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モンスターズ 地球外生命体

見終わって感じたことは、この作品を作った若き監督に、大作「GODZILLA」の監督を任せた判断は正しかったと言うものだ。

製作費のあまりの少なさは情報として前から知っていたが、これほどの映画になっているとは想像もできなかった。

チャチさはどこにも感じられないからだ。

ロードムービーと言う体裁自体は、確かに予算を喰わないだろうなと想像出来るとしても、これだけエフェクトが加わっており、モンスター映画としても楽しめる映画になっていたとは想像もできなかった。

監督の非凡な才能に驚嘆せずにはいられない。

エフェクトの技術はもちろん、話作りにもセンスを感じる。

監督は、特撮映画のみならず、SF小説も読みこなしている雰囲気があり、この作品も、ハリウッド風のコケ脅かし映画と言うより、終末の雰囲気漂うデストピア小説の文芸世界のようだ。

こうした雰囲気の映画が、何故我が国で生まれないのか不思議なのだが、大人の感覚を持った作家、大人の感覚を持った観客が共にいない為ではないかと思う。

子供の感覚を引きずったオタクは日本にもいるので、その手の作品は成立するのだが、大人の空想や幻想作品は、特に映像世界ではなかなか生まれないような気がする。

さて、この作品を観ると、この監督の「GODZILLA」との共通点をいくつも見いだすことができるはずだ。

特に、ここで登場しているモンスターは、そのまま「GODZILLA」に登場するゴジラやムートに重なることが分かるだろう。

体長100mくらいで夜の闇に紛れ易い黒っぽい体色。

生物としてのモンスター設定がきちんとしており、雄と雌がおり、クライマックスで求愛行動が描かれる。

モンスターは自然と同じようなものなので、それを人間が文明力などで防ごうとしても無意味である…等々

つまり、「GODZILLA」はこの「モンスター」を焼き直しただけとも言えなくもないような気もする。

話の基本も、男女の出会いと別れ…と言った映画の基本のようなシンプルさ。

地味ながらも、色々考えさせるものもある奥深さを持った見事な作品である。

▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

2011年、イギリス、ギャレス・エドワーズ脚本+監督作品。

6年前、NASAは太陽系に地球外生命体の存在を確認し、探査機でサンプルを採取する。

しかし、大気圏突入時にメキシコ上空で探査機は破損。

その直後から地上でモンスターが増殖し始めたため、メキシコの半分は危険地帯になる。

アメリカ軍とメキシコ軍によるモンスター退治は今も難航している。

男女2名の生存者を発見!と叫ぶ兵士。

夜中、発見した市民を20分くらいかかる基地まで運ぶ兵士の軍用車

途中、闇の中に出現したモンスターと遭遇、無線で攻撃許可を受けた後、発射準備にかかる。

タイトル

瓦礫と化したメキシコの街の上空をヘリが飛ぶ。

すみません。ここにいた人たちは?と救助隊の人間に聞いたのは、報道カメラマンのコールダー(スクート・マクネイリー)だった。

救助隊員は、けが人がたくさん出た。あっちだと指差すので、病院か?と確認したコールダーは、通りかかったバイクの後ろに乗せてもらい、病院に到着すると、受付で、ホテルに泊まっていた客で…と探している人物の説明する。

すると病室を教えてもらえたので、そこへ行ってみると、探していたサマンサ・ウィンデン(ホイットニー・エイブル)を見つける。

コールダーは、サマンサが本人かどうか確認すると、自分は親父さんが雇っているカメラマンだと自己紹介し、様子を見て来いって言われたんだと説明する。

サマンサの怪我は大したことはなさそうだった。

報告の電話をかけたコールダーだったが、お嬢さんを港まで送って行ってくれと新たな依頼を受け、断ると首になるのか?俺は3年待ってここにやって来たんだぞ!お断りだね!と文句を言う。

