそれを留めた北見はガスマスクを外したら大変なことになると指摘する。

ゲゲンや機関銃を持ったドルドたちがランチで貨物船に戻って来る。

ダイヤル錠を回そうとしながら時間を食うので、目か?目が見えないのか?俺が目になってやると言うと、白蘭の手に自分の手を添え、これが10だと言いながらダイヤルを回して見せ、これが20だ、これが30だ…と回す感覚を白蘭に伝える。

それを覚え込んだ白蘭は、左20まで2回、右へ40まで4回、右へ90まで一回…と北見に伝える。

その指示通りにダイヤル錠を回すと金庫が開くが、中に入っていたのは札束ではなく、ただの紙テープだけだった。

そのテープを取り出してみた蔡は、一時逃れの芝居をしたな!人間死ぬときくらい、本当のことをしゃべったらどうだ!と怒り出すが、そのテープを確認した北見は、これは暗号だぜと指摘する。

値打ちのない物を金庫に入れるか?ただの紙っぺらを、奴らは何で国へ持って帰るんだ?と北見は言う。

その時、ゲゲンやドルドたちが貨物船に到着する。

ここは船だ、奴らは袋のネズミも同然だ!とゲゲンは笑い、部屋を一つずつ開けて見ろ!お互いマスクをしているから仲間撃ちするな!と子分たちに言い聞かせると、最期には甲板に出て来る、それを俺が引き受ける、行け!と命じる。

船底にいた北見たちに、ゲゲンが来た!と稲川が知らせに来る。

甲板では、どっから飛び出しても良いな?とゲゲンが聞き、どっちかのタラップを取り降りますぜとドルドが答えていた。

船内に入って来たゲゲンの子分あっちは、通路に置いてあった道具箱に気付くが、側に隠れていた北見が飛び出し殴りつける。

ガスマスクをかぶった2人を両脇に抱えた男が甲板に戻って来たので、やられたのか?とゲゲンが聞くと、真ん中で支えていた稲川が、マスクが壊れていたのでガスを吸ったようですと子分に化けて答えると。

使えない奴は運び出せ!とゲゲンは命じる。

それに頷き、3人が船を降りようとしたので、待て!見慣れない顔だな?新入りか?とゲゲンは呼び止める。

その時、3人の1人蔡が撃って来たので、おのれ!とゲゲンは叫び応戦する。

船内では、口ひげをつけ、また検疫官に化けた北見がガスマスクをかぶり、甲板に出て来る。

するとドルドが、ヒゲの親父め!と言いながら飛びかかって来る。

北見は、蔡と言う人の依頼を受けて来たのよととぼけながら、蔡と共に海に飛び込む。

ゴーゴークラブ「ハーロン」の自室に戻って来た蔡は、紙テープに開いた穴を読み、A×23?B×8…、これがどう言う暗号なんだ!と苛立っていた。

1000万に匹敵する値打ちがあるんだろうと北見は言い、確かめてみたら?トンワン丸さ、船は明日出航なんだろう?それが貴重なものなら出るに出られないはずだと指摘する。

船ではゲゲンが、奴らに取っては紙くずでも、こっちにとっちゃ…と悩んでいた。

電話を受けた稲川は、ボス!トンワン丸の明日の出帆は延期になったそうですと蔡に知らせる。

それを聞いた北見は、取引だな…、値段は君の腕次第だな…と呟く。

ゲゲンに電話を入れた蔡が取引のこと切り出すと、良し、考えようとゲゲンは言うが、電話を切った蔡は北見に、テープを買いたいと言って来たと伝える。

北見は、もし俺に行動の自由をくれたら、国際秘密警察が持っている暗号解読機にかけてみるんだが…と切り出す。

「コープオリンピア」と言うビルの中に入って来た北見と蔡は、貸金庫のようになっている一室に2人だけで入る。

そこには暗号解読機が置かれており、北見はさっそく、キーボードで、A×23、B×8、C×12、D×21…とテープに書いてあるアルファベットと数字を打ち込んで行く。

すると、1〜0まである数字ランプの「8」が光ったので、8通りの文章が出ると言うことだと蔡に教え、翻訳機の別のスイッチを押すと、パンチ穴の空いた紙テープが出て来る。

