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いつか誰かが殺される

「麻雀放浪記」の併映作だが、あまり知名度は高くない角川映画だと思う。

全体的に低予算の添え物映画そのものと言った感じで、「麻雀放浪記」のターゲットとは明らかに狙いが違うような気がする。

主役の渡辺典子さんはそんなに悪くないと思うのだが、話が荒唐無稽過ぎるのと映画的な見せ場に乏しいこと、さらにキャストが全体的にじみ過ぎるため印象に残りにくい作品だと思う。

本格ミステリと言うほどの謎はないし、アクションも特になく、怪奇要素やスプラッター要素と言ったけれん味もなく、ティーン向けのファンタジーに近いジュブナイル・通俗スパイアクションと言った展開だと思う。

冒頭の永山家の誕生パーティでのゲームと言うのも本編と直接絡んでいる話ではないし、あまり意味がないような気がする。

背の高い古尾谷雅人さんと小柄な渡辺典子さんコンビは、前年の探偵物語(1983)での松田優作さんと薬師丸ひろ子さんコンビの二番煎じめいて見えるのは不利かも。

石橋蓮司さんが三枚目役を演じているのが珍しく、それだけを見るだけでも価値はあるかもしれない。

フロッピーなどを使っている時代なので仕方ないのだが、パソコンの性能の遅さなどは今見ると驚くほどなのだが、尾美としのりさん演じるパソコンオタクは今はもっと増えていることを考えると時代の変化を感じさせる。

家庭用電話の受話器と本体の間にはさんで使用する留守電と言うのも始めてみたような気がする。
▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼
1984年、角川映画、赤川次郎原作、高田純脚本、崔洋一監督作品。

タイトル

永山家の食堂に集まった永山杜夫(河原崎長一郎)、永山萌子(白川和子)、永山亜美(真木洋子)ら4兄弟たちとその連れ合いが何事かを待ち受けていた。(スタッフロール)

扉が開き、バースディケーキを乗せたカートを押したメイドから、橘さん!と声をかけられた橘進之介(石橋蓮司)がカートを押すのを手伝い、テーブルの奥へと運ぶ。

そして志津様がお見えになられますと執事が全員に呼びかけると、屋敷の主で白髪の永山志津(加藤治子)が入って来て、バースディケーキの蝋燭を吹き消すと、70歳の誕生日を迎えられ、私は世界一の幸せ者です…なんて言うはずはないわ、ここに集まった4兄弟は私に似ず、どれも出来の悪い者ばかり!今年も死なくて残念だったわね、後は橘!と話を振る。

立ち上がった橘は、今年も永山家では今日から2週間休みを取り、毎回パーティを開くことにします。

毎回1人ゲストをご招待するルールですが、友人知人など実在する人縁を呼んでも芸がないので、今年は志津様のご提案もあり、現実にいるのかどうか分からない架空の人物を我が橘探偵社が探します。

では今年のゲームをから始めますと説明すると、志津が、そこに集まった4兄弟の名前の1文字ずつを上げ、橘にそれを組み合わさせる。

慌てて取り出した手帳にその文字を並べてみた橘は、「もりやあつこ」になりますと答えると、今年はお父さんが亡くなって18回忌だから、それにちなんで年は18歳にしましょう、実在するかどうか分からないので、実在するかどうかを賭けましょうと志津は言い、私は実在する方に1000万賭けたわ!と宣言する。

18歳の女子高生守屋敦子(渡辺典子)は、3人の友達と帰宅していたが、仲間たちはこれから地獄の河合塾とか佐々木ゼミに行くと言って別れて行く。

駐車場に置いていたバイクに乗ろうとしていた敦子に、守屋さん!と背後から声をかけて来たのはクラスメイトの渡壁正太(尾美としのり)だった。

お願いがあるんだ、手形が欲しいんだなどと言って来たので、敦子は怪しむが、気にせずOKすると、正太は用意していた色紙に敦子の手形を押させる。

ついでにサインもしようか?と敦子がからかうと、良いですと正太は言う。

バイクで帰宅すると、家の中には誰もおらず、敦子は二階の自分の部屋に入りガラス窓を開けると、両親と一緒に写った写真立ての写真を見つめる。

留守電と聞くと、最初に聞いた事ない声が録音されており、続いて、敦子、元気か?と聞き慣れた父親守屋陽一(斎藤晴彦)の声が聞こえて来たので、パパ!と喜ぶと、1週間寂しい思いをさせてごめん!2時にいつもの所であって美味しいものでも食べようと録音されていたので、敦子は喜ぶ。