結局、その頼みを受けるしかないと悟ったコールダーは、サマンサと一緒に、通りかかった車に乗せてもらい港に向かうことにする。

ここに住んで怖くないの?とサマンサは現地人である運転手に話しかけると、家族はみんなここにいる。奴等は毎年来る、運任せよ…と運転手は達観したように答える。

地元の駅に着いたサマンサは、港行きの列車の発車を知らせるアナウンスが流れている中、父親に電話で無事を知らせる。

すると、父親は、ジョーには電話をしたのか?婚約者なんだから電話をしなさいと言うので、サマンサの表情は暗くなる。

父が電話を替われと言うので、嫌がるコールダーに受話器を手渡すサマンサ。

雇い主であるウィンデン社長は、君が果たすことは、必ず無事に娘を家まで送り届けることだと命じる。

正直、一方的な指示に当惑したコールダーだったが、列車の発車時間が過ぎていたので、慌てて、電話を切ると、サマンサと共に港行きの列車に飛び乗る。

奴等の写真撮ってるの?と席に着いたサマンサが来たので、ここらは死骸ばかりだ。今に御宅の新聞の一面を飾ってやると答えたコールダーは、君はどうしてここにいるの?働いてる?と逆に聞き返す。

遊んでいるように見える?とサマンサが苦笑したので、子守りになれてなくて…とコールダーはごまかし、その後、怪我をしているサマンサの左手を包帯で巻いてやる。

列車が鉄橋に差し掛かると、山の向うで爆発音と灯が見える。

列車は停車し、車内放送が、次の停車駅が危険地帯に指定されたのでサン・ホセに引き返しますと言う。

コールダーは、デッキの所で写真を撮っていたが、近づいて来たサマンサから列車が戻るらしいと聞くと、ダメだと断る。

周囲は日が暮れていたが、コールダーはサマンサと列車を降り、港に向かうことにする。

こんな所に降りて大丈夫なの?とサマンサは土地勘のない場所に怯えるが、コールダーは近所で見つけた家の主婦に港まで行きたいのだが…と聞いてみる。

主婦は、港に行くと言う2人に地図を出して来て、ここからだと100km以上あるし、途中の線路も破壊されている。バスはない。夜は危険だから。この道路も使えなくなっているし…と説明し、そもそも港は2日後に封鎖されるらしってと説明する。

