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THE NEXT GENERATION パトレイバー 第4章

実写版「パトレイバー」の「エピソード6」と「エピソード7」に当たり、衛星放送と劇場で特別興行されたもの。

「エピソード6」は、「エピソード5 大怪獣現わる 前編」の後編部分。

観光客の減少で財政難に苦しむ熱海に、サーファーが大量に失踪すると言う事件と、巨大なカッパのような大怪獣の頭部が出現すると言う事件が同時発生。

市長の要請で事件を調査する女性海洋学者に、休暇で当地を訪れていた隊長以下、二課の連中が合流して事件に立ち向かうと言うもの。

内容は、オタクが(怪獣やミリタリー)オタクを茶化すと言うパロディ仕立て。

怪獣ファンやミリタリーファンが喜びそうな仕掛けが色々登場しているし、意外なキャストの登場なども楽しい。

特に、かつて、ザ・ピーナツが演じた「双子の小美人」を連想する双子の歌手が登場しており、これを往年の人気双子デュオ「リリーズ」が演じていると言うのが懐かしい。

怪獣の出現に関してはオチがついているのだが、気軽な「オタクネタ」として観れば、十分楽しめる作品になっている。

「エピソード6」の方は、爆弾魔と二課棟の面々との攻防戦。

爆弾サスペンスに、相変わらずのぬる〜い日常を混合させ、独特のドタバタ劇に仕上げている。

こちらも普通に楽しめる作品である。

▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

2014年、「THE NEXT GENERATION -PATLABOR-」製作委員会、ヘッドギア原作、山邑圭脚本、押井守脚本+監督作品。

20世紀の後半、テクノロジーの発展と共に、あらゆる分野に普及した汎用型作業機械「レイバー」

巨大なロボットが日常となった世界で多発する犯罪に供え、警視庁は特化車両二課「パトロールレイバー中隊パトレイバー」を設立した。

2013年、東京…

長過ぎた不況でレイバーもすっかり下火になり、「栄光の初代メンバー」は解散、今や「無能の三代目」と言われているが、それでも特車二課はかろうじて存続していた。

前編のあらすじが流れる。

「エピソード6 大怪獣現わる 後編」

なかなか全身を見せない大怪獣「ガッ☆」をおびき寄せるための苦肉の策として、カーシャ(太田莉菜)、泉野明(真野恵里菜)、熱海市長の美人秘書(奥田恵梨華)らと共に、海が見える露天風呂に浸かっていた海洋学者・七海言子(松本圭未)は、海の方に何かを発見して驚く。

すると、その露天風呂の下に隠れて女湯を覗こうと待機していた熱海市長樺山久蔵(ベンガル)、後藤田継次(筧利夫)、御酒屋慎司(しおつかこうへい)、大田原勇(堀本能礼)、山崎弘道(田尻茂一)、塩原佑馬(福士誠治)らスケベ男たちもアッと驚いて立上がったので、七海は持っていたビール瓶で佑馬の後頭部を殴りつけると、覗いたら殺すって言ったろう?と呟く。

海の彼方に見えていたのは、アメリカの第七艦隊「ジョージ・ワシントン」の船影だった。

タイトル

市長室に戻って来た樺山市長は、官房長官に電話を入れ、何故、網代湾に第七艦隊が来ているのか?と問いただす。

日米安保条約?と樺山市長は驚く。

確かに、「外部勢力」に「怪獣」も含まれるでしょうが…、ラドン温泉?

とにかく、原子力空母などが熱海港に入港されては困ります!と樺山市長は厳重抗議し、電話を切ると、一両日中に引き上げるそうだと秘書に伝える。

それを聞いた美人秘書は、面白がっているだけだと思いますと無表情に答え、市長が呼びだしていた御酒屋慎司がすでに来ていると市長に教える。

樺山市長は御酒屋に何事かを依頼すると、財政状態が悪く予算は組めんが…と断るが、御酒屋はあっさり承知して帰って行く。

そこにやって来たのが、熱海署刑事部長塩見治郎(隆大介)だった。

失踪サーファーが200人を超えたそうだな?と樺山市長が聞くと、本庁から管理官が来てましたが、レイバー騒ぎの方に興味があるようで…と塩見は皮肉る。

そんな塩見に、樺山市長は、折り入って頼みたいことがあると言い出す。

一方、独り住まいの自宅に帰宅して来た七海は、愛猫を抱き上げパソコンを立ち上げ、牛乳パックを飲みかけるが、台所のシンクにまずそうに吐き出すと、腐っている!と顔をしかめ、冷蔵庫の中に入れてままにしていた食料品をどんどん棄てていく。