その頃、橘探偵社では、全国の電話帳を調べ、18歳の「もりやあつこ」と言う人物がいないか必死に探していた。

「もりやあつこ」と言う名前の女性が見つかっても、年を聞くと62だったりして橘はがっかりする。

敦子は久々に渋谷のレストランで陽一と再会していた。 なあ敦子、父さんな、お前が大学受かったら、しばらく新聞記者休もうと思うんだと言い出したので、どうして?と聞くと、憑かれたのかもしれないな、その時は一緒に旅行でも行ってみないか?外国さ、お父さんが生まれた所だと言うので、えっ?福井の敦賀じゃないの?と敦子は聞く。

戸籍上はそうなんだけど、色々訳があってね…と答えた陽一は、「ビーチャム・ドゥ・ヘイル・ティ」私はお前を愛していると言う、お父さんが生まれた国の言葉なんだと教える。

その後、敦子は父親と一緒に「PRORHECY」と言うショップでコム・デ・ギャルソンのブルゾンを気に入り試着してみることにする。

敦子が試着室へ入った後、陽一はどうせ買うんだからと値段を聞くと、店員は34600円ですと言うので、案外する物だねと言いながら財布を出そうとするが、そのtき、ポケベルが鳴ったので、電話ないですか?と陽一が聞くと、店員は外の通りにある公衆電話を教える。

店を出て行きかけた陽一だったが、椅子に置いてあった敦子のバッグにフロッピーディスクを入れて行く。

公衆電話に入って電話をかけ始めた陽一だったが、そのすぐ背後に停まった車から降りて来た2人組の男が公衆電話の扉を開け、守屋さん、こんな所にいたんですか?と声をかけて来たので、今のポケベルは…と気付いた陽一は、Cのエージェントか?と聞く。

似たり組の男は、ご同行願えますかと慇懃に聞いて来る。

その頃、試着室からブルゾンを着た敦子が店内に出て来て、連れの人は?と聞くと、電話をかけに…と店員は言うが、外の公衆電話に人影はなく、様子を見に行こうとすると、お客さん、まだ勘定すんでないんだよなと言うので、私が黙って逃げちゃうと思ってるの?と敦子が憤慨すると、へえ…、そうしようと思ってたんだ?と失礼なことを言うので、怒った敦子は、パパが戻って来るまで絶対に動いてあげないから!と言い張る。

どう?気に入った?そのブルゾンと店員が聞くので、欲しいわよと敦子が答えていると、別の店員がやって来て、コーラ!と呼びかけて来たので、あなたコーラさんって言うの?と敦子が聞くと、本名は高良と書くんでコーラと呼んでいるのと高良和夫(古尾谷雅人)の横に立った趙烈豪(白竜)が教える。

いつまで経っても陽一が戻って来ないことを知った敦子は、高良さん、内まで付いて来て、こう云うのなんて言うんだっけ?と聞くと、付け馬?と趙が教える。

敦子と店の外に出た高良は、何で俺が付け馬なんかやんなきゃ行けないんだよとぼやくが、俺、車あるから、二輪だけどと言うので、もしかしてオートバイ!と喜んだ敦子は高良のバイクに乗せてもらい帰宅することにする。