それを聞いたサマンサは、2日以内に港に着かないとアメリカに帰れないのね…と理解する。

TVでは、子供用のアニメをやっており、モンスターが来たらマスクを付けるんだよと解説していた。

結局、2人はその家に一晩泊めてもらうことになり、コールダーが主婦の赤ん坊をあやしていると、あなたたち結婚しているの?と主婦は聞いて来る。

夫婦じゃないよ、独身だとコールダーは答える。

ニュースでは、アメリカ軍の攻撃が例年より早いと言っている。

翌朝、先に家を出たコールダーは、近所の子供たちにガスマスクを付けさせ写真を撮っていた。

サマンサは主婦から水と食料を渡され、恐縮していた。

コールダーはもらっときなよと声をかける。

出発したコールダーは、途中、結婚は?とサマンサに聞くと、婚約中よと言う。

「危険地帯まで200km」の標識が立っている。

2人はヒッチハイクを試み、小型トラックの荷台に乗せてもらう。

荷台にはもう1人、バーネットと言う人物も乗っており、港行きのバスは次の村で乗れると教えてくれる。

次の村で降りたコールダーは、近くにいた子供にモンスター観たことがある?と聞く。

3年以上前に観たことがあると子供は答える。

あなたの仕事、不幸なことが起こらないとお金にならないのねとサマンサが話しかけると、医者と同じだよとコールダーが答えたので、少し違う…とサマンサは呟く。

「港まで70km、アメリカ国境まで200km」の標識

君の親父さん、死んだ子供写真いくらで買うと思う?5万ドル。幸せな子供はゼロだ。だから、俺は悲劇を追っかける。ただの記録だ。生活のためだよとコールダーは弁解する。

ようやく港にバスで到着した2人だったが、港は軍の管理下にあります。許可証がないと渡航は認められませんと言うアナウンスが周囲に流れていた。

遅かったわ…とサマンサは嘆き、警備が厳しいな…とコールダーも表情を引き締める。

フェリーの切符売り場に行ってみると、すでに閉まっている。

それでも人が集まっている窓口に行き、係員にアメリカ行きのチケットは?とコールダーが聞くと、今日の分はもう終わりだと言う。

明日は?と聞くと、明日朝の7時便が最後で、1人分で5000ドルかかると言う。

あの人たちは?と近くで集まっている現住民のことを聞くと、危険な陸路の順番を待っているのだと言う。

コールダーは、彼女はアメリカ人だ。パスポートもある。2000だすと交渉してみるが、係員は5000と言って聞かない。

やむなく、コールダーは、5000ドル払うことにする。

横で話を来ていたサマンサは、酷い話ねと嘆き、コールダーも、ホテルもこの調子なら破産だ…と頭を抱え、俺もここで泊まらなくてはならなくなった。金にならなかったから。テキーラ5杯でおごってもらえたら…と冗談を言う。

サマンサは、3杯で手を打つわと笑う。

安ホテルに着き、サマンサの部屋はすぐに見つかるが、コールダーの部屋の方の準備ができてないと言うので、しばらく一緒の部屋にいさせてもらうことにする。

テレビをつけると、軍が一斉攻撃をするそうですと、相変わらずモンスターのニュースをやっているだけ。

サマンサは、汗臭い!シャワー浴びたいわ…と、コールダーが部屋にいるのを牽制してくるが、コールダーは、後で飲みに行かないか?奴等が来るまで後2日あるなどとしゃべり、気づかない振りをする。

サマンサがシャーを浴びている間、昔、ジュエルと言う変な学生がいた。気象予報士を目指していると言ってた。結婚していたけど、いまにも別れそうな夫婦っているだろう?などとコールダーは部屋から話し続ける。

TVでは、アメリカが、防護壁を全て完成させたと報道していた。

コールダーは、部屋の電話をかける。

相手は留守電になっていたので、誕生日、おめでとう!2、3週間したら、又会えるだろう、又電話するよとメッセージを残し、電話を切る。

シャワーから出て来たサマンサが誰から?と聞いて来たので、フロントだよ。部屋の用意ができたって…とコールダーは噓を言う。

着替えたいんだけど?とサマンサが露骨に迷惑顔になったので、30分後に外で会おうと言い残し、コールダーは部屋を出て行く。

その夜、外に出かけた2人は、焼きトウモロコシを食べながらテキーラを飲む。

周囲には陽気な歌と踊りが普通に行われていたが、近くには「静粛に!ガスマスク不可」「爆撃は止めろ 死者5000人」「政府のモンスター爆撃反対」などと書かれた看板がたくさん建っていた。

教会に向かうと、膨大な数の死者を弔う蝋燭と亡くなった「子供」たちの写真が並んでおり、それを観た2人は厳粛な気分になる。

2人は又バーに行き、テキーラを飲むが、TVでは、メキシコにモンスター出現と言うニュースが流れていた。

アメリカに戻って何するの?とコールダーが聞くと、婚約者に会って、結婚して、めでたし、めでたし…とサマンサは醒めたように答える。

式はいつ挙げるんだ?と聞くと、まだ決めてないのとサマンサは言う。

とにかくお祝いだ!とコールダーはグラスを差し上げる。

店の外には、「爆撃をやめろ~!家を返せ~!」とスピーカーから流しながら車が通り過ぎて行く。

酔って一緒にホテルに戻って来たコールダーは、いるかは12分しか息を止められないって知ってた?寝るときは水面に浮いてるだけってことかな?ほ乳類なんだなどとくだらないことをしゃべって、サマンサの部屋の前まで来る。

じゃあ、おへそがあるってこと?とサマンサが聞くと、へそがあるんだ。君は海洋生物学者みたいだなどと答えながら、ずっと部屋の前から立ち退こうとしないコールダーは、実は俺の部屋のエアコンが壊れててね。この部屋のベッドでかいだろ?などと意味ありげなことを言って来たので、サマンサはしらけた顔になり、今夜は楽しかったと言う。

僕もだ…と答えたコールダーは、教会は君と一緒だと全く違って見えた…などと、まだしつこく話しかけていたが、サマンサが扉を閉めたがりそうにすると、お休みと言い残し立ち去って行く。

