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GODZILLA ゴジラ

新作ゴジラ映画としては10年振り、ハリウッドゴジラとしては2作目になる「GODZILLA ゴジラ」

世界最遅公開となった日本では、本国より1年も公開を遅らせた「スター・ウォーズ」の失敗例(あまりに宣伝期間が長過ぎたため、公開前に厭きられたのか、期待されたほどの爆発的なヒットにはならず、先に公開され大ヒットした「ジョーズ」の記録を抜けなかった)を思い出してしまうような、観る前から既に厭きてしまったような感覚もあった。

だが、ようやく観てみると、「怪獣映画」としては何かもの足りなかった「パシフィック・リム」の不満感を一挙に振り払うような見事な怪獣映画になっていた。

監督や脚本家たちは、良く日本の「怪獣映画(似ているが、ハリウッド映画で昔から良くある巨大モンスターものとは明らかに違う独自の道を歩んで来たジャンル)」を研究している感じで、怪獣映画の魅力を余す所なく描いてくれている。

特に、敵怪獣となるムートの表現は、初期東宝怪獣映画や初期大映怪獣映画を彷彿とさせるような恐怖と巨大感を巧く表現していると思う。

ムートは、ギャレス・エドワーズ監督の前作「モンスターズ 地球外生命体」のモンスターとかぶっている部分があるので、見せ方が手慣れていると言う事もあると思う。

だからこの作品が「モンスターズ2 ムート誕生」と言うタイトルだったら特に不満もない新作怪獣映画だったはずである。

「GODZILLA ゴジラ」は、「モンスターズ2 ムート誕生」にゴジラが絡む作品と言うと分かり易いような気がする。

ただ事前に海外ニュースなどで新怪獣の情報を得ていた人はともかく、作品タイトルは「GODZILLA ゴジラ」と単独怪獣名しか出てないし、新怪獣のことを意図的に伏せて宣伝していた日本版の予告編などしか観ていない人にとっては、この新怪獣の登場シーンの多さに戸惑う人もいたはずである。

極端に言えば、「'84ゴジラ」を観に行ったら、全編ショッキラスばかりが暴れ回っていて、ゴジラはちょっことしか出て来なかった…みたいなものなのだから。

映像的には、冒頭からビキニ環礁での水爆実験や原発事故など、一見、初代ゴジラと核を連想させているかのように見えるが、良く見ていると、ここに登場しているゴジラの出現には水爆も原発も直接関わっていない。

「モンスターズ」で言っていたように、モンスターは自然のようなものなのと同様に、ゴジラも又自然の象徴のような物であり、ゴジラは人類や、それが生み出した核とかその他の文明にも特に怒りなど抱いていないように見える。

一切を超越した存在のように描かれているのだ。

何故このような描き方をしたのかと言えば、正義のヒーロー怪獣として敵怪獣と戦う際、人間(観客)から、ためらうことなく応援してもらうためであろう。

ゴジラは、初代からしばらくの間「人間にとっては悪の存在」として描かれて来た為、敵怪獣との対決物で人気が出始めると、その立場が分かり難い存在になる。

つまりゴジラは「良いもの」なのか「悪いもの」なのか分からなくなったのである。

このため、怪獣プロレスシーンになると、素直にゴジラを応援して良いのかどうか、子供たちを悩ませることになる。

この矛盾は、平成になり再びゴジラが「悪」として描かれるようになっても、怪獣プロレス要素は見せ場として残っていたので相変わらず解決しないままであった。

そうした対決物のヒーローとしての矛盾を断ち切るには、「核」などと言うシリアスな要素を振り払う必要があったのである。

しかし、完全に核と切り離し、ガメラのような人類の味方にしてしまうとゴジラらしさが失われてしまうので、映像としての「核爆発」や「原発事故」を描いて、何やら関係あるかのように見せかけると当時に、ゴジラは放射線を食べるなどと言う「'84ゴジラ」のようなうさん臭い設定だけを残すことにしたのだろう…と想像する。