CPRなんて最高!このまま遠回りして行こうよ!と敦子が呼びかけると、俺25歳、社会人、そんな暇ないの…と高良は呆れる。

海の向こうに沈む巨大な夕陽のイメージ 朝ベッドで目覚めた敦子は、夢か…と呟く。

念のため、父陽一が勤める東洋経済社に行ってみることにした敦子は、見覚えのある山形剛志(橋爪功)を見つけたので、編集長の山形さんでしたよね?と声をかける。

敦子君?と驚きながら敦子に近づいた山形は、珍しいじゃないか、今日は何か用?と聞くので、パパいます?と用件を話すと、ずっと主張中だよと言う。 それは知ってます、でも昨日会ったので…と敦子が明かすと、どこで守屋君と会ったんだ?と山形は聞いて来る。

渋谷ですけど?と答えると、その時、何か渡さなかったか?何か預からなかったか?と山形が迫って来たので、別に…と敦子は答える。

新聞社から帰る途中、バッグからハーブキャンデーを取り出そうとした敦子は、見覚えのないフロッピーディスクを見つけ、あれ?コンピューターディスク?パパだ!これのこと言ってたんだ!と山形の言葉を思い出すと、一旦戻ろうとしかかるが、やっぱり止めた!と呟くと新聞社を後にする。

渡壁正太はパソコンマニアで、自分の部屋の中に何台もモニターを並べ、そこに敦子の似顔絵を移し、敦子さん、好きです!などと1人呟いていた。

そこにやって来たのが敦子で、ドアの横のパネルに右手を当てて下さいと書いてあったので、その通りにして見ると、指紋が登録されている者と一致しましたと機会が答え、自動的にドアが開く。

入っても良い?と声をかけると、突然やって来た敦子に正太は慌てるが、指紋が特別な人だけしか入れないようにしたんだと指紋認証用に敦子の手相を使ったことを明かし、暑いね?麦茶でも飲むと中に誘うが、このディスク正太君のパソコンで分かるかな?と聞きながら、敦子は持って来た陽一のディスクを差し出す。

良いよ、どうぞと部屋に招き入れた正太は、ディスクをパソコンに入れ、AからZまでプログラムを分類して入れてあるけど…と言いながら1つ1つ開いて見るが、全部数字の羅列だと分かる。

これは乱数表だ、ピッチャーがキャッチャーに使っているような物だよと正太が言うので、これ、暗号ねと敦子も気付く。 正太君、これ解ける?と聞くと、預かっても良いんだったらやっても良いと正太は答え、私、中味を知りたいの、お願いと敦子は頼む。

その後、自宅に戻って来た敦子は、室内が荒らされていることに気付き、泥棒?と怯え、恐る恐る二階の自分の部屋にも上がって見るが同じように荒らされていたので、酷い!と言いながら中に入る。

すると、ドアの背後に隠れていた2人の男女がいきなり敦子の頭から毛布をかぶせ、ベッドに押し倒すと階段を降り、外で車が発車する音がする。 110番!と言いながら毛布を抜け出た敦子が1階の電話に近づくと、突然その電話が鳴り出したので驚く。

受話器を取ると、敦子か?昨日は悪かった…と言う陽一からだった。 危ない目に遭わなかった?と聞かれた敦子が黙っていると、あったんだな?すまない、お父さんが悪かった…、でも今説明する時間がないんだ、お父さんはどんなことをしてもお前に接触する、それまではあのディスクを守ってくれてんと言い陽一は一方的に電話を切ってしまう。

公衆電話からかけていた陽一は、近づいて来る男達の姿に気付いたのだった。

翌日、バイクで再び極東流通経済新聞にやって来た敦子だったが、「会社更生法により…」と書かれた紙がドアに貼ってあるだけで、部屋の中には荒れ果てた事務机などが残っている中、人っ子一人いなかった。

諦めて部屋を出た敦子に、困ったな?あなたここの極東流通経済新聞の関係者の方ですか?守屋さんってご存じないですか?さと話しかけて来たのは探偵社の橘進之介だった。

怪しんだ敦子が、あなたは?と聞くと、失礼しました…と言いながら橘が名刺を出そうと上着の下に右手を差し込んだので、危険を感じた敦子はバッグを振り回しその場を逃げ出す。

驚いた橘は、ちょっと待て下さいと誤解を解こうと後を追おうとするが、怪談の途中に敦子が落した手帳を拾い上げ、ねえ、あなた!日本教育大付属高校の守屋敦子さん?と生徒手帳を呼び上げるが、その時、いた!と気付く。

