白夜館

 

 

 

幻想館

 

るろうに剣心 京都大火編

人気コミックの実写化で、好評だった前作に続く二部作続編の前編に当たる。

原作は未読なので、以下、あくまでも映画としての感想。

基本キャラの人物紹介がなくなった分、冒頭から大掛かりなスペクタルの数々がこれでもかとばかり登場している。

そして、新たな敵、新たな仲間の紹介が手際良く挿入され、後半は京都を舞台にした大掛かりなアクションの連続が待ち構えている。

やはり、ハリウッドメジャーのワーナーが資金を出していることもあり、従来の日本映画では考えられないような見せ場が数多く用意されている。

VFXによる補填はあるとは思うが、その大掛かりさや迫力満点のアクションは、かの「七人の侍」も凌駕するのではないかと思わせるほど。

コミック原作だけに、昔の時代劇大作にありがちなダレ場もなく、テンポ良く進行しており、その詰め込まれた情報量の多さは、観ている方の体力も奪うのではないかと思えるほど。

ストーリー的には、大久保利通暗殺の「紀尾井坂の変」や、「座頭市鉄火旅」を連想したくなるような刀を巡るサスペンスなどが巧妙に織り込まれている。

アクションの合間に挿入されている人間ドラマには、さすがに臭かったり安っぽい部分もあるのだが、そうした部分をアクションが補っているように見える。

これだけアクション巨編になると、女性の見せ場がどうしても後退してしまう面があり、この作品での薫なども、血肉が通った娘には見えず、かなり記号化されたキャラ状態に見えてしまう。

恵にいたっては、後編に活躍するのかもしれないが、前編ではすこぶる影が薄い。

その分、新たな女性キャラ巻町操がかなり印象に残るように描かれている。

個人的には、忍者、お庭番が登場しているので、それだけで嬉しい。

情報収集目的の「草」として地元民に溶け込んでいるはずの忍者が、いきなり戦闘能力も発揮するなど、コミック特有の荒唐無稽さもあるが、それはそれ、理屈抜きのファンタジーとして、そのバカバカしさを楽しむ方が良い。

取りあえず2部構成だし、敵の十本刀などの紹介もほとんどない状況で終わっているので、前編だけで印象を語るのは控えたいが、後編が待ち遠しい見事な大娯楽チャンバラ映画になっている。

▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

2014年、「るろうに剣心 京都大火 / 伝説の最期」製作委員会、和月伸宏原作、藤井清美脚本、大友啓史脚本+監督作品。

1975年、兵庫 摂津鉱山

夜中、警官隊が忍び足で進んで行く。

本当に奴はここにいるんだな?そう囁いたのは、捜査に参加していた斎藤一(江口洋介)だった。

建物の中に入り込んだ警官が突如何者かに襲撃される。

油断するなよ…と周囲に指示する斎藤だったが、突如、坑内で爆発が起こり、敵が待ち伏せしていることを悟ると、刀を抜く。

誰だ!止らんと撃つぞ!と斎藤が怒鳴るが、その眼前に広がっていたのは、捕まった警官が煮えたぎる溶岩の上に天井から吊り下げられている異様な情景だった。

その下に立っていたのは、顔中包帯を巻いた謎の男志々雄真実(藤原竜也)だった。

お前は地獄を信じるか?修羅が蠢くこの現世こそ地獄にふさわしいと思わないか?…そう問いかけて来た相手を観た斎藤は、志々雄真実か?と逆に聞く。

何故、お前たちがここに来るか分かるか?と志々雄が聞くので、裏切りか…?と気づく斎藤。

そんな中、次々に、内通者と思われる吊るされた警官が溶岩の中に落とされて行く。

お前も俺も共に動乱の世を生きて来たもの同士、こっちへ来ないか?あの動乱の世に時計の針を戻そうじゃないか!そう呼びかける志々雄に、俺は誰の指図も受けんと答える斎藤。

それも良かろう…、人の本性は邪悪…浮き世は地獄…と言い残すと、志々雄は謎の美女や青年と共に、崩れ落ちるやぐらの奥に去って行く。

斎藤はそれを黙って見送るしかなかった。

タイトル

東京 浅草

緋村剣心(佐藤健)、神谷薫(武井咲)、相楽左之助(青木崇高)らは、街で評判の芝居を観ていた。

その舞台に登場する赤毛の浪人は、頬に十字の傷がある人斬り抜刀斉ならぬ人斬り抜九斉。

侍役相手に滑稽な剣劇を披露し、客に受けていたが、そんな中、薫は、何で抜刀斉が悪人なのよ!と憤慨するが、隣で観ていた剣心は、抜刀斉ではなく抜九斉でござるよと笑う。

芝居小屋を出て人ごみの中、道場へ帰る薫は、もう人斬り抜刀斉も過去の伝説なのね…と、感慨深気に呟く。

神谷勝心流道場では、何人もの弟子たちが稽古を続けていたが、そこに野菜を持って帰って来た剣心と左之助を出迎えた弟子たちは、何で稽古をつけてくれないんですか?と文句を言う。