サマンサは、ベッドに横になる。

その後、コールダーは又外に出て、1人テキーラを飲み続ける。

サマンサはアメリカのジョンに電話を入れてみるが、留守電になっていたので、そのまま切ってしまう。

翌朝、港では、軍の命令で1時間後に港を封鎖します!とアナウンスが流れていた。

コールダーはまだベッドで寝ていたが、ノックの音が聞こえたので渋々起き上がり出てみると、サマンサが立っていた。

お早うと挨拶して来たサマンサは、出発の前にコーヒーでも飲もうと思って…と誘うが、暗い部屋の中に目をやったサマンサは、ベッドに女らしき人物が寝ている姿が見えたので、やっぱり良いわ。もう行くわ。コーヒーはもう言いからと言い、港に向かう。

一緒にコーヒーを飲むつもりだったコールダーは慌て、パンツ一丁の姿のまま外へ追って来る。

何してる?とコールダーが聞くと、船に乗るのとサマンサが言うので、そんなこと聞いてないとコールダーは言う。

家に帰るわと言うので、さよならだ!とコールダーも納得し、どうした船に乗れよ?と、その場に立ったままのサマンサに勧める。

乗れない…、私のパスポート返して!とサマンサが言うので、慌てて部屋に戻ったコールダーは、今まで一緒に寝ていた女の姿が消えていることに気づく。

フロントに行って、女は?と聞くが、要領を得ない。

部屋に戻り、ベッドの上や服の中をかき回してパスポートを探したコールダーだったが、女に盗まれたと気づくと、バカ女!と怒鳴り付ける。

港には軍の戦車がやって来る。

昨日のチケット売り場に行き、盗みに会ったんだ。彼女をアメリカに帰してやってくれと係員に頼むが、もう港は軍に封鎖されたと言うだけ。

5000ドルもやったんだ!とコールダーは抗議するが、昨日のことだと係員は答える。

係員は、陸路を選ぶともっと金がかかるぞと言い出し、1万ドルを要求して来る。

サマンサは、私の父が払うと交渉するが、証拠を見せろ!ここに金を出してくれと言うので、コールダーは、自分の腕時計やカメラを差し出し、残りはアメリカに帰ったら払うと言うが、こんなものいらん。金を持って来い。これじゃ足りないねの一点張り。

サマンサは、自分のダイヤの指輪を差し出す。

本物か?と受け取った係員は疑いの目で見返すが、もちろんと答えたサマンサは、チケット2枚、彼と一緒に行くと要求する。

指輪を持ってしばし考えていた係員は、良いでしょうと承諾する。

結局、陸路を選んだ2人は、現地人が運転する三菱トラックの荷台に乗ってアメリカに向かうことになる。

「10km先検問所」の標識が見える。

途中の川縁でエンジン付き小舟を見つけたので、それに乗り換えようとしてみたコールダーだったが、エンジンが壊れているようで使い物にならなかった。

危険地帯を通過した車は除染を受けて下さいと、検問所の近くではアナウンスが流れていた。

許可証では、運転手がビクトルに聞いてくれと係員に説明、そのビクトルらしき人物が、こいつは良いんだと係員に言って、あっさり通行書を出してくれる。

どうやら、ビクトルには賄賂を渡してあったらしかった。

無事、検問所を通過し、大きな川の近くまで来た時、運転手が降りて行き、船主らしき人物に金を渡そうとするが、相手は、これじゃあもうダメだと断ろうとする。

今回だけだぞと言うことになり、承知したらしき船主の船に乗り込んだコールダーとサマンサは、運転手がさっさと車に帰って行ったので、俺たちだけ?と呼びかけるが、返事はなかった。

2人はそのまま、その船主が操縦する小船で川を下り始める。

周囲には破壊された建物が時折見える。

やがて、船は岸に着いたので、ここまでなの?とサマンサは不審がるが、給油に寄ったんだと船主は言う。

サマンサはトイレに行きたくなったので、そこに板中を持った男に場所を聞くと、裏にあると言う。

そこには「地球外生物研究所」と書かれた不気味な建物が建っていた。

トイレを終え戻って来たサマンサとコールダーは、石段の上の方のジャングルから不気味な音が聞こえて来たので、何の音だ?と言いながらも、船に急いで戻る。

再び川を下り始めた船の中で、息子さんは?とサマンサが聞いて来たので、明日で6才だと答えたコールダーは、どうして別れたの?と聞かれると、さあと曖昧に答える。

6年前に彼女と出会って、2年後に子供がいると言われた。子供に、自分が父親って言わないでって言われた…とコールダーは寂し気に答えると、ところで、君、ペッと飼ってる?と話を変える。