外に出た敦子派バイクに乗り込み逃げ出すと、その後を尾行して来る乗用車があった。

渋滞に阻まれた車からスーツ姿の女が信号待ちをしていた敦子の横に近づいて来て、こんにちは、守屋さん、あれはどこ?と話しかけて来る。

あなた誰?と敦子が聞くと、昨日会ったわ、身の為って分かる?と女が脅して来たので、古い脅し文句!全然怖くないわよと敦子がバカにすると、女はスーツをはだけて、肩から背負ったガンケースを見せて来る。

驚いた敦子は信号が変ると路地に入り込み女を巻こうとするが、目の前の通りを白く大きなトラックが通り過ぎたので、慌ててバイクを滑らせ転ぶ。

トラックは驚いて停まり、降りて来た男が大丈夫か?と声をかけて来るが、それは先日会った高良と趙で、又お前かよと呆れる。

敦子は思わず、助けて!私のこと追って来るの!と訴えるが、路地を覗いた高良は誰もいないぞと首を傾げる。

それでも敦子は私殺されようとしたんだからと訴えると、分かったと高良は答える。

敦子が高良に連れて来られたのは、たくさんの品物と色んな外国人がたむろしている不思議な倉庫のような場所だった。

ただいま!と高良が呼びかけると、どうしちゃったの、そのエアコンパンツ?と梨花(松原千明)が聞いて来たので、転んだんですと敦子は答えると、在庫あったよな?と高良が梨花に確認する。

高良は改めて、梨花とその娘、趙烈豪などを紹介する。

梨花が渡してくれた消毒液で左手の傷の消毒をしながら、敦子は、ここ一体どう言う場所なんでしょうか?と聞く。

洋服、バッグに靴、楽器まで大体揃っていると高良が言い、コムサ・デ・モードも内の製品ですと趙が横から口を出したので、おかしいよ、メーカーがこんな売り方するはずが…、まさかこれ、全部盗品!と敦子が疑うと、盗品じゃないよ、全部偽物!と言う。

じゃあ、私の服も…、酷い!騙したのね!と敦子は怒るが、ゆくりしてらっしゃい、今夜はパーティがあるの…と梨花が誘う。

その頃、橘の報告で敦子を探し出したことを知った永山志津は、良く見つけ出してくれたわね、これで今年も私の価値だ!と喜んでいた。

そして用意していたメモを橘に托しながら、必ず当人に直接渡して、ここへ連れて来ておくれと依頼する。 食堂では飲んだくれ姉妹の夫(津村秀祐)が何がゲームだ!と毒づいていた。

その夜、高良達の倉庫内ではパーティが行なわれていた。 バンドが歌い、梨花やユリ達は踊っていた。

壁の花状態になっていた敦子を梨花が手招くが、敦子は断る。

そんな敦子の側に缶ビールを持って来た高良は、私、18よと言う敦子に、ママのミルクでも飲んでろ!と叱ると、まま、死んじゃったもの…と敦子が言うと、ビールだけは本物だ!と高良は答える。

可愛いわねと敦子が言うと、梨花が18の時だから、生んだの…と高良が言うので、高良さん幸せそう、良い奥さんと子供さんがいて…と敦子が褒めると、良い子だねお前…と言いながら高良はいきなり敦子にキスしようとする。

驚いた敦子が、何するのよ!と叫びながら思わずビンタをすると、バンドの演奏が止まり、踊っていた仲間たちも動きを止める。

どうする?白けちまったぞ!責任取れよな!と高良が言うので、バンドの中央に向かった敦子は、ギターを抱え、お見苦しい所をお見せしましたとマイクに向かって詫びると、サマータイムを歌い出す。