剣心は、自分はただの居候でござるよと答え、喧嘩なら、この相楽左之助が教えてやるぞ!と左之助が凄んでみせたので、弟子たちは逃げ去ってしまう。

それを観ていた明神弥彦(大八木凱斗)が、ケチだな…、教えてやったって良いじゃないかと突っかかって来るが、剣心は、今の世の中、飛天御剣流は必要ないでござるよ…と言って相手にしない。

そこに、お客さんですよと声がかかり、入って来たのは2人の警官だった。

警視総監の川路利良(小市慢太郎)と名乗った男が、お目にかかりたい人がいる。内務省の大久保利通だと言う。

左之助は怪しんで、行くな!ろくなことにならない。行くなら俺も行くぜと警戒したので、川路は、左之助の同行も許可する。

左之助と一緒に内務省に出向いた剣心は、 大久保利通(宮沢和史)と出会う。

お久しぶりでござると剣心が挨拶したので、左之助は、始めてじゃないのか!と驚く。

緋村、やっと会えたな…と応じた大久保は、志々雄が京都で暗躍していると教えるが、左之助が知らないようだったようなので、抜刀斉の後継者だと説明する。

緋村同様、子飼の暗殺者として志々雄も暗躍したが、奴は腕も頭の切れも緋村とほぼ互角…、違うと言えば、奴は、弱い者をいたわるお前のような優しい気持ちは持ってなかったと言う。

(回想)官軍が勝ったぞ〜!

錦の御旗が翻り、斬って斬って斬りまくっていた志々雄の元に、官軍の仲間たちが嬉しそうに集結して来る。

それを迎えた志々雄だったが、次の瞬間、その仲間たちから一斉に刀を貫かれる。

用が終わった途端、口封じの為に抹殺されようとしていたのだ。

(回想明け)志々雄が行った仕事の中には、明治政府を根底から否定するものもあったからだと話す大久保。

志々雄は全身を焼かれた…と大久保は続ける。

(再び回想)他の死体と共に集められ、油を撒かれた後、火を放たれた志々雄は完全に死んだと思われていた。

しかし、雪が降り積もった中、焼け残った死体の一つが蠢きだす。

志々雄だった。

全身大火傷を負い、瀕死の重傷だったが、彼は生きていた。

(回想明け)今や志々雄は、京都の裏社会に生き続け、武器証人と手を組み、一大勢力を作り上げた。

あいつの目的は明治政府の転覆…、今まで送り込んだ討伐対はことごとく壊滅した…

もはや頼みの綱はお前しかいない…と苦しそうに告げる大久保。

そんな大久保を観て、随分やつれましたね…と気遣う剣心。

古い時代を壊すより、新しい時代を築く方がはるかに難しい…、一週間考えてくれ、5月14日、良い返事を待っていると大久保は言う。

道場に帰って来た剣心から大久保の依頼を聞いた薫は、冗談じゃないわ!あなたにその人を暗殺させようとするなんて!と憤慨する。

もう二度と、剣心に人斬りはさせない決心だったからだ。

京都になんか行かせない!そう薫は言い切る。

東京 紀尾井町 5月14日

移動中だった大久保利通の馬車を見つけた瀬田宗次郎(神木隆之介)は、土手の上を走り出すと、大きくジャンプして馬車に飛び移る。

そして、外側からドアを開き、中に侵入した宗次郎は、驚く大久保の口を塞ぎながら、初めまして…、志々雄さんからの伝言です。緋村を京都に差し向けるようだが、所詮は無駄なこと。この国は俺が頂く!と言うと、いきなり刀で大久保を貫く。

道場で洗濯物を干そうとしていた剣心は、止めとけよ、あんなうさん臭い話…、あいつらとは性が合わん!と左之助から忠告されるが、弥彦に洗濯物を渡すと、話しがこじれそうなので1人が良いでござると言い出かけようとする。

そんな剣心を心配そうに見送る薫に、あいつはお前を残して京都に行くことはないと左之助は慰める。

大久保が殺されたことも知らず、馬車を走らせていた御者は、進行を妨げた数名の浪人ものたちに驚く。

浪人ものたちは御者に飛びかかると斬り殺し、後ろの扉を開くが、そこから転がり落ちた大久保の死体を見て、俺たちより前に誰かが!と驚きながらも、自分たちも刀で死体を突き刺す。

大久保暗殺現場での検視状況を、野次馬に混じり見た剣心は愕然としていた。

そんな剣心の背後に近づいた瀬田宗次郎は、暗殺を企てていた連中の事を知り、その計画を利用させてもらったと呟くと、そのまま立ち去って行く。

振り返った剣心は、塀を曲がって行く宗次郎の後ろ姿をちらりと観ただけだった。

警視庁で、志々雄の手のものか?これが志々雄のやり方だ。自分は絶対に表に出ず、徐々に政府の力を削いで行く…と剣心に告げた川路警視総監は、付いて来いと声をかけ、剣心を外へと連れ出す。