そして、散らかり放題の寝室に入ると、何事かを考えながら、衣類、ヌンチャクやウィスキーの角瓶などを次々にバッグに詰め込み始める。

愛猫もそのバッグに入れる。

夜の「熱海銀座」

暗い海面から、大怪獣ガッ☆が出現、上陸すると、口から放射能火炎、目からレーザー光線でビルを壊し、スマホで撮影していた観光客等がいる熱海城を、頭の皿からは反重力光線で破壊し尽くす。

「大怪獣熱海に現れる」とタイトルが入った映画の画面

それを、作戦司令室で観て大喜びで拍手する特車二課の御酒屋や佑馬たち。

その背後には、樺山市長、後藤田、七海らも控えていた。

東京の映像プロダクションに頼んだと御酒屋が説明する。

先日、樺山市長が御酒屋に依頼していた観光宣伝用シミュレーション映像の試写だった。

しかし、七海は、そんなものを作ったことに呆れ果て、何ですか!海洋生物が放射能火炎やレーザー光線、反重力光線って!と妙にオタクっぽい突っ込みををする。

後藤田は、今時、3DCGではなく、特撮でやるとは…と、これ又オタクっぽく感心していた。

御酒屋が絵コンテは自分が切った自慢すると、モンスターデザインは俺がやった!と佑馬が自慢する。

そんな男共の話を聞いていた七海は、お宅の道楽に付き合ってるほど暇じゃないわ!と吐き捨て、対策本部を出ようとする。

それに気づいた樺山市長は、まさかこのことを不用意に漏洩したりしないよね?と聞くと、思い切り言ってやるわ!と七海は忌々しそうに答える。

そんな七海に、素直になろうよ、言子ちゃん!と佑馬がなだめるが、小僧っ子にちゃん付けで呼ばれるほど貫禄不足じゃないわ!と七海は怒る。

そこに塩見と熱海署の刑事が数名入って来たので、初島に監禁しといてくれと樺山市長は頼む。

刑事が近づこうとすると、かねて用意のヌンチャクを取り出した七海は、それで刑事たちを次々に倒して行く。

とうとう塩見刑事部長自身が七海と退治した時、背後から、市長の秘書が大きな花瓶を七海の頭に落とし、七海は気絶する。

その後、この怪獣シミュレーション映像は、周到かつ不用意にネットに流出した。

そんな中、本物のガッ☆の頭部が再び海面に浮上したので、樺山市長は大喜び。

その時、電話を受けた秘書が、七海が初島から脱出したそうです。海に飛び込んだそうですと伝えたので、怪獣がいる網代湾に飛び込むなんて、あのアマ、気は確かか?と驚く。

その頃、網代湾を勇壮なバタフライで泳いでいる七海がいた。

一方、怪獣を呼ぶプロモーション映像制作をするために、東京の代理店から怪し気な映像プロデューサー(鈴木敏夫)が熱海にやって来て、投稿サイトに流せ!例の曲は上がったか?などと、市長室から東京に指示を出していた。

樺山市長が昔、建設会社に勤めていた時のポン友だと言うその怪し気なプロデューサーは、映像だけではダメで、イメージソングも必要なんだと樺山市長に言う。

そのプロモ映像の撮影現場で待機していた着ぐるみ役者は、海から這い上がって来た七海を見つける。

市長室にやって来た濡れたままの七海に、ネット配信したシミュレーション映像は、1000万を超えるオタクが観た上に、5億を超える海外アクセスがあった!と興奮気味に話す樺山市長に、そこまで多くではないですが…と秘書が冷静に訂正するが、怪獣の正体なんて誰も求めてない!TVやネットに流れているものこそ怪獣なんだ!七海君分かるかね?これが真の怪獣なんだよ!と樺山市長は、ガッ☆人形を指しながら言い切る。

噓からどんな真が出るか…、それが見届けたいのよ!と、七海は、樺山市長が示したガッ☆人形の首を、苛立たしそうに引っこ抜いて告げ、偶像崇拝者は焼き殺されるんですってね…と言い残し部屋を出て行く。