するとバンドのメンバー達もすぐに乗って来て一緒に演奏してくれる。

海の向こうに沈む巨大な夕陽のイメージ 翌朝、倉庫内のベッドで目覚めた敦子は、又同じ夢か…と呟き、既に朝食のテーブルに付いていた仲間たちの元に合流する。

梨花が朝食を出してくれたので、私、帰らなきゃ…と遠慮するが、バイクだって直ってないんでしょう?と梨花は言い聞かせ、高良が、送って行ってやるよと言う。

食後、高良のバイクで自宅前まで送ってもらった敦子は、高良さんも烈豪さんも信じてくれないけど、私本当に鉄砲持った女に追いかけられたんだよと言いながらバイクを降り自宅へ入る。 そんな2人の様子を近くの電柱の影から見ていたのが探偵の橘だった。

家に入った敦子は、靴を見てパパだ!と一瞬喜ぶが、二階にいたのが山形だと知ると驚く。

表では、近づいて来た橘を羽交い締めにした高良が、お前か?敦子を追いかけたって言うのは!と詰問していた。 慌てた橘が、違う!私はこう云う…と言いながら上着の内側に手を入れようとすると、高良に手をねじり上げられてしまう。

その時、家から連れ出された敦子が車に乗せられて出発するのを目撃した高良はバイクで後を尾行することにする。

とあるビルの屋上に敦子を連れて来た山形は、教えてくれないか、あのディスクがどこにあるのか?と頼むが、パパはどこにいるんですか?山形さん、この前に会った時もパパのことは聞かなかった、ディスクのことだけ聞いて来た、はっきり言いますけど、そんなエィスクは見ていません、もし見ていたとしても、パパの許しがないと誰にも渡せません!と敦子が拒否しその場を立ち去ると、そう言う態度は無用な摩擦を生むだろうと山形は敦子の後ろ姿に向かって警告する。

ビルの表で監視していた高良と会って話を聞いた敦子は、スパイ?と驚く。

新聞記者を装った国家公務員、他には考えられない…、お前のおやじさん、本物の忍者だ、お前はスパイ絡みの事件に巻き込まれていると高良が言うので、どうしたら良いのよ?と敦子は聞く。

その頃、ホテルの一室に閉じこもっていた陽一は、自宅に電話を入れて見るが留守電だった。 敦子、お父さんだ…、お父さんは今…と録音にメッセージを残しかけた陽一だったが、そこで電話を切ってしまう。

その時、ノックが聞こえたので、どなた?と聞くと、フロントです、メッセージをお届けに上がりましたと言うので、用心しながらドアの側まで近づき、誰です?と聞くと、極東流通信分の芥川様ですとドアの向こうから言うので、チェーンをかけたまま用心してドアを少し開けると、そこからステッキ状の物をねじ込まれ、チェーンを外してスーツ姿の男女が部屋に入って来る。

陽一は抵抗しようとするがベッドに押し倒される。

女が銃を突きつけて来たので、Kのエージェントか!と陽一は聞く。

その頃、正太はパソコンでフロッピーディスクの内容が、12文字の組み合せが分かったと敦子に知らせていた。 この前から怒っているおかしなことも、このディスクが原因だと思うんだよねと敦子は言う。

話が分かんないんだけど…と正太が戸惑うので、この前から色々あったんだよねと敦子は打ち明けようとするが、一緒に来ていた高良が、君は何も知らない方が良いと正太に釘を刺す。

倉庫に戻って来た高良は仲間たちと何事かを話合い始める。

そんな中、敦子が何事か1人で考え込んでいたので、近づいて来た高良が訳を聞くと、「ビーチャム・ドゥ・ヘイル・ティ」ってどこの国の言葉か知ってる?と敦子が聞く。

高良が、知らないと言うと、高良さん、ユリちゃんのこと可愛い?といきなり敦子は聞く。

偽物には2つあって、光っている偽物と光らない偽物があると思うと高良が言うので、質問の琴江に鳴ってないと敦子が焦れると、可愛いさ、敦子のおやじさんが敦子を思っている以上かもしれないと高良は言う。

私は光ってる?と敦子が聞くと、みんなが敦子は良い子だから助けてやろうと言っていたよと先ほどの話し合いのことを高良は教える。 それを聞いた敦子は感激し、ありがとうと言うと、どう致しまして…と高良は笑う。