これは!剣心は眼前に広がる光景にあっけにとられる。

何十人もの警官の死体が並べられ、その家族たちが死体にすがって泣いていた。

志々雄に殺された警官たちだ。嫌がらせだろう…。今朝は役内務省に送られて来た…と川路警視総監は言う。

死体に泣きつく家族の姿を観ていた剣心は、自分がかつて暗殺した夫にすがりついて泣いていた新妻の姿を思い出していた。

大久保卿が言っていたことを言うぞ。お前しかいない。間もなく日本は迷走を始め、志々雄はそれを待っている。これは戦争だ!京都で待っているぞ!と立ちすくんでいた剣心に声をかけて来たのは斎藤一だった。

大久保内務卿暗殺の号外が撒かれ、それを薫も読んでいた。

そこに戻って来た剣心は、それも志々雄が仕組んだことでござるよと教える。

このまま放ってはおけない…、拙者は京都へ行くでござるよ。そう剣心が伝えると、志々雄も暗殺するの?と薫は聞く。

薫殿はあの時、拙者が人斬り抜刀斉と知っても道場に引き止めてくれた…、凄く嬉しかった…、しかし、志々雄にとって拙者は抜刀斉以外の者ではない…と剣心が言うと、その人が政府を恨んでいたって、あなたには関係ないでしょう?と薫は言う。

拙者が人斬りをやったので奴も後を継いだ…、奴を止めるのは拙者の役目…、過去を捨てることは誰にも出来ない…、そう言いながら剣心は薫の肩を抱くと、今までありがとう…、そしてさようなら…、拙者はるろうに…、又流れるでござる…と言い残し去って行く。

道場に戻り、高荷恵(蒼井優)と洗濯物を取り込んでいた薫から、剣心が京都へ行ったことを知らされた左之助は、何で俺を連れて行かない!と怒りだし、薫たちが取り込んでいた洗濯物を地面に叩き付ける。

足手まといだと思ったんでしょう?八つ当たりしないで!と恵は左之助に注意する。

薫!お前平気なのかよ!と問いかけた左之助に、止めなさい!あの娘が平気な訳ないでしょう!と恵が叱りつける。

薫は、物干竿にまだ下がっていた剣心の緋色の着物を観て物思いにふける。

腹が収まらない左之助は、興奮を鎮めるため外に出るが、そんな左之助の前に立ちふさがった男が、緋村抜刀斉はどこだ?と聞いて来る。

むしゃくしゃしていた左之助は、憂さ晴らしにちょうど良いと思ったのか、その男につかみ掛かって行くが、あっさり投げ飛ばされる。

ちょうど良い。俺を倒したら教えてやると笑った左之助は、その男に挑みかかるが、逆に半殺しの目に遭わされてしまう。

そこに駆けつけて来た恵は、倒れた左之助の顔を殴りかけていた男に、止めて!と声をかける。

寸止めしたその男、四乃森蒼紫(伊勢谷友介)は、恵の方に近づき、抜刀斉はどこだ!と聞いて来るが、私は通りかかりの医者、何も知らないわ…と恵がとぼけたので、木に立てかけていた刀を持って立ち去って行く。

東海道 小田原を通り過ぎ京へと向かう剣心だったが、その腰に上げた刀を観た街の人間は、刀だよ!いつの時代だと思ってるんだと呆れる。

どこかの空間に、大きな木箱を運び入れる謎の黒装束軍団

その一室にいた志々雄の元にやって来た瀬田宗次郎が、抜刀斉が小田原を通過したそうですと報告すると、あの村を通るな…と志々雄は呟く。

はいと宗次郎は答える。

夜の河原で、たき火をし、川で水を汲んでいた剣心は、たき火の側に置いておいた刀と焼き魚を取って行こうとする三度笠姿の女の姿を目撃し、おろ?と呟く。

刀を盗み宿場町を通り過ぎていたその女は、目の前に剣心が立ちふさがり、刀、返して頂けぬか?と言って来たので驚く。

その刀、拙者以外には何の価値もないと剣心は言い聞かすが、廃刀令の今、あんなに後生大事に持っているんだ。よっぽど大事な刀に違いないと呟いた女は、又逆方向へ逃げるが、あっという間に剣心に立ちふさがれる。

その女、巻町操(土屋太鳳)は拳法使いなのか、驚くほど機敏な動きで、剣心に挑みかかって来る。

鞘を握りしめている相手からを刃を抜いて見せた剣心は、これは逆刃刀でござる…と教えると、操は驚いたように、反りの腹側に刃が!斬れないのか?と呟くので、鞘を返して頂けぬか?と剣心はもう1度頼む。