秘書は、又しても、樺山市長の顔が赤い悪魔のようになっていると指摘する。

七海は、芸者が踊っている座敷に招いた芹沢教授(嶋田久作)に、先生、教えて下さい!頭の直系が200mもある生物が、何故網代湾のような浅海域に潜伏しているのか!失踪した200人を超すサーファーたちの死体が一体も上がらないのは何故なのか!と迫っていた。

時折、三味線の伴奏が入る中、一人酒を飲んでいた芹沢博士は、君が採取した資料のDNA鑑定をした結果、極めて単純な結果が浮かんで来たよ。単純であればあるほど、真実は残酷な現実を我々に突きつける。それでもあえて真実に迫りたいと言うのなら、君にあれをゆだねようと言い、部屋に持参して来た容器を示す。

そのよう木の蓋を開けて中を覗いた七海は、これは!と驚く。

その夜、七海を乗せたクルーザー「麒麟Ⅱ」が人知れず出航する。

船室に入って来た七海は、そこに、船長(丹古母鬼馬二)以外に、塩見刑事部長までいたので驚く。

色々事情があってな…と言う塩見に、警察官の事情と聞くと、尻子玉ぬかれたラッコたちがどうなったのか知りたくてな…と答える。

船長も、怪獣退治だろ?俺も昔からそう言うのやってみたかったんだと嬉しそうに言う。

その後、船長、塩見、七海の3人は、酒を飲みながら、互いの過去の武勇伝を、身体の傷を見せ合いながら自慢し合う。

七海が、7年前、房総沖でマッコウクジラと格闘した時の古傷を見せようとシャツをたくし上げかけていた時、魚群探知機が反応する。

お嬢ちゃん、いよいよクライマックスって訳だな…と船長も喜ぶ。

その時、さっきから気になってたんだが、このクルーザー、一体誰が操縦してるんだ?と塩見が呟く。

翌日、海辺の広場では、プロモーションビデオの撮影が始まっていた。

双子の歌手(リリーズ)が、怪獣を呼びだす「ガッ☆の唄」を歌いだす。

野次馬たちがその様子を写真に撮ろうとしているので、係員が止めようとすると、自分たちは「特車二課」のもので、警備の為ですなどと、最前列に並んで写真を撮りまくっていた佑馬たちが言い訳していたので、それを観ていたカーシャは、バ〜カ!と吐き捨てる。