翌日から、高良はバイクに敦子を乗せて都内を移動し始める。 町のあちこちに、高良の外国人の仲間たちが張っていた。

敦子の自宅前にやって来ると、物の見事に出入りなし!と家の前で見張っていた仲間が言うので、そろそろお出ましする頃なんだけどな…と高良は焦れる。

しかし敦子は、こんなことしていてもパパは見つからないよと言うので、こんなことか…、焦るなよ、今こっちに出来るのは網を張って奴らを待つしかないんだからと高良は言い聞かせる。

考えれば考えるほどパパのことが分からなくなるの…、でも会いたい…と敦子は告白すると、俺が18の頃、オヤジを憎んでいた…、とうの立った反抗期かな?と高良が言うので、今は?と敦子が聞くと、どうかな?もう5年くらい会ってないと高良は言うので、そんなに!と敦子は驚く。

そんな敦子に、走ってみるか?と誘った高良はトラックで敦子と夜の東京を一晩中走り回る。

朝方、倉庫に戻って来た2人を、寝ずに待っていたらしい梨花がお帰りと出迎える。

起きてたのか?ちょっと野生が目覚めたんだと高良が言い訳するので、誤解しないで下さい、野生ってそう云う意味じゃなくて…と敦子は言い訳しようとするが、良いんじゃない?そう云う意味でも…、敦子ちゃんが大人になるの嫌だなんて少女趣味だったら仕方ないけど…、私もう寝ますと梨花は大人の対応をする。

敦子は、倉庫内のベッドに二階から飛び降り考え込む。

翌朝も、朝から高良のバイクに乗って敦子は出発するが、すぐに見慣れぬ車が尾行して来る。

信号待ちで停まった高良は、敦子、敵が現れた、この信号を過ぎたら左に曲がった所に狭い道がある、そこで奴らをやり過ごす、お前はそこで降りて電車で帰れと指示するので、私も行く!と敦子は駄駄を捏ねるが、ダメだ!ときっぱり高良は言い聞かす。

そして、狭い道に入り込んだ所で、予想通り敵の車は折って来るが、反対側からゴミ収集車がやって来たので、やむなく敵の車は後進するしかなかった。

道の影からそれを見送った高良は敦子に降りるように命じる。

1人になった高良は、敵の車を尾行し、国会議事堂前で、その車に山形が乗り込むのを確認する。

フラミンゴがいる庭園内で陽一と男女のスパイは一緒にいたが、そこに山形がやって来て、車で庭園から外に出て来るのを、外で待機していた高良は確認する。

倉庫脇で壊れた自分のバイクを修理していた敦子の側にやって来たユリが、お姉ちゃん、直ったの?と聞いて来たので、もう直ったよと教える。

その時、倉庫の前に警察車両がやって来て、大勢の警官達が降りて来たのを見たユリは、手入れだ!前にもあったと言うので、由利ちゃん、上に行ってままにこのこと知らせて来てと頼むと、自分は直ったばかりのバイクに飛び乗り、わざと警官達の間を潜ってからかいながら逃亡する。

そんな敦子に気付いた橘が、敦子さん!あなたに渡す物があるんですよ!と叫びながら後を追おうとするが、一味と勘違いした警官隊に捕まり袋叩きにされる。 その後、敦子は別の場所に無事逃げていた梨花達と合流する。

半年か…、あのアジトもうちょっとバレないはずだったんだけど…と梨花がぼやくので、ごめんなさい、私が潜り込まなかったら…と敦子は詫び、梨花さんたち、何時も転々としてるんですか?と聞く。

高良さん、大丈夫だったのかな?と案ずると、ねえ敦子、和夫は何にもしゃべってないみたいだけど、ユリはあいつの子じゃないの、この子は私が前に付き合っていた男との間に出来た子なのと梨花は教える。

これ以上、互いに傷つかないように別れましょう…、前の男に行った言葉よ、でも今後悔しているの、結局、奥病だっただけじゃないかってね… 私、今、和夫を独占しようと思わないから…、これ私の本心店、おかしい?と梨花は言うので、いえ…と敦子は答える。