あんた、何者?と鞘を返しながら操が聞くので、ただのるろうにでござるよと剣心は答え、何の為に刀が欲しかったのだ?と逆に聞くと、お足が欲しかっただけさと操は言う。

その時、突然、近くの家の中から転げ出て来た子供が、操にしがみつき、助けて!と言って来る。

兄ちゃんを助けて!と子供は操と剣心に頼み込む。

その子供の後を追って近くの草むらに向かうと、そこに血まみれの男が倒れており、村を救ってくれ…と剣心に頼んで来る。

瀕死の男は、俺は警官だ…、故郷が心配で来てみたら、志々雄に…と言うではないか。

この子を…、栄次を…と頼みかけたその男三島栄一郎(淵上泰史)は、操が水を持って来たと木にはもう息絶えていた。

兄ちゃ〜ん!と泣く弟、栄次(田端瑛)。

その弟に連れられ、近くの村にやって来た剣心と操は、村の中央の大木に吊るされた2つの遺体を発見する。

どうやら連れて来た子供の両親のようで、子供はその場で泣き崩れ、畜生!と悔しがる。

村には人影が見えず、突然、半鐘の音が聞こえたかと思うと、わらわらと不気味な男たちが姿を現す。

志々雄の配下のものたちのようだった。

栄次は持っていた小刀を抜こうとするが、それを剣心が止める。

志々雄の手下か?と剣心が聞くと、こいつらの息子が、村の情報を持ち出そうとしたので処刑したと男たちが答える。

見せしめと言う訳か…と表情を引き締めた剣心は、あっという間に、襲って来た志々雄兵たちを全員叩きのめす。

それを観た操と栄次はあっけにとられる。

子供の吊るされた両親を降ろそうとした時、待て!と言う声が聞こえ、それまで隠れていた村人たちが姿を現す。

長老らしき老人が、降ろしちゃならん。勝手に降ろせば、志々雄様のお怒りに触れる。志々雄様に逆らってはならぬ!と声をかけて来る。

しかし、剣心は無視して、両親を吊るしていた綱を斬り、2人を地面に降ろしてやる。

粉雪が待って来た中、これが、志々雄が作る新時代の姿か…と唖然とする剣心。

その時、拍手する音と共に、瀬田宗次郎が近づいて来る。

いや〜、さすがですね〜…、これだけを1人で倒すとは…、緋村抜刀斉さんですね?志々雄さんがお待ちです…と言い、きびすを返したので、剣心も黙って後を付いて行く。

抜刀斉の名前を聞いた操は唖然としていた。

近くにあった大きな屋敷内では、志々雄が部下を相手に試し切りをしていた。

さすが長曽根小鉄、斬れるな…と3人の配下を斬殺した志々雄は嬉しそうに刀を眺める。

それを屋敷内から笑って眺めているのは、志々雄の愛人駒形由美(高橋メアリージュン)だった。

そこに、客人を連れて参りましたと宗次郎が伝え、屋敷内に入って来た剣心は、御主が志々雄真実か?と問いかける。

無礼な先輩だな…、君くらい付けてくれよと答える志々雄真実。

何故この村を狙った?と聞くと、ここの湯がことのほか火傷に利くのでね…、でもこの身体だと他のものが怖がって近づかなくなるので、俺の村にしてあげたんだよ…と志々雄が答えたので、剣心がいきり立つと、冗談だよと笑って交わす。

復讐か?と剣心が問いかけると、もうそんな気持ちは忘れたよ。むしろ感謝しているくらいだ。色々なことを教えてもらったからな。信じていると裏切られる。殺される前にやれ!強ければ生きる…、単純明快な事実だ。俺がこの国を強くする!と言い放つ志々雄。

お前の手前勝手な正義のためにこれ以上、人の血を流させる訳にはいかん!と剣心が言うと、剣を抜きかけた志々雄は、宗次郎にその剣を放り、俺の代わりに遊んでやれと命じ、屋敷の中に入って行く。

良いんですか?じゃあ、遠慮なく…と剣を受け取り喜ぶ宗次郎。

何だ?その刀…がっかりだぜ…、京都で待っていてやる。人斬りになってやって来いと剣心に言い残し、由美と共に奥へと下がる志々雄。

遊んで下さいよと微笑む宗次郎。

何がおかしい!と剣心が気色ばむと、何もおかしくないですよと淡々と答える宗次郎。

奥に引き下がる志々雄は、あの両者の試合はおそらく抜刀術の撃ち合いになる。人を殺めることを何とも思わぬ者とそうでない者とは明確な差が出る…と由美に話して聞かせる。

その言葉通り、庭先で、剣を抜き合う剣心と宗次郎は、同じような構えから剣を抜くが、空中にジャンプしたか思えた身の軽い宗次郎が、剣心の剣をまっ二つにへし折ってしまう。

今度会うときまでに、新しい刀を用意しといて下さいよ…、そう言い残して、宗次郎屋敷の奥へ去って行く。

剣を折られ、呆然とした剣心は、屋敷を後にするが、村に戻って来ると、村人たちが、剣心が倒した志々雄兵たちを縛り付け、栄次に、親の仇を殺せ!とけしかけている所だった。

縛られた志々雄兵たちは皆怯えていた。

栄次は村人たちから言われるままに、剣を抜き、縛られた志々雄兵たちを刺そうとするが、一瞬早く、剣心がその腕を捕まえる。

御主が子の小さき手を汚しても、誰も喜ばない…。死んだ者が望むのは、生きている者の幸せでござる。志々雄一派のように、力で虐げるか?村人のように、暴力の前には何も出来ない者になるか?家族を最後まで案じ続けた兄のようになるでごるよ!と剣心が言って聞かせると、剣を捨て、その場で泣き崩れる栄次。

長峰小鉄?