そんな中、戦いはこれからだ!誰と戦っているかって?愚民共と戦っているんだよ!と樺山市長が1人力んでいたので、キャラが変わってませんか?と秘書が突っ込む。

その時、上空に機影が見えたので、野次馬の中にいたオタク2人が、その機種を巡って持論を展開しだす。

それを側で聞いていた佑馬まで、ミリタリーオタとして参戦したのでややこしいことになる。

とにかく、いよいよ自衛隊の登場で、真打ち登場か!とオタクたちは色めきだす。

その時、海面にガッ☆の頭部が出現したので、自衛隊の戦車部隊が砲台を一斉に海へと向ける。

しかし、海域内に民間船を発見、別命あるまで発砲は待機と言うことになる。

民間船とはクルーザー「麒麟Ⅱ」の事だった。

そうした自衛隊に対抗意識を燃やした佑馬は、イングラムの出動を命じる。

操縦席に乗り込んだ泉野明は、本当に撃ったって良いの?と戸惑いながら佑馬に無線で聞く。

隊長が責任取ってくれるだろうと佑馬が適当なことを言っていると、取らない!と言いながら、当の後藤田が近づいて来る。

しかし、すぐに、冗談だと言い、言子先生が持って来た奴だろ?と確認し、発砲を許可する。

撃ちます!と答えた明は、リボルバーカノンを発砲しだす。

銃弾は、「麒麟Ⅱ」のすぐ横の海面に水しぶきを立てる。

自衛隊の飛行機もマーカーを投下するが、エコーが乱れているため、攻撃は出来なかった。

そして「ガッ☆」は姿を消したので、海辺で見物していた「特車二課」の面々や野次馬たちは一斉に万歳をする。

フラゼーノ(?)グリコーゲンはある種のタンパク質を硬化させる…と、アクアタングを着込んだ七海は解説しながら、「麒麟Ⅱ」から海へと潜る。

陸地にいた樺山市長は、悪魔のように顔を真っ赤にして笑っていた。

状況の外に立って観察するのは困難…、特に利害に関係すると…、真相は驚くほど簡単だった…

海辺の庭園で、後藤田と会っていた七海は呟く。

巨大な頭部の浮揚とサーファーの失踪は無関係ではなかった…。1つの現象の2つの局面と考えるべきで、サーファーたちは生きていた。

直系200mもある頭部を持つ生物が、何故、網代湾のような浅海域に棲息出来たのか…

見えている部分だけ部分、つまり、頭部しか存在してなかった…

生首か…と、それを聞いていた後藤田は呟く。

頭に見える部分こそが生物の本体であり、シミュレーションで想像していたような、皿を頭に乗せた巨大海洋生物なんて最初から存在しなかったのよ!と七海は答える。

何故、その生物が浮遊を繰り返したのか?

カッパリア・カッパリオ・カッパリウム(?)…、クラゲの一種です。

巨大な頭部に見えたのは、このクラゲの集合体であり、そのクラゲの毒にやられたサーファーたちは意識を失い、時々、けいれんを起こすため、その結果、生物が浮遊する。

クラゲ…?唖然とする後藤田。

そう…、クラゲよ…と微笑む七海。

後に、失踪したサーファーたちは全員生きて発見されたが、その頭部は溶けて禿げた状態になり、あたかも尻子玉を抜かれたように廃人と化していた。

かくて、燃えるような夏は過ぎ去った。

あれほど多かったイメージ映像へのアクセス数も、10日間で5つ程度にまで激減した。

私が最も知りたいのは、カッパリア・カッパリオ・カッパリウム(?)の産卵と増殖…と、七海は1人まだ考えていた。

その頃、網代湾に、巨大な「ガッ☆」の頭がいくつも浮上して来ていた。

「エピソード7 タイムドカン」

高速道路の下の川縁

「特車2課」か?そちらに爆弾をしかけた…、そう、爆弾だ…

ボイスチェンジャーで音声を変え、フードを目深にかぶったその男は、ケイタイで電話をしていた。

俺は誰でもない。ただの爆弾魔だ…、そう言い終えた男は、ケイタイを川の中に投げ捨てる。

明日から夏休みだとはしゃいでいる明が、何するんだ?と聞き、スイカ割とか…と言う明の答えを聞くと、子供か!と「特車二課」の面々が突っ込んでいる中、1人、電話を切った御酒屋だけは怪訝そうな表情を浮かべていた。

何だって?と電話の内容を聞かれた御酒屋は、爆弾をしかけたそうです…と答え、どこに?と聞かれると、ここに…と答える。

相手は誰だ?と聞かれると、ただの爆弾魔だそうです…と御酒屋は淡々と答える。

他に何か言っていたか?と聞かれた御酒屋は、時間が来ればドカン!だそうです…と答えるが、その瞬間、大きな爆発音が聞こえて来る。

くそっ!本当にしかけていたとは…と佑馬は悔しがる。

あのタイミングでは探しようがなかった!

タイトル

爆発したのは淵山が鶏を飼っていた鳥籠だった。

死んだ鶏を抱き泣いている山崎だった。

男が鶏ごときで泣くな!と大田原が叱りつけたので、慰めるつもりで、明は、私、卵なしカップ麺でも良いからと山崎に声をかけ、ますます山崎を泣かせてしまう。

これは、予告と言うより警告ね…、悪戯じゃないと言うこと!とカーシャが冷静に分析する。

事件を知った後藤田も、知らない人に注意するとか、警戒を厳重にするしか手の打ちようがありませんね…、お休みは、涼しくなってからかも…などと淡々と隊員たちに告げるだけだった。

明は、夏休み、なくなっちゃったじゃない!とむくれ、他の隊員たちは、一体どうやってここに侵入したんだろう?と首を傾げる。

ほとんど人が近づかない辺鄙な場所にある倉庫内に、誰かが忍び込むとすぐ目だってしまうはずだったからだ。

そんな会話を聞いていたカーシャが、もう侵入したり、仕掛ける必要なかったら?と呟く。

どう言うことなんだ?と大田原が聞くと、もうどっかに仕掛けられているんじゃないかってことですよ!と佑馬は教える。

隊長も知っていると思うとカーシャは言い、警戒を厳重にしろって言うしかないですからね…と全員納得する。

逃げる訳にも行かねえだろう…と話し合う隊員たちだったが、何故、二課なんだろう?狙うならもっとましな部署があるだろう?本庁とか機動隊とか…と疑問が出ると。嫌いなんじゃない?レイバーが…と明が言い、いつ潰れてもおかしくないような部署なのに…と佑馬はぼやく。