そして電話貸して下さいと断ると、正太に電話を入れて見るが、守屋さん?さっきからなんども電話したんだよ、溶けたんだよ暗号が!と正太は言う。

山形に連れられ芥川に会った陽一は、芥川さん、山形はCとKに通じているので、直接芥川さんにお渡ししようと…と打ち明けると、山形にCとK両者に接触させ彼らをかく乱させたのは私だと芥川が言うので驚く。

今の世の中に君のような古いモラルの男がいるとは思わなかったよ、分かるね?失格者が選ぶ結論は…と芥川は冷静に陽一に言い渡す。

芥川さん、娘に会わせてもらえませんか?と陽一は頼むが、結局君は日本人になれなかったようだな…と芥川は答える。

敦子が来ると、正太は暗号のキーワードは「アツコ モリヤ」だったと説明し始める。 そして、守屋さん、もしこのディスクが本当のことだとすると、ちょっと信じられないな…と正太は言い、プログラムBから開き始める。

数字に羅列がキーワードで自動的に解読され、このリストは我が国内で活躍している情報員が名が列記されていると書かれていた。

プログラムCを開くと、そこにはCIAの情報員の名が書いてあった。

DにはKGB、以下、フランス、中国などいくつもの大きな国の情報員の名が書いてあったので、あんまり突飛過ぎて、悪い冗談としか思えないんだよねと正太は呆れたように言う。

その時電話がかかって来て、正太が出ると、俺だよ、アツコいるんだろう?出してくれ!言って来たには高良だった。

敦子が電話に出ると、見つかったんだよ、おやじさん!迎えに行くと甲羅は言う。

正太君ありがとうと言い残し敦子は出て行く。

敦子は高良と仲間たちが乗った白いトラックで目的地へ向かう。

1人パソコン部屋に残った正太は、又、モニターに敦子のイラストを出して、好きです…と告白する。

すると、パソコンの中の敦子のイラストが、私もよとアニメのように答える。

高良達がやって来たのは大きな神社内だった。

手分けして仲間たちが探そうと下中、庭の中央に残っていた敦子が突然叫び出したので、みんな何事かと集まって来る。

パパが殺される!パパ死んじゃうよ!パパが殺される!高良さん、パパ、殺されちゃうよ、助けて!と叫ぶ。

海の向こうに沈む巨大な夕陽のイメージ

翌日、町中の噴水の縁で寝そべったサラリーマンのような姿で陽一の死体は発見される。

死因は服毒死で、ジャーナリストの自殺のように新聞には出る。

全員包帯だらけの橘を前に、永山志津はその記事が載った新聞を読む。

色々どうもありがとうと敦子は高良の仲間たちに礼を言っていた。

お別れね、又会えるわと梨花が言うので、みんなはどこへ?と聞くと、色々…、私はユリと沖縄に行くのと梨花は答え、趙烈豪は俺は付き添い役と言う。

高良は?とユリが聞くと、まだ少し仕事が残っていると高良は言い、さようならと言うユリをだっこする。

仲間たちは高良と握手して別れを告げると、全員トラックで出て行く。

永山家では、ゲームの時間が終わり、メイドがカーテンを開け、朝日を食堂内に入れていた。

すっかり疲れきっていた兄弟達は、母さんいないうちに面白い賭けしない?と言い出し、来年まで行きているかどうかよ、私は現実主義者だから、死なない方へ500万賭けるわと長女の萌子が言うと、私、死ぬ方に同じ額店と次女の亜美が言う。

そこにやって来た志津は、さあみんな!パーティは終わりよ、敦子は存在しなかった、賭けは私の負けだ!さあ帰っておくれ! さあどうしたんだい?パーティはお終いって言ってるだろう!と苛立たしそうに子供達を追出す。