その頃、宗次郎は、先ほど自分が志々雄から渡された剣が、名のある名刀だと由美から聞かされていた。

あの秘密の部屋に戻って来た志々雄は、十本刀を召集しろ!奴等が召集したら国盗りを開始する!と武器を集めて陶酔していた佐渡島方治(滝藤賢一)に命じる。

その頃、薫は、1人道場で木刀を降って稽古のようなことをやっていたが、その姿を観ていた左之助は、観てられねえんだよ!早く京都へ行きなよ。と声をかける。

恵もまた、やせ我慢している場合じゃないでしょう。医者の立場から言わせてもらえば、あの人は運動神経が人並みはずれて優れているだけで、他は普通の人間と一緒。受けた傷は確実に重くなっている。剣さんを殺すのは、敵や剣とは限らない…と意味深なことを言う。

俺は行くぜ!と、蒼紫にやられ満身創痍状態の左之助が言い出したので、あんたその身体で行くつもり?と驚いた恵は、だったら…と言い、高荷秘伝の薬を渡す。

あんた1人の分じゃないからね。剣さんにも渡して…と言われた左之助は、この薬はおめえが持って来いと薫に差し出す。

あいつの怪我を癒してやるのは、俺の役割じゃない!そう言い残した左之助は道場を後にする。

京都

人ごみの中を歩いていた剣心に、見つけた!と声をかけて来たのは操だった。

安い宿を紹介してやるよ、怪しいもんじゃないよ、遠慮せんといて!と一方的に言い、断ろうとする剣心を無理矢理連れて来たのは「葵屋」と言う旅籠。

奥から出て来たのは猫を抱いた白髪の翁、柏崎念至(田中泯)だった。

その翁に、操は、この方は道中でお世話になった、緋村抜刀斉さん!蒼紫様が探していた抜刀斉様だよと紹介する。

翁はその名を聞いて驚いたようだった。

奥の間に通された剣心は、京都は10年振りですかな?あのまま幕府が続いていたら、いずれ相まみえると思っておりましたが…と、相対して座した翁から言われる。

昔は隠密、お庭番、京都探索方を率いておりました…と翁は明かす。

幕府から情報収集を命じられ、身をやつすため始めた料亭が、今では生業になっていますと翁は苦笑する。

しかし、我らの仲間には、そうした時代に変化を割り切れん者もおります。

江戸城お庭番四乃森蒼紫もその1人。

勝海舟や西郷隆盛による話し合いの結果、江戸城は無血開城になり争いは回避されたが、そのために、戦に供えていたお庭番たちは、秘密保持の為、全員抹殺されることになった。

いきなり打ち首の場に連れて来られたお庭番たちは屈辱と狼狽の気持ちで死を迎えねばならなかったが、そこに仲間たちを救わんと駆けつけて来たのが四乃森蒼紫だった。

しかし、抵抗空しく、最強の軍団だったお庭番衆は皆殺しにされて島う。

生き残った四乃森蒼紫には、もはや守るべき仲間も幕府もない。

その憎しみは、新政府の飼い犬だった緋村抜刀斉へと向かった。

死んで行った仲間たちの墓前に、四乃森蒼紫は抜刀斉と最後の勝負を挑むことを誓う。

操は、奴が修羅の道に堕ちた事を知らず、今でも慕い続けている…と翁は言う。

拙者が京に参りましたのは、志々雄真実と決着をつけるため…と剣心も打ち明ける。

なるほど…抜刀斉が10年振りに京に帰って来るのだからただ事ではないと思っていたが…、お庭番の情報収集力は今も健在です。自由にお使い下さいと翁が申し出たので、では、お言葉に甘え…、人を探して頂きたいと言い出した剣心は、折れた逆刃刀を差し出し、この刀の生みの親、新井赤光殿の…と頼む。

急ぎ調べようと翁は承知する。

その後、剣心は、別の料亭に集結していた斎藤一と合流する。

京都警察の高野(眞島秀和)と言う人物が日本地図を取り出し、今現在、志々雄真実の手に落ちた村々の位置を紹介する。

何故軍隊を使わない?と剣心が聞くと、今時海外に対し、日本で内乱などと言う弱みは見せられないからだと言う。

このままでは志々雄の思いがままになる。だからこそ、俺たちがこうして集まった…と斎藤は言う。

キセルでタバコを吸っていた志々雄の元に金髪の男がやって来る。

十本刀の1人で大阪住まいの刀狩の張こと沢下条張(三浦涼介)だった。

張は、刀を折られた抜刀斉は新井赤空を探すのでは?と言う。

それを聞いた由美は、刀に詳しかったわね?と張を見る。

抜刀斉もつくづく間抜けだな。死人に刀を打たせようとは…と志々雄は笑う。

赤空の死を知った剣心は、その墓に参っていた。

俺は人を斬ることを止め、新世界を守るつもりですと墓前に誓う剣心だったが、そんな道があるなら俺にも教えて下さいと言いながら、新しい剣を渡して来た付き添いの男は、取りあえずそれを腰に剣客でもやって来たらどうです。それが折れた時、まだ戯れ言を言ってられたら、俺を訪ねて京都に来るが良いと言い残し立ち去って行く。