それを読んだ北見は、これは違うな、これも違う、これでもないな…と、次々と出て来る文章を読んで行き、やがて、待てよ?これは臭いな…と1つの文章のテープをちぎると、翻訳してみようと言う。

それを読んでみた蔡は、先月分の電気代、暖房費の節約で半分になる…と書いてあったので、これが暗号だと言うのか?また騙したら消されるってこと忘れるな!と睨んで来る。

俺をそんな男だと思うか?丸腰だぜと北見が言うと、信用しようと蔡は折れる。

北見は自分のズボンのベルトの裏から、所々穴の空いた黒く長い物差しのようなものを取り出す。

それを問題の文章のテープの上に重ね、穴の空いた所の文字を拾って行くと、武器弾薬の取引契約料1000万ドルと読めた。

分かったよ、お礼はする、欲しいものがあるかね?と蔡は聞いて来る。

蔡は最期ゲゲンに電話を入れ、取引場所はトンワン丸船上、時間は午前4時、1対1だ、金額は100万ドルだ、高くはないだろう?俺にとってはただの紙だが、君に取っては1000万の値打ちがあるんだろう?と持ちかける。

地下室へ戻って来た蔡は、このテープを売り払うことにしたと言うが、ミーチン、白蘭とともに、椅子に縛り付けられていた北見は、これがお礼かね?と憮然として聞く。

生かしておいては、こっちがこの横浜で生きていられないからねと答えた蔡は、僕は血を見るのが嫌なんだ…、セメントで固めて、夜海に静めるんだと言いながら、稲川がドラム缶に水を貯めているのを見る。

そして、こいつの趣味はコブラなんだ、遊んでもらうんだね、じゃあ僕は失礼するよと言い残し、蔡が去ろうとするので、腹も立たんさ、獣と思えば…と北見が悪態をくと、その言葉を聞き引き返して来た蔡は鞭で北見の顔を殴りつける。

北見の口は斬れて血まみれになる。

蔡が去ると、残っていた沼口は、こいつは女と聞くと頭に来るようだね、出口開けてやるぞ…と言いながら、コブラの籠の出口を開ける。

そして、このメガネでゆっくり見物させてもらえるな…と、上の店のカウンターと通じている望遠鏡を指して言うと、部屋を後にする。

店のカウンターに戻って来た沼口は、望遠鏡を覗き始める。

ミーチンと白蘭が、足下に近づいて来るコブラを怖がっている頃、蔡はトンワン丸に単身乗り込んでいた。

そこで待っていたゲゲンに、金は用意したろうな?と声を掛けると、テープは持って来たろうな?とゲゲンも聞いて来たので、これだと蔡は紙テープを差し出してみせる。

ところが、ゲゲンの周囲に隠れていた子分たちが銃を持って出て来たので、1対1の約束が違うようだね?と蔡は慌てた風もなく煙草を口にして聞く。

俺の身体に触れるなよ、このテープには青麟が塗ってあるぜ、あっという間に消えるぜ?水入らずの取引はそれからだ…と言いながら、蔡は火の点いた煙草をテープに近づけてみせる。

地下室では、白蘭が近づくコブラに悲鳴を上げていた。

その時、白蘭の服から1本の針金が床に落ちたのに気付いた北見は、左足を伸ばして、その針金を自分の方へたぐり寄せようとする。

すると、コブラはその北見の方へ近づいて来る。

それでも北見は慌てず、針金をたぐり寄せようとする。

そうした地下室内の様子を、上のカウンターから沼口は望遠鏡で見ていた。

次の瞬間、沼口は銃を持って地下室へ降りて行く。

その間も北見は針金を自分の方へ寄せていた。

地下室に銃を構えた沼田がやって来て、部屋の隅のむき出しの電線にコブラが引っかかり焼け死んでいるのを見る。

北見が靴で蹴飛ばしたのだった。

怒った沼田は、お前たちも同じやり方で殺してやる!と言うと、2本の電線コードを持って北見に近づいて来ると、両方の耳に突っ込んでやろうか?目を潰してやるか?たちまち炭になるぜ!と脅した後、お前は最期だ、女どもの指示ざまを見ろ!と言うと、ミーチンと白蘭の方に電線コードを持って近づく。