まあ、過去のゴジラも、時代時代でコロコロとキャラクターを帰って行ったことでも有名なので、この新ゴジラも、それはそれで良しとは思う。

ただ何となく、これまで培って来た悪の怪獣としてイメージが薄れただけである。

それで何となく思い出すのは、「三大怪獣 地球最大の決戦」を封切時観た時の印象である。

まだ、そんなにゴジラ映画を数観ていた時期ではなかっただけに、鯨の群れの後に出現したゴジラが登場したときはそれなりに喜んだものだが、敵怪獣キングギドラが出て来ると、完全にその魅力に取り憑かれてしまい、後半、ゴジラやモスラたちが話し合ってギドラと戦う頃には、もうゴジラに対する思い入れは薄れていたような気がする。

そんな印象が今回もあるのだ。

ゴジラが、ムートの強烈な「悪」の魅力に喰われてしまったと言うことなのかもしれない。

映像的にも、ものすごく斬新な物を観たと言う印象が少ない。

過去の怪獣物で見慣れたシーンを再現しているから…と言うことではなく、実は、ここで繰り広げられるVFXで再現されたモンスターパニック描写には、なんとなく既視感があるからだ。

それは、スピルバーグの「宇宙戦争」(2005)の時の衝撃である。

あの「宇宙戦争」も、スピルバーグの「ゴジラ」への想い、そこからの影響が感じられる演出だったからだ。

あの時ほどの衝撃を、今回のゴジラの方に感じたかと言うと、正直微妙と言うしかない。

そもそもゴジラの姿は昔から知り過ぎているので、「ジョーズ」的な演出で来られても、そんなに驚きは生まれない。

全身の姿を現してからのゴジラはおおむね馴染みのゴジラそのものだし、正体不明で荒ぶるモンスターと言う感じではなく、どこか最初から人類に対しては紳士的な態度に見える。

都市部に上陸後も、自ら進んで建物を破壊しているような印象もない。

あくまでも、敵怪獣を倒すため、やむなく…と言った感じ。

問題は、そう言う紳士的で正義の怪獣然としたようなゴジラが魅力的か?と言うことだろう。

正義の味方と言う設定自体が悪いのではない。昭和のゴジラは正義の味方としての一面もあったからだ。

でも、その頃のゴジラは、それなりに明るく描かれ、その擬人化されたキャラは一部の子供たちには人気があったはずである。

今回のゴジラのキャラ設定に違和感があるとすれば、そのリアルな見た目、世界観と、平成ガメラにも似た自然の守護神みたいな親しみ難い性格付け、それと妙に落ち着き払って老成したかのように見えなくもないキャラクターなどがしっくり馴染んでいないように見えてしまうことではないか。

リブートとしては1作目だから、まだイマイチピンと来てないと言う部分もあるかもしれないが、ガメラなどに比べ弱点のようなものがなさ過ぎるし、あまりにも圧倒的に無敵な印象をその外観から受けるからかもしれない。

あんまり強過ぎるだけで人間味の薄いヒーローは、昔から日本人には受けないような気がする。

CGI表現特有のビジュアル面での存在感の弱さもあるのかもしれない。

テーマ的には、さすがに米ソの冷戦の中で繰り返されていた核実験への警鐘、第三次世界大戦勃発への恐怖感などを今の時代に再現しろと言うのは時代錯誤だとは思う。

だからと言って、「'84ゴジラ」のように、「核」を食べているゴジラと言う設定とか、一方で、広島の原爆の犠牲者を父に持つらしき芹沢博士を登場させときながら、最後は、核ミサイルの爆発を良くあるサスペンスの道具立てに使い、あまつさえ、最後には核爆発をさせてしまっているのは、メッセージ性としてはどうなのか?とか、ハリウッド映画の定番テーマ「家族愛」を謳っている割に、怪獣側の「家族愛」は見事に殲滅してしまっていたり…と、色々細かな疑問点もないではないのだが、この辺は観る者の考え方で解釈も違って来る所だと思う。