その後、剣心は、新井赤空の息子青空(渡辺大)の家を訪ねる。

妻と赤ん坊がおり、今では、包丁などを作っている平凡な刀鍛冶であった。

剣心は、お父上に世話になった者だが、刀を一振り打って頂きたいと申し出るが、青空は、父は昔、自分が作った刀が新時代を作る…、でもその刀で多くの貴い命が失われた。当時は動乱の時代だったからし方がない。でも今は明治。そんな人斬り刀は必要ない。申し訳ないが、二度と刀は作りませんと断る。

それを聞いた剣心は、なるほど…、失礼つかまつったと直ぐに謝る。

その頃、薫と弥彦も京都に到着していた。

舞妓に目を奪われる弥彦に気づいた薫は、半人前のくせに色気づくんじゃないわよ!と頭をこづく。

剣心は、街で風車売りを見かけると一つ購入する。

その頃、青空の家を訪れていた張は、赤ん坊に近づきながら、青空か?噂に聞いたことがある…、親父が打った最後の刀があると…。それ渡してんか?と脅して来る。

そこに、風車を持った剣心が戻って来る。

青空と妻は、うちの子が!とすがりついて来る。

帳は、赤ん坊が入った子守り駕篭を近くの神社に持って来ており、泣きじゃくる赤ん坊に、じきに黙らせてやるからと不気味なことを言っていた。

そこにやって来た剣心を観た張は、左頬の十字の傷跡!抜刀斉か!お前も赤空の最後の一振りを取りに来たんか?と呼びかけるが、剣心は、何のことだと睨みつけて来る。

張は、それやったら、わいが最後の一振りを手に入れても文句はない訳や?剣を手に入れても試し斬りできへんかったら、楽しみ半減やないか!と笑いながら赤ん坊を見る。

剣心は、そんな張と境内で戦い始める。

一方、町中で人ごみが出来ていたので何ごとかと尋ねた薫は、侍崩れが喧嘩してるんやと聞き、それは剣心のことだと直感し、弥彦と共に神社へと向かう。

神社の境内では、2人の壮絶な戦いが続いていた。

一旦、剣心が張を倒したかに見えたが、張は直ぐに戦いを挑んで来る。

たった1人のガキを守っている場合やないだろう?と張は嘲って来るが、拙者はかつて新時代を開くため多くの人を斬った…と剣心が答えたので、今さら自慢話か!と馬鹿にする。

明治の世になって10年、戦も流血も知らず子供が健やかに育つ平和が訪れた。その子は、掛け買いのない新時代の子だ!拙者の命に代えてもその子は必ず取り戻す!と言い放った剣心は、鞘を取って立ち向かって来る。

正義の味方ぶりやがって!張は怒りまくる。

そうした壮絶戦いを鳥居の所で観ていた新井青空は、あの人に賭けてみよう!と言いながら、神社から走って行く。

とある祠の前に来た青空は、その扉をこじ開け、「納」と書かれた箱を奥の方から取り出してふたを開ける。

父さん、守ってくれ!そう青空は言う。

神社には、薫と弥彦も駆けつけ、壮絶な戦い振りをあっけにとられて見守る。

そこへ走って戻って来た青空が、剣心に向かって持って来た剣を、これを!と叫びながら投げる。

剣心が受け取ると、父の最後の一振りです。それを使って下さい!と青空が叫ぶと、それはわいのもんじゃ!張は迫って来る。

しかし、剣心は、抜刀の構えをしたまま微動だにしない。

何や?真剣抜くのに何をそんなに躊躇しとるんや!と叫んだ張は、泣き続ける赤ん坊に向かい、待ってろ、今、ギッタギタにしたるさかい!と挑発すると、飛びかかった剣心が、抜いた刃で張の首を打つ。

首筋を押さえた張は、あんた、やっぱ最高やな…と呟きながらその場に倒れる。

伊織!と子の名前を叫びながら、青空が赤ん坊の元へ駆けつける。

呆然と立ち尽くしていた剣心に、剣心…と呼びかける薫。

しかし、張に近づいた弥彦は、斬ってねえぞ!逆刃刀だ!と叫んだので、良かったと言い泣き出す薫。

その時、青空の妻が警官隊を連れて来て、境内に倒れていた張は、警官隊に連行されて行く。

剣心、新しい逆刃刀か?と弥彦は声をかけるが、何故か剣心は、何も答えず境内から出て行く。

その夜、剣心は改めて、青空から受け取った赤空最後の一振りの逆刃刀の柄の部分を外し、刃の根本に刻まれた銘の部分を観ていた。

青空が言うには、父赤空は生前、たくさんの殺人剣を作って来たが、最後には改心したのだと言う。

通常、刀鍛冶は真打ちと陰打ちと呼ばれる2本の刃を打ち、出来の良い方を真打ちとして奉納するが、残りの1本は人にやったりするらしく、剣心が今まで使っていた剣は陰打ちの方だったと言うのだった。