いいえ、彼がペットアレルギーなのとサマンサが答えると、最悪だな…とコールダーは同情する。

その直後、エンジンの調子がおかしくなり、船は止ってしまう。

船主とコールダーで何とかエンジンを直そうとするが、すぐに周囲は暗くなってしまったので、その場で停泊することになる。

深夜、懐中電灯をかざしながら、あいつだ!と言い出したので、怯えたサマンサは、何なの?何がいるの?としつこく聞いて来る。

静かに!大きな声を出さないで!命令だ!動くなと船主が緊張気味に注意する。

そんな中、コールダーだけはいつものように、川に向かって写真を撮っていた。

やがて、暗い水面に巨大な物体が浮いて来る。

戦闘機だった。

そして、次の瞬間、川の中から伸びて来た黒い触手のような物が、その戦闘機に巻き付き、ゆっくり水中に引きずり込んで行くのが見えた。

今の何なの?サマンサが怯えて聞いて来る。

じっとしてて!と制止した船主だったが、逃げるぞ!こっちに来るぞ!と叫び、エンジンをかけて走り始める。

やがて夜が明けて来る。

川の中に沈んだ家が見えた。

「旅行者を2人乗せた船が来る」船内の無線機からそんな声が聞こえて来る。

船は岸辺に到着し、ここからは陸路だと船主に言われる。

そこに待ち受けていたのは、機関銃を持った武装兵のような数名の男たちだったので、銃を持ってるぞ!とコールダーは警戒する。

何に使うんだ?と問いかけても、案内人と称する男たちは、日没まで先を急ぐぞと言うだけだった。

山道を歩いている時、突如、何かが異様な鳴き声の生き物が道の前に飛び出して来たので、コールダーたちは肝をつぶすが、それはただの牛だった。

暗くなったので、みんなで火を焚いて談笑し合う。

後どのくらいだと聞くと、壁まで行くのに車で1時間半くらいだと案内人は言う。

近いんだな…とコールダーが答えると、明日の朝、別の家族と合流すると言う案内人は、アメリカは凄い金をかけて巨大な壁を作ったが、相手は自然と一緒だからな…、巨大な城でしかないと言う。

モンスターを観たことがあるかと聞くと、モンスターの写真とビデオを撮った。凄かった。100mくらいあった。腰抜かしたよとその巨大さを案内人は説明する。

この辺りは大丈夫なの?とサマンサが聞くと、高台にいれば大丈夫だ。こちらから危害を加えなければ大丈夫だと言う。

軍隊は化学兵器使うんでしょう?とサマンサが聞くと、毒薬撒かれるんだと言うので、モンスターは水辺にいるんだろ?とコールダーが聞くと、奴等は森の中にもたくさん潜んでいるんだよと案内人は言うではないか。