ラストの核爆発に関しては、やっぱり人間は愚かな存在だ…と言うこの種の映画に良くあるパターンを意図したパロディとして描いているのだと解釈すれば、見事と言うしかないだろう。

今回のゴジラは、自分の好物を安定供給してくれている人間から、同じ好物を横取りしようとするムートを殺して餌を独り占めしようとしたからなのかな?等と言った妄想さえ湧いてしまう。

ムートの卵を守ろうとする辺りの描写は「クイーン・エイリアン」辺りへのオマージュなのかも…

さて、2014年SDCC(サンディエゴ・コミコン)のレジェンダリー・パネルで、「GODZILLA2」にはモスラ、ラドン、キングギドラの登場!

さらに、2016年11月4日にはキング・コングの原点である「スカル・アイランド」を公開すると発表したらしく、「GODZILLA3」は、世紀の大決闘「キングコング対ゴジラ」のリブートになる可能性が高くなって来たようだ。

興行的にも、一応、オープニングでは日本でも1位を獲得した模様で、今後の日本での興行の推移、さらには次回作「GODZILLA2」への期待感など、まだまだ目の話せないシリーズではある。

▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

2014年、アメリカ、デヴィッド・キャラハム原案、マックス・ボレンスタイン+フランク・ダラボン+デヴィッド・キャラハム+ドリュー・ピアース+デヴィッド・S・ゴイヤー脚本、ギャレス・エドワーズ監督作品。

古代生物の絵

未確認生物、ソナーで捕捉!

ビキニ

モナーク計画(などと言う文字が出る)

海面に浮かぶ巨大な背びれ…

水爆実験の映像

タイトル(白い死の灰が降るイメージの中)

ヘリが飛んで行く。

フィリピン諸島 1999年

ヘリには、古い懐中時計を握りしめた芹沢猪四郎博士(渡辺謙)とヴィヴィアン・グレアム博士(サリー・ホーキンス)が乗っていた。

ヘリは、ユニバーサル・ウェスタ鉱山に降り立つ、

ヘリから降り立った芹沢博士を出迎えたのは、炭坑の責任者らしく、過日、坑内で強い放射線を検出したので、ウラン鉱ではないかと掘り進めた所、突如陥没し、谷底の洞窟まで繋がってしまい、40人の作業員が落下したと経過を教える。

洞窟内の放射線レベルは、最初はそれほど高くもなかったが、外気を触れたことにより倍に増えたと説明しながら、モバは、防護服を着せた芹沢博士とグレアム博士を、洞窟の中に案内する。

そこには、信じられないほど巨大な古代生物の骨らしきものが埋もれていた。

何かの化石でしょうか?とモバから聞かれたグレアム博士は、こんなの始めてです。あり得ない…と絶句するだけだった。

目の前に広がっている光景を信じられないと言う風に見つめている芹沢博士も、もっと昔のものだろう…と呟くだけ。

ある場所まで進むと、ガイガー計数管がかすかに鳴りだす。

何か卵のようなものの集合体があったので、卵でしょうか?とグレアム博士は言い、休眠中の化石?さなぎのようなものは無傷ですと芹沢博士に伝える。

こっちのは破れてます。何かが出て来たみたいに…

その洞窟から、近くの海に向かって、何か巨大なものが移動したような山崩れの痕がヘリから確認された。

日本 雀路羅市

アポロロケットの玩具などが飾ってある部屋から出て来て、朝早くから勤め先である原発に、電話をすぐに会議したいと訴えていたパパの様子をうかがっている息子のフォード・ブロディは、「ハッピー・バースディ」の飾りを廊下に引きずっていた。

そんなフォードに気づいた母親のサンドラ・ブロディ(ジュリエット・ビノシュ)は、早いわね、今日に限って…と、夫のジョー・ブロディ(ブライアン・クランストン)が、何か慌てた様子でタカシと言う人物に原発をすぐに止めるように進言しているのを聞く。