これは、大田原が言った通り、尋常の頭じゃないかも知れない。又かかって来るかもね…、電話…とカーシャが言うや否や、御酒屋の机の電話が又鳴りだしたので、御酒屋は凍り付くが、明たち他の面々は、人ごとのように、御酒屋さん、頑張って!と言うだけなので、仕方なく御酒屋が又、受話器を取ることになる。

本気だと分かったろう?分かった所で教えてやろう。10秒後にそこが爆発する。10秒後だ!と又、変成器を使ったあの声が聞こえて来る。

それを聞いたカーシャは無表情のまま、さりげなく部屋を出て行き、しばし意味が掴めないでいた他の面々も、意味が分かるや否や次々と部屋を飛び出して行く。

次の瞬間、彼らのプレハブ部屋は大爆発する。

傷の手当をする部下たちを前に、やっぱり仕掛けてましたね…と表情を引き締める後藤田。

愉快犯よカーシャが指摘すると、やり方が悪質過ぎるし、そう願いたいね…と、魚にえさをあげながら後藤田も答え、いきなり、ドカン!はないでしょう…、どこに仕掛けているかも分からないし…と言っている所に電話がかかって来る。

後藤田が取ると、今のは凄かったろう?と爆発魔が言って来たので、どう言うつもり?と答えながら、後藤田は受話器をスピーカー装置に置き、その場にいた隊員たちにも聞こえるようにする。

本気の本気と分かった所で、1時間の猶予を与える。探してみるんだな…と爆弾魔は言うので、それって、1時間後に爆発すると言うことか?と後藤田が聞き返すと、健闘を祈るとだけ言って爆弾魔は電話を切ってしまう。

整備班班長のシバシゲオ(千葉繁)は、何が何でも探し出せ〜!と部下たちに命じる。

そんな中、じゃあ、俺は帰るから、後は頼んだ!と後藤田は言い出し、すぐに、冗談だと真顔で訂正する。

「特車二課」専用警察犬に、爆弾を捜査させようとするが、犬は同じ所をぐるぐる回るばかりで一向に仕事をしない。

さらに、隊員たちのロッカーも全部空けて内部を検査し始めるが、御酒屋のロッカーには競輪新聞しか入ってないし、大田原のロッカーには酒ばかり、明のロッカーの中は玩具やゲームばかりだし、佑馬にいたっては、手榴弾やPM5のモデルガンなど、ミリタリーオタク系のものばかり見つかる。

シバシゲオの部屋に入り込んだ部下たちは、「開封現金」と書かれた一斗缶を発見、何かお宝が入っているに違いないとにらみ、躊躇なく蓋を開けてみると、想像通り、貴重な昔のアイドル本が多数詰められており、仁藤優子のアイドル写真本などがあったので、部下たちは驚喜する。

さらに、こては床下も怪しいと全員睨み、床下を開けてみると、予想にたがわずそこにもびっしりお宝本が詰め込まれていた。

その時、後輩たちの姿が見えないのに気づいたシバシゲオが部屋に入ってきて、部下たちの狼藉を発見する。

班長!と部下たちは固まってしまうが、お前等死んでしまえ!とシバが怒鳴った瞬間、部屋の電話が鳴りだしたので、シバが受話器を取ると、取り込み中すまないが、時間切れだ。そこは10秒後に爆発すると爆弾魔は言う。