木に住み着いているんだと言うので、意味が良く分からず、木が汚染されているのか?と聞くと、観に行くか?と聞かれる。

一緒に近くの林の中に来ると、闇の中、木の幹に付着した猿の腰掛けのようなキノコ状のものがぼんやり輝いているではないか。

汚染ってこのことか…とコールダーが理解すると、奴等は、木の中で育って、海に降りて行くんだ。成長したらまた戻って来ると案内人は説明する。

森全体が汚染されてるのね…とサマンサも理解したようだった。

元のたき火の地点に戻ると、明日合流するグループらしき相手から合流地点まで後わずかと言う無線が入る。

コールダーは、サマンサの左手の包帯を外そう…と声をかける。

外すと、軽くなって気が楽になったわとサマンサは喜ぶ。

まだ痛い?とコールダーが気遣うと、曲げると少し…とサマンサは言うので、又、包帯を巻き直してやることにする。

この前は悪かった。俺、酔って…、ごめんとコールダーは、包帯を巻きながら謝る。

俺をあんな男だと思わないで欲しいと言うと、サマンサも、分かったと答える。

明日は家だ。待ち遠しいなと言いながら包帯を巻き終えたコールダーは、きつくない?と巻き方の具合を確認する。

ちょっときついとサマンサが言うので、包帯を巻いた手のひらにそっとキスしてやる。

まだきつい…とサマンサは甘えて来る。

少し眠った方が良いとコールダーは言い、サマンサもそうねと答える。

2人がたき火の前で仮眠を取っている中、案内人の1人が、コールダーのカメラを嬉しそうにいじっていた。

その時、奴が現れた!やばい!こっちに来る!急いで逃げろ!と言う無線の声が聞こえて来る。

どうやら、こちらに近づいていた合流組がモンスターに襲われたようだった。

車出すぞ!案内人たちが立上がるが、起きたコールダーは、カメラがないんだ!と慌てる。

何があった?これ以上進めないのか?とコールダーは案内人たちに問いかけるが返事はない。

サマンサは、怖いわ…と怯えるが、黙ってろ!全員マスクを付けろ!と案内人は命令して来る。

しかし、ガスマスクは案内人の分しか用意されてなかった。

彼らは、トラックに乗り込み暗闇の中を前進するが、先に走っていた1台が触手に持ち上げられ、地上に落とされる。

外に出るぞ!と叫んだ案内人は、車を降りると、一斉射撃を始める。

サマンサは地面に伏せ、車内に残ったコールダーどうなってるんだ!と怯える。

モンスターの触手が、もう一台のトラックも掴み上げる。

やがて、モンスターはゆっくり移動して去って行く。

夜が明け、コールダーはトラックの運転席で目覚める。

周囲を見渡すと、木の上に引っかかったトラックの1台を発見し愕然とする。

近くで案内人の死体を発見、コールダーは思わず嘔吐する。

その死体が、首から下げているのは自分のカメラだと気づき、気味悪がりながらも取り返す。

サマンサはコールダーを呼んでいた。

コールダーは、今日合流するはずだった相手のトラックに近づいてみる。

現地の女らしき死体を発見する。

トラックの運転席にも女の子の死体があった。

コールダーは、自分のカメラバッグも見つけたので、中からレンズを取り出すと、女の死体に上着をかけてやる。

トラックの荷台にも女の死体があった。

気がつくと、サマンサが泣いて立ち尽くしている姿を見つける。

コールダーは、死体からガスマスクを2つ取り上げ、あにお不気味なキノコが木に付着している林の中を進みだす。

途中、サマンサがオシッコがしたいと言いだし、側の草むらに入って行くが、その直後、サマンサは、あれを観て!とコールダーに呼びかける。

そこには、古代のピラミッドがあった。

2人はピラミッドを登ってみる、川の対岸に延々と続く、アメリカが作った防護壁が見えた。

しかし、あんなでかいもの良く作ったな…とコールダーは感心する。

世界の七不思議ねとサマンサも感激した様子。

涙が出そうで…、嬉しいのか哀しいのか分からない…とサマンサは目の前に見えたアメリカを前に呟く。

外から観るとアメリカが違って見える…

明日になったら整理された郊外の家で、ここで会ったことは忘れているだろうな…とコールダー

さっきの女の子、4つか5つかな…

違うこと考えてた…、おかしな話…、環境で笑いが違うって…とサマンサ

笑う練習?と聞かれたコールダーは、する訳ないじゃないかと答え、2人はいつしか笑っていた。

日が暮れ始めたので、明日も朝早くから歩くから、もう寝ろとコールダーはサマンサに言う。

トミーにはたまにしか会えないんだ。女が結婚したから…とコールダーが話すと、あなたが父親なのに?とサマンサは不思議がる。