別れ際、青空は、その剣はあなたがお持ち下さい。父もそれを望んでいると思いますと言ってくれた。

子に恨まれんとも、孫の世の為…と銘の部分に文字が刻まれていた。

そんな剣心の部屋にやって来た葵は、怒ってる?私が京都に勝手に来たこと…と恐る恐る聞いて来る。

半分!残りの半分はほっとした。志々雄一派はどこに潜んでいるか分からん。十分気をつけるように…と薫たちに言った剣心は立上がって部屋を出て行く。

すると、弥彦が、ほらね!男って、女に追いかけられているのを嬉しく思うもんだよなどと生意気なことを言ったので、薫は叱る。

その頃、十本刀を含む数百人の同士が集まった空間に由美を従えやって来た志々雄は、明日夜11時59分を持って、京都大火を実行する!

その後、聞いたかみんな!と狂ったような眼差しの佐渡島方治(滝藤賢一)が同志たちに喝を入れ、同志たちは賛同と歓喜の雄叫びを上げる。

一方、京都警察に捕まり、厳重な手かせをはめられ、牢に入れられていた十本刀の1人、刀狩の張に、志々雄は何を企んでいる!と尋問していた高見と斎藤は、いくら志々雄に忠誠心があるか知らんが…と言いながら痛めつけようとする。

すると、張は、志々雄への忠誠心なんかあらへん。利害関係で集まっとるだけやと馬鹿にしたように答える。

その直後、警察に来ていた剣心の元にやって来た斎藤は、志々雄は京都を焼く気だ!と教える。

それを聞いた剣心は、池田屋事件?と呟く。

あの時、俺等新撰組が未然に防いだ計画を志々雄は再現する気だと斎藤が言うので、しかし、何故あの男は、そんな情報をあっさり教えたんだ?と剣心は呟き、牢の前に言ってみる。

楼の中の張は、奇妙な笑いを顔に浮かべていた。

その後、葵屋に戻った剣心からその話を聞いた翁は、下弦の月、志々雄におかしな動きあり!京都は我々が根付いた土地…、全員、忍び装束の用意を!今こそお庭番の実力を見せつけようぞ!と集まった黒尉(小久保丈二)、白尉(佐藤滋)、 増髪(江田結香)、近江女(別府あゆみ)らに命じる。

警察隊も出動し、防御態勢に入ったので、町民たちは浮き足立つ。

葵屋では隠し階段が降ろされ、天井裏に隠していた忍び道具が開かれる。

操は、忍び装束に着替えた翁にマントを着せてやる。

私たちも戦うわ。中途半端な気持ちで来た訳じゃないのと葵が申し出、俺もだ!稽古の成果を見せてやる!と弥彦も気丈に言う。

剣心は、無理は禁物でござると2人に言い聞かせ、そこに、行くぞ!と誘いに来た斎藤は、これは生死を賭けた勝負だ!町道場の師範風情に出来ることじゃない!と言い出発する。

その場に残った薫と弥彦に、我々と一緒に行きましょうとお庭番衆から声をかけられ、同行することにする。

船室に集まった十本刀に、全員は位置に付け!と命じた志々雄は、宗次郎に、手みやげを忘れるんじゃねえぞと伝え、宗次郎もにこやかに、はい!と答える。

良し、放て!と志々雄は叫ぶ。

京都の夜空に、時ならぬ花火が打ち上がり、それを地上から相楽左之助、薫、警官たちも全員見上げる。

高見が、油断するな!と喝を入れる。

その時、街の一角から、先端に火を点けた竹の束を積んだ荷車を押す一団が姿を見せる。

その背後には、巨大な炎に包まれた山車が続いていた。

警察の威信にかけ、奴等の暴挙を食い止めろ!撃て!と高見が命じると、一斉に鉄砲が撃ち込まれる。

志々雄兵たちも、一斉に火の付いた竹束を民家に突っ込ませ始める。

警官隊と志々雄の大乱闘が始まり、剣心や左之助も戦いに加わる。

棒を持った薫や操たちも、別の場所で戦い始めていた。

そんな中、葵屋に陣取っていた翁は、戻って来たな…とやって来た四乃森蒼紫に話しかける。

抜刀斉はどこだ!頬に傷のある男を匿っていると聞いて来た。

操がお前を捜しているぞ。目を覚ませ!蒼紫!必要なのは戦いではない!と語りかける翁は、お前がもし、お庭番を捨て、修羅の道を選ぶのなら、わしがお前を潰す!とトンファーを両手に身構える。