とあるビルの一角に集められた各社の記者達。

その中にいた山形は、高良と共にやって来た敦子に気付くと、敦子君、これはどう言うことなんだ?と聞くと、みんな私が呼んだんですとアキ子は答える。

こんなもの秘密にしているから奪い合うんだよ、みんなが知れば秘密でなくなるわ…と言うと、取り出したフロッピーを山形に差し出す。

さらにコピーして持って来たフロッピーをその場にいた他社の記者達にも全員渡して行く敦子。

銃を持っていた女スパイにもフロッピーを渡す。

そして最後にいた包帯だらけの渡りにも渡そうとすると、私はいりません、私は渡す物があるんです、招待状ですと言い、封筒を敦子に渡すと、やっと渡すことが出来ました!良かった…と安堵する。

封筒の中には、「守屋敦子様、お互いにお会いしたことはありませんが、ゆっくりお話ししたいことがあります。 永山志津」と書かれた招待状と、古い時代の写真が一枚同封されていた。

そこには、馬に乗った3人の男女が写っており、中央はたくましい男、両脇にはまげを結った芸者風の女性が股がっていた。

興味を持ち永山家の屋敷に言った敦子が食堂で1人待っていると、そこに志津がやって来て、驚いたわ、本当に瓜二つだわ、初めまして、良く来て下さいましたね、お父さんは気の毒なことをしました…と話しかけて来る。

私に会った話したいことって何でしょう?と敦子が聞くと、その写真の右に移っているのはひな菊と言う芸者で、右が私、真ん中があなたのおじいちゃん、戦争前、中国の東北地方には日本人がたくさんいたのよ、私とひな菊さんは向こうで売れっ子の芸者さんだったのと志津は明かす。

そして2人とも同じ人を好きになったの、ハルジャックと言う2000人の軍団を率いている馬賊の頭領よ。

私がそんなハルジャックと付き合うようになると、ひな菊ちゃんは私たちに気づかったのか、私たちの前から姿を消し、そしてひな菊ちゃんはハルジャックの赤ん坊を産んだ… それがあんたのお父さんだ、ひな菊ちゃんはその後からだを悪くし2年後に死んだ… ハルジャックも語り種になるような凄絶な戦死を遂げた。

そしてあなたのお父さんは15の時、日本に帰って来た。

風の便りに敦子ちゃんが生まれたって話を聞いたわ。

ひな菊ちゃんは夕陽が沈んで行くのが好きだった…と志津が言うので、私、最近、夢を見るんです、海の向こうで沈む夕陽の夢!と敦子が教えると、それは海じゃないよ、川だよ、海のように広い大陸の川… あなたはお父さんとおばあちゃんが見ているのと同じ夕陽を見てるんだと志津は言う。

「ビーチャム・ドゥ・ヘイル・ティ」って言葉分かりますか?と敦子が聞くと、ああ、あんた、その言葉知ってるのかいと志津はうれしそうに答える。 父はいつか生まれた国に一緒に行こうって言ってました。

私、パパがあんな死に方をしちゃったんで、残された私って何だろうなって少し考えたんです、でも今の話を聞いたら、パパもおばあちゃんも永山志津さんも、私、みんな好きです!と敦子は言う。

その後、東京湾岸で高良とバイクで再会した敦子は、行くのか?と聞かれ、ウン…と答える。

夕焼け旅行ね…と高良が言うので、おかしい・と敦子が聞くと、そんな事ないさ、俺だって行ってみたくなるような話だと高良は言う。

私、18で弧度御を生むような女にはなれなかったけど、これからはうんと良い女になろうと思う、だから帰って来ても高良には会わない。

ちょっとでも自信がついたら会いに来るかも…と敦子が言うと、ダメだ、何だこんな男だったのかって幻滅されるのが怖いと高良は言うので、そんな事ない!と敦子は否定する。

送らないぜと高良が言うので、うん!と敦子が答えると、行けよ!と高良は冷たく言い放つ。

「ビーチャム・ドゥ・ヘイル・ティ」と敦子が言うと、「ワンニン・ヤーガス・チャサ」と高良が答えたので、思わず敦子は高良の胸に抱きつく。

高良は屈んで敦子にキスをする。 敦子はヘルメットをかぶると自分のバイクに股がり走り去る。 高速を走る敦子はカメラに向かって左手の親指を立ててみせる。(ストップモーション)

キャストロール
 


 

 

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