トミーはその事を知らない。今のままで良いんだ…とコールダーは答える。

トミーにとってもね…とサマンサは同意する。

翌日、2人は、巨大な壁の隙間にある「アメリカ国土保障局」と書かれた検問所のような所にたどり着くが、事務所の中には誰もいなかった。

アメリカに入り込むと、アメリカ国旗が翻り、「ようこそアメリカ合衆国へ」とか「避難経路 15キロ先」などと書かれた表示板が見えた。

見渡す限りの周囲も、空爆を受けたような様子で、人の姿が見えなかったので、2人は不安になる。

家はあるのに人はどこに?まさか、瓦礫の下?とサマンサが怯えるので、死体があれば匂いがするはずだとコールダーは否定する。

とにかく歩こう、どっかに人がいるはずだ…とコールダーは励まし、2人はまた歩き始めるが、上空を戦闘機が飛んで行くのが見えた。

念のため、ガスマスクを装着して歩き続ける2人

途中、建物の上に覆いかぶさったモンスターの死骸を見つける。

とある建物の中にコールダーは入ってみるが、下からサマンサが、何をしてるの?と聞いて来て付いて来ようとしたので、サム!入るな!写真を撮ってるだけだと言って制止する。

そんな中、物を積んだ乳母車を押した浮浪者のような老婆を見かけたので、サマンサはすみません!と声をかける。

すると、老婆はぴたりと止り、じっとサマンサの方を観て動かなくなる。

こんにちは!他の人はどこに?と出来るだけフレンドリーな口調でサマンサは話しかけてみるが、老婆は急に、ダダダダダ!ドン!と大きな声を出すと、何ごともなかったかのように、又乳母車を押して去って行ってしまう。

「緊急避難経路 5km」と書かれた表示板

又、夜になるが、2人は黙々と歩き続ける。

やがて、2人は灯の付いた建物を見つける。

そこはスーパーのようだったが、誰もいなかった。

取りあえず電話が見つかったので、警察に電話をかけてみると、名前と怪我をしていないかなど簡単な質問を受ける。

服装を聞いて来たので、周囲には僕ら以外には誰もいないからすぐ分かるはずだけど?とコールダーが答えると、すぐに軍のパトロール部隊が行きますと電話の向うの女性は言ってくれる。

パトロール隊を待つ間、レジの所でコールダーは、ずっとレジ係に憧れていた。子供は親の真似をする。トミーは俺に似るかな?と呟くと、カメラを上げれば?レジ係りに合ってるわとサマンサが冗談を言う。

明日は何をする?とコールダーが聞くと、さあ…、分からない…、あなたは?とサマンサは逆に聞いて来る。

コールダーも、さあな…と答え、ちょっと電話して来ると言い残し、店の外に出る。

そして、自分のケイタイでトミーに電話をかけると、お誕生日おめでとう!と伝える。

店の中では、サマンサがジョンに電話をかけていた。

コールダーは、トミーに、欲しい玩具のことを聞いていた。

サマンサは、私は大丈夫と伝えていた。

コールダーは、泣きながらトミーと会話していた。

ただ、少し疲れているのよ…とサマンサ

又今度会いに行くから…とコールダー

あなた、来てくれなくて大丈夫よ…とサマンサ

2日後には家に帰れるから…、そっちが無事か確認したかっただけだから…とコールダー

大丈夫よ、家に帰ったら、話す時間はたっぷりあるわ…、私もよ…、愛してると話しながら、サマンサは外の暗闇で打ちひしがれている様子のコールダーを見つめる。

コールダーは、マーケットの前の芝生に横たわっていた。

空には雷鳴が聞こえだす。

店の中にいたサマンサは、何気なく店内を見回していて、思わず表情が強張る。

モンスターの触手が店内に入り込んでいるのを発見したからだった。

店の外で寝ていたコールダーも、スーパーの天井に張り付いているモンスターを発見、店内のサマンサのことが気になるがどうすることも出来ない。

その内、店内の触手は引っ込み、もう一匹の巨大なモンスターが接近して来たことに2人は気づく。

サマンサも店の外に出て来て、モンスターを見上げる。

接近した2匹のモンスターは、互いの触手を伸ばし合い、絡み付かせると、互いに愛おしそうな鳴き声を上げる。

それを見上げていたコールダーもサマンサも泣いていた。

愛し合っているかのように見える2体のモンスターは、やがて離れて別れ別れになる。

そこに、軍隊の車のライトが近づいて来る。

お別れだなとコールダーが言うと、私、帰りたくない…とサマンサは言い、いつしか2人は求め合うようにキスをしていた。

そこにパトロール隊が駆けつけ、2人をそれぞれ車の方へ引っ張って行く。


 

 

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