驚いた部下たちが、一斗缶のアイドル本の下を覗いてみると、しっかりそこに時限爆弾が仕込まれていた。

大爆発が起き、倉庫の屋根も吹っ飛んでしまう。

一斗缶の破片と共に、燃えたアイドル本の紙片が飛び散る。

イングラムを二課棟の外に運び出すと同時に、隊員たちも外にテントを張って臨時の救護班を作り、けが人の治療に当たることにする。

大分、やられちゃったな〜。これは悪質ですね。など、隊員たちから意見が出る中、我慢できんのは、犯人に主導権を掴まれていることだ!と後藤田もいら立つ。

そんな中、腹減ったなと大田原が言い出し、カーシャまでもが、ピクニック、良いかもね…と言い出す。

そんな中、コンビニに買い出しに行くと明が言いだすと、私も行きますと同調する女性たちが増え、後藤田が財布を彼女等に投げ、領収書頼むね!と声をかける。

女性たちが一斉にコンビニに付いて行ったのは、トイレに行ったのだと男性陣は気づく。

ピクニック…、確かにそれも良いかもな…と後藤田も賛成する。

やがて二課棟の前には、焼きそばを焼くテントが出来、女子たちは水着姿ではしゃぎ始める。

隊員たちは全員ピクニック気分でくつろぎだす。

デッキチェアに寝転んでいた後藤田は、出来上がった焼きそばを持って来た大田原に、いや〜…大田原さん、絶景ですよ!と大空を見上げながら言うと、この勝負、先に動いた方が負けですと断じる。

そんな中、明はスイカ割をしていたが、佑馬や御酒屋が、本来のスイカの場所からどんどん前方に誘導して行くのに気づかなかった。

二課棟が爆破と言うことにでもなったら、先代に申し訳なくて…とシバは嘆いていたが、内部の犯行かもよの声を聞くと、そうだ!二課に不満のある奴に違いない!とシバは部下たちを見張りだす。

すると、班長、不満がない奴などいませんと部下が言い出す。

給料は安いし、自分の時間は持てない。友達は減るし、出世の見込みもない…と次々と不満を口にしだす。

ブチヤマ(藤木義勝)!貴様か!と、1人1人の部下たちに当たり始めたシバだったが、やがて、徳井と言う4月に入ったばかりの新人を、お前は見覚えがないから、お前だ!などと糾弾しだす始末。

そんな中、明は、佑馬たちの指示に従い、思いっきり帽を叩き付けるが、そこにあったのはスイカではなく、寝ていた大田原の頭だった。

その時、非常用に屋外に引いていた電話が鳴りだす。

全員の視線が又、御酒屋に向けられる。

受話器を取ったのは後藤田だった。

何をしてる!と爆弾魔が苛立たしそうに聞いて来たので、楽しくピクニックしているだけですけど…?緊急避難って奴ですよ。爆撃でもするつもりですか?と後藤田が言うと、俺は爆弾魔だ!爆撃魔じゃない!と相手は切れる。