プラントの側で未確認の周波数パターンが見つかったんだ!とまだジョーは電話を続けていた。

そんな夫と車に乗り込んだサンドラは、国際学校へ向かうスクールバスに乗り込む息子のフォードを見送りながら、あの子、飾りを作ってたのよと話しかけるが、ジョーは、まだ気になることがあるらしく、センサーを確かめたいので、向こうに着いたらレベル5に直行して欲しい。原因が分からないんだと妻に頼む。

今日はあなたの誕生日よと言いながらサンドラからキスしてもらったジョーは、忘れていた!こりゃ良いものだ!と喜ぶ。

原子炉に着いたジョーは、待っていたタカシから、異常な地震波ですと教えられる。

しかし、モニターで波形を確認したジョーは、地震ならこんなグラフにはならない。これにはパターンがあると疑問視する。

そんな中、妻のサンドラは、防護服を着て、チームの仲間たちと共にレベル5へ向かう。

タカシは、会議どころじゃない!と緊急性を訴え、ジョーは隼人に揺れはどこからだ?段々強くなっている…と聞く。

他の地区にこんな現象は起きてないとジョーは訴えていたが、その時、突如、大きな地震のような揺れを感じたので、すぐに可動を停止しろ!とジョーは叫ぶと、レシーバーで妻のサンドラにすぐに戻るんだと伝える。

サンドラは、壁が破損して放射性物質が流出したと伝えて来る。

今、防護服を着てても5分も持たないぞ!と慌てたジョーは、隼人に非常扉を手動に切り替えるよう頼むと妻を迎えに非常扉まで向かう。

その時、又余震のような大きな揺れが建物を襲う。

非常扉のレシーバーから、早く封鎖しろ!街が助からないぞ!と呼びかける声がするが、まだサンドラたちの姿が見えなかったので、ジョーは扉を閉めることができなかった。

その時、ジョー!聞こえる。もうダメ…、間に合わないわ…と言うサンドラの悲痛な声がレシーバーから聞こえて来る。

もう扉を閉めて!あなたは生きて、フォードの為に!と言われたジョーは、泣くような表情で非常扉のスイッチを押す。

泣き出したジョーは、扉を内側から叩く音が聞こえたので、覗き窓を観ると、今ようやく扉の前に到着した妻たちの姿が見えた。

その姿を観たジョーは、すまない!と詫びる。

フォードを頼んだわよ。父親として守って!とサンドラが話しかけて来る。

間に合わなかった!

第二の防護壁がその時閉まり、内部に取り残された妻たちの姿も見えなくなる。

その時、又大きな揺れが襲い、原発内の作業員全員の緊急避難命令が下る。

雀路羅国際学校で授業をしていた女性教師は、子供たちに外に出るように指示する。

授業を受けていたフォードは、窓の外から見える雀路羅原発が崩壊して行く様を観てしまう。

15年後…

成長したフォード・ブロディ大尉(アーロン・テイラー=ジョンソン)は、アメリカ軍の爆弾処理係として14ヶ月振りに外地から輸送機で本国へ帰る所だった。

サンフランシスコの自宅には、医者で妻のエル(エリザベス・オルセン)と今度5歳になる息子のサムが彼の帰りを待っており、帰宅した彼は、充実した家族との一日を満喫していた。

そんな中、ケイタイがかかって来たので、妻のエルが出る。

フォードはどうせセールスだろう?と言って切らせようとするが、エルの表情は硬く、電話の相手は領事館からで、お父さんが日本で逮捕されたそうよと伝える。

何で対比区域に入ったのかな?いつも陰謀の話を信じてたよとフォードは、昔からイマイチなつけなかった父のことを思い出しながらぼやく。

父さんは母さんのことを忘れられないんだ。俺は乗り越えた。父さんといると、おかしな話に振り回されてしまうんだ。お前たちを巻き込みたくない…と言うフォードに、ほんの2、3日、向こうに行って来るだけなんだから…、きっと大したことないわとエルは言い、フォードにキスをする。