きれいな顔が黒こげになると思うと不思議な気がするぜ…と沼田は異常な目つきで喜ぶ。

その時、北見は、横においてあったドラム缶に水を注ぐホースが入っていることに気付く。

北見は、足を伸ばし、両足でそのホースを掴むと、吹き出す水を沼口の顔に浴びせかける。

水を浴びた沼田は、自分が持っていた電気コードで感電死する。

すぐに椅子を倒し、床に落ちていた針金を拾い上げた北見は、手錠の鍵をそれで開ける。

トンワン丸の甲板上には、蔡とゲゲンの2人だけになっていた。

まだ疑っているのか?と聞いたゲゲンは、用意したバッグを見せ、20ドル紙幣で5万枚と紙幣が入っていることを明かす。

良し!と答えた蔡とゲゲンは、互いにゆっくり近づくと、テープとバッグを交換する。

また互いに後ずさり距離を取ると、これで取引完了だ、普通ならここで一杯と言う所だろう…と蔡が言うと、葡萄酒より君の血で乾杯だ!とゲゲンは言い銃を取り出して発砲する。

その弾をバッグで受けた蔡も又銃を撃っていた。

倒れたゲゲンは、死に際に、札は偽ドルだぜ…と言い残し息絶える。

蔡はそんなゲゲンに近づくと、落ちていた紙テープを拾い上げ、これさえあればまた勝負できると呟く。

その時、相変わらず頭が切れるな!と声をかけて来たのは、いつの間に乗船したのか北見だった。

貴様!と銃を向ける蔡。

テープを頂くまで抜けられますかって…と北見も銃を向ける。

その時、2人に突然ライトが当たる。 蔡の子分が点けたものだった。

お互い妙な因縁だったが…と蔡が言うと、テープさえ渡せば…、トンワン政府に売り渡すつもりだな?と北見が指摘して来たので、どうやら沼口はやられたらしいな…と蔡は、近づいて来た稲垣の様子を見て察する。

稲川は、奴が持っているのは例の沼田の拳銃で、どんな名人でも当たらない保証付きでさ…と蔡に教え、追出しますから、ライト頼むぞ!と背後の仲間に呼びかけた稲川は前に進み出る。

北見は撃ってみるが、稲川の言う通り弾道が大きく逸れてしまう。

ライトを壊そうと撃っても当たらないので、北見は弾倉を抜いてしまう。

そこへ、北見さん!と呼びかけ近づいて来たのはミーチンと白蘭だったので、来るな!と北見は呼びかけるが、ミーチンは自分の銃を北見の方へ投げて来る。

次の瞬間、その銃に飛びついた北見は、一挙に三発撃ち、近づいていた稲川と蔡、そしてライト係の男も倒れる。

北見は、死んだ蔡が落した紙テープを回収し、ライトが当たった方向に消えて行く。

プールがあるホテルの一室で水着姿になって待っていたミーチンと白蘭は北見さんどうしたのかしら?と約束したのになかなか来ない北見に苛立っていたが、ノックが聞こえたので出てみると、そこに立っていたのはボーイ(西條康彦)で、水着姿の2人に驚いて目を隠しながら、北見様からですとメモを渡す。

そこには、あんまり他の男に裸を見せるな、俺は世界の空のから監視していると書いてあった。

北見さんは?と聞くと、先ほど御立ちになりましたとボーイは恥ずかしそうに答える。

空を飛ぶ旅客機

 


 

 

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