次の瞬間、近くの土手の一部で爆発が起きる。

あんた、何個仕掛けたの?と後藤田が聞くと、まだまだこんなもんじゃない…と電話の向うの爆弾魔は答える。

後藤田は自分から電話を切ってしまうと、焦れて来たみたいだね。膠着して困るのは奴の方です。我々は暇ですから…と、集まっていた隊員たちに言うと、全員笑い出す。

その時、土手の上を「クロイヌ宅急便」の配送車が走って来るのが見えた。

伏せろ!と命じた後藤田は、そろそろ動き出したらしいと隊員たちに告げ、双眼鏡で第二課棟の入口に入って行く配送車の様子を双眼鏡で覗きだす。

車を降りた宅配業者(鴻上尚史)は、誰も中にいないので、すみませ~ん!と辺りに向かって呼びかける。

押さえろ!と後藤田が指示を出したので、その場にいた隊員たちは一斉に宅配業者の方に向かう。

近づいて来る人影に気づいた宅配業者は、あの…、ハンコ…と言いかけるが、迫って来る連中の気配に異様なものを感じ、思わず逃げ出してしまう。

第二課棟の中にやって来たシバは、そこに置かれていた配送車と、その側に置かれた大きな段ボール箱しかない事に気づく。

本庁から爆弾処理隊を呼びますか?とスガは聞くが、スカだったら?奴等にこちらの弱みを握られることになると後藤田は答える。

そこに、隊員たちにあっさり確保された配送業者が連れて来られる。

配送業者は戸惑ったように、ハンコかサインを…と呟くだけ。

後藤田はカーシャに、君は祖国で爆発処理も学んだはずだが…?と聞き、カーシャは、学んだが実戦経験はないと答える。

そんなカーシャに、初めてやってみますか?と後藤田はやんわり指示する。

シバが補助に付くことになり、工具とカッターが直ちに用意される。

まずは、段ボール箱の底辺近くを水平にカッターで斬り裂いて行き、ゆっくり上部の梱包を上に外す。

案の定、中には圧力鍋を使った爆弾のようなものが入っていたので、出るもんが出たか…とシバは緊張する。

カーシャは緊張しながら、圧力鍋の中心部のネジを緩め、蓋をそっと外してみる。

中には、複雑な配線とタイマーが入っており、そのタイマーが動き出す。

ダミーとトラップだらけの中、本物のスイッチが1つだけあるはずだった。

そもそも、爆弾と言っても、確実に爆発するべきときに爆発し、爆発してはいけない時には絶対に爆発しないように作られたものを工業製品としての爆弾と呼ぶ。

不正に作られた爆弾は、この正規の爆弾と同じ基準が満たされているかどうかも怪しいものがあり、リスクは高い。

結論から言うと、不正規爆弾を見つけた場合、その場からなるべく遠くへ立ち去る以外、助かる方法はない…と後藤田は解説する。

今さら爆発処理班を呼ぶ余裕はもうなかった。

カーシャは、何本もあるコードの中から緑のコードにペンチを当て、切るべきか否か迷っていた。

カーシャの脳裏には、今までかかって来た爆弾魔からの電話の言葉が蘇っていた。

そして、ゆっくり、隊員たちに確保されて近くで観ていた宅配業者の顔に、かすかな笑顔が浮かんでいることに気づく。

その業者は、カーシャの行動を面白そうに見物していたのだ。

立上がったカーシャは、いきなり圧力鍋のような爆弾を足蹴にし、完全に騙されていた!本物はあそこのトラックよ!と横に停めてあった宅配車を指差す。

宅配車の後部扉を開くと、中に爆弾が詰まっていた。

隊員たちは逃げ出そうとした業者を羽交い締めするが、一瞬早く、業者は隠し持っていたスイッチらしきものを押す。

その時、車の中の爆弾のタイマーが起動する。

これからは俺の出番だ!と叫んだ佑馬が宅配車の運転席に乗り込み、二課棟の外に車を出す。

外で様子を観ていた整備班の連中が逃げ惑う中、完全にパニクった佑馬は、岸壁から海に車を落としてく出さ〜い!と叫ぶ御酒屋の声も聞こえないようで、周囲を迷走しだす。

あいつ、逆上してるんだな…と呆れる明。

迷走したあげく、岸壁の方へ向かいかけた佑馬は、走っている車の操縦席から飛び降り、懸命に車から離れようとひた走るが、その背後で配送車は大爆発を起こす。

爆風で吹き飛ばされる佑馬。

ぼろぼろになった佑馬に駆け寄る明たち。

フラフラ状態になった佑馬は、その場に倒れる。

その後、テレビニュースで、二課棟に爆弾が仕掛けられた事件を報道していた。

犯人は警視庁湾岸署に身柄を送られたが、身元も犯行動機も一切は分かってないと桜山百子と言う女性レポーターが繰り返していた。

そのニュースを見ながら、この際、みんな吹き飛ばしてくれていた方が良かったのかも知れないと後藤田は呟く。

塩原の奴、惜しいことをした。全治2週間じゃ、金一封も出ない…と大田原が笑っていた。

入院した佑馬のことを思い出しながら、無茶するんだから…と明が心配そうに呟いていると、横に立っていたカーシャは、タバコを吸いながら明の様子をじっと観ていた。

前もないそうですよ…と、御酒屋が爆弾魔が初犯だったことを教えると、だから自分で、俺は誰でもない、ただの爆弾魔だって言ってたじゃない…とカーシャが指摘する。

タバコ吸い過ぎだよ!と明がカーシャに忠告すると、余計なお世話、こうして生きているうちに楽しまなくちゃ…とカーシャは答えたので、あ、そう!と明はむくれる。

夕方、外で大きな料理鍋をドラム缶に見立て、プロパンガスの火で湧かした露天風呂に入っていたシバがいた。

爆弾は6カ所仕掛けたと言ってましたよね…、後藤田は、部屋で考えていた。

あそこと、あそこと、あそこ…、あれっ?1カ所足りなかった?と戸惑う後藤田。

露天風呂に入っていたシバが、おい、少しぬるいぞ!と側にいた新人部下に文句を言うと、新人は黙って、プロパンボンベの栓を捻る。

その瞬間、火が出ていたレンジ部分の横のタイマーが起動するが、誰も気づくはずもなかった。

極楽、極楽…とシバが風呂の中で満喫していると、突如、レンジが大莫を起こし、シバが入った料理鍋自体がロケットのように吹っ飛ぶ。

空高く舞い上がったシバは絶叫をあげ続けていた。


 

 

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