お庭番たちが捕まえた志々雄兵を殺そうとすると、薫が殺しちゃダメ!と制止する。

そんな薫に屋根の上から志々雄兵が襲いかかろうとしていることに気づいた剣心は、飛び上がって叩き付ける。

京の街には半鐘の音が鳴り響いていた。

ここは私らに任せて!地上に降り立った剣心に薫が声をかけると、頼むでござる!と言い残し、剣心はまた走り去る。

葵屋の中では、翁と蒼紫の壮絶な戦いが続いていた。

剣心は、顔に包帯を巻いた志々雄が出現したので身構えるが、何と、周囲から何人もの同じ姿の志々雄が出現する。

翁相手に執拗に攻撃を続ける蒼紫

橋の袂で戦っていた左之助は、お馴染みの竹野竿を拾い上げると、以前やったように、棒高跳びの要領で川を飛び越そうとするが、途中で川に落下してしまう。

川の中に立上がった左之助は、やってくれるじゃないぞ!と自分に喝を入れる。

仲間から蒼紫が戻って来たと聞かされた操は、嬉しくなって葵屋に戻る。

翁の姿を一瞬見失い、葵屋の二階に上がった蒼紫は、抜刀斉はどこだ!と叫ぶ。

すると障子が開き、まだそれか…と呟く翁が姿を現す。

蒼紫はそんな翁に飛びかかり、二人は庭先の落下する。

翁は、地面の下に埋めておいた竹槍を取り出すと、それで蒼紫の胸を突く。

そこに、蒼紫様!と笑顔で戻って来たのが操だった。

操は、戦っている2人の姿を目撃し愕然と立ち尽くす。

蒼紫は、二刀流で竹槍を切り刻みながら翁に近づくと、翁を斬り裂く。

その時、雷光が走る。

そこまで…、修羅を知ったか…と言ったかと思うと、血を吐き倒れる翁。

日本の刀を鞘に納めた蒼紫は、呆然と立ち尽くしている操に、俺はかつての蒼紫はない…と言い残し立ち去って行く。

雷が鳴る中、剣心は大勢の偽志々雄と戦っていた。

薫は必死に戦っていたが、さすがに疲労の色は拭えなかった。

その時、雑魚共はすっこんでろ〜!と叫びながら、左之助がやぐらを倒し、剣心を助ける。

どうしてここに…と、左之助の姿を観て剣心が驚くと、どうしてって、お前を助ける為に決まってるだろうが!と怒るように答える左之助。

かたじけない…と剣心が礼を言うと、分かりゃ良いんだよと左之助は頷く。

全員ひっ捕らえろ!そう命じていた斎藤に、何かおかしいとは思わぬか?と近づいて来た剣心は語りかける。

何もかも簡単過ぎるでござるよ…、京都大火が目的なら、志々雄は自分の目で確かめに来るはずだ…、そう剣心は考える。

その頃、井戸水で咽を湿らせていた薫の前に宗次郎が現れる。

宗次郎は薫に当て身を食らわせ気絶させると、抱えて馬に乗り込むとその場を走り去る。

戊辰、鳥羽伏見の戦いの時、徳川慶喜らは大阪湾から船で江戸に逃げた…、志々雄はその歴史をなぞろうとしているのではないか?と剣心は呟く。

同じ頃、この国をぶっ潰す!と叫ぶ志々雄。

奴等の狙いは東京だ!と気づいた剣心は、薫を抱えた宗次郎が乗る馬とすれ違う。

薫が仲介されたことを知った剣心は、必死にその後を追う。

屋根の上を突っ走り、飛び降りた先にいた馬に飛び乗る剣心。

どこだ〜!町中をうろつく四乃森蒼紫。

どこにいる?抜刀斉〜!どこだ〜!

その頃、雷雨の中、巨大なやぐらがいくつも倒れ、夜の海に出航する巨大な戦艦「煉獄」の姿があった。

宗次郎の馬を追い港に近づいた剣心は、海に出かかっていた「煉獄」に失踪する馬上から飛び乗る。

さすがだな…、京都大火が見せかけだと見抜くとは…と、船の艦橋で待ち構えていたのは志々雄だった。

甲板上に転がり落ちた心は、薫殿はどこだ!罪もない人を巻き込むことは許さん!と志々雄に聞く。

すると、捕まった薫が艦橋上部に連れて来られる。

俺が観たかったのは、あんたの中に流れる人斬りの血だ!せっかくの機会だ。決着をつけようじゃないかと応える志々雄。

痛いぜ、熱いぜ!それだよ!それなんだよ!と目を輝かせる佐渡島方治他、十本刀も乗り込んでいた。

嵐の中、志々雄!と甲板から睨みつける剣心。

必ず生きて!と艦橋上部から叫ぶ薫。

かかって来た十本刀と戦う中、抜刀斉!と艦橋から呼びかけた方治は、そんなもんか?伝説の人斬りとはそんなものなのか?とあざ笑う。

多勢に無勢、形勢不利と判断した剣心は海に飛び込む。

何だよ…、伝説の男がつまらねえ心中ごっこかと艦橋から嘲笑する志々雄。

薫殿〜!荒れ狂う嵐の海の中、波に翻弄されながら叫び続ける剣心

その後、嵐が去った昼間の浜辺に打ち上げられ気絶した剣心の姿があった。

そこに近づいて来た男は、剣心が持っていた剣を取り上げ、刃を抜いてみる。

そして、その逆刃刀を、倒れていた剣心の頭の上に突き刺すと、男は剣心を肩に抱え上げ歩き始める。

浜辺を歩く謎の男(福山雅治)のアップ…


 

 

inserted by FC2 system