新宿の大ガード

自動販売機が並ぶ日本の警察署にやって来たフォードは、奥から連れて来られた父ジョーの姿を久々に観る。

彼のアパートについて行くと、部屋の中は膨大で、「核の危機近づく」とか「電力会社の隠蔽を」などと書かれた奇妙な記事や資料類が壁に貼られ、散らかり放題の異様な光景だった。

それを察したのか、普段、客は来ないんだ。博士号を持ってても、英語の教師だけでは食って行けないのでねとジョーは言い訳する。

エルは?サムはでかくなったか?などと一人前の父親らしいセリフを吐こうとするジョーだったが、最近、生物音響学を学び始めてね…とやはり、仕事の話からは離れられないようだった。

振動を測定したが、あの時と同じだ。あれは絶対地震なんかじゃなかった!と興奮していたので、思わず、父さん!と呼びかける。

母さんはまだあそこにいるんだ。思い出すのはあの姿だ…、あっという間に退避させられたので写真も残ってない…とジョーは悔しそうに打ち明ける。

もう止めて!全力を尽くした。分かるだろう?国に帰ろう。一緒に帰ろう。サムがおじいちゃんに会いたがっている。明日帰ろうとフォードは勧める。

しかし、翌朝、フォードが起きると、ジョーはパソコンに向かって誰かと会話していた。

第一地区まで入れると誰かがジョーに連絡をしている声が聞こえたので、何してるの?と声をかけると、退避地区に行って来る。行かねばならん。俺はここで6年も無駄にしたんだ。あれはシステムの欠陥などではなかったんだ。

以前ある音響学者と会い、色々話を聞いたんだが、2週間前、センサーが又受信したんだ。連中が守っている何かが、又振動を始めた。まるで何かを話しかけるみたいにな…、昔のデータを今野と比べなければいかん。俺は変人じゃない!奴等の噓を暴いてやりたいんだ!とジョーが興奮しながら言うので、何故そんなに拘るの?とフォードが聞くと、あれはメルトダウンじゃない!お前の気持ちも分かるが、過去から目を背けてはならない!とジョーは言う。

富士山が見える地区に、小さな漁船に乗ってやって来たジョーとフォードは、荒廃した「検液隔離地域」と看板がかかった地域へ防護服を着て侵入する。

そんな彼らの側を野良犬が走り過ぎて行く。

それを観て、どうしたのかな?急ごう、父さんと促すフォードだったが、ジョーは、放射能感知器の数値を見つめていた。

メーターは「0」を示していた。

ジョーは思い切って防護マスクを取り、大丈夫だ、やっぱり…、ここが退避地区なんて噓だったんだなと呟く。

以前住んでいた自宅に到着したジョーは、置いたままにしてあったデータが入ったMOを見つけるが、その時、写真立てのガラスが割れて転がっていた、かつての妻サンドラと息子のフォードの写真を見つける。

フォードも、幼い頃に遊んでいたGIジョー人形を見つける。

壁には、昔、フォードが父の誕生日の為に作った「ハッピーバースディ」の飾りが壁に貼ってあった。

外に出た2人は、ヘリが飛んで行く、かつての原発のあった場所に、こうこうと灯りが点いた巨大な施設のような物が出来ているのを見つけ、何を作っているんだ?と怪しむ。

そこに、防護マスクをつけジープに乗ったパトロールのようなメンバーたちが近づいて来て、お前等なんだ!と聞かれ、そのまま謎の施設まで連行される。

施設は、大きな檻のようになっており、その中央部分には、光る巨大なさなぎのような物が蠢いていた。

7.2秒間隔で脈打っており、早まっています!と監視室の中では、なぎさのデータを読み上げていたが、そこに、芹沢博士!不審者を連れて来ましたとパトロール要員がやって来たので、グレアム博士に任せれば?と答えた芹沢だったが、そのグレアム博士の要望です。1人は元職員らしくて…と聞き、思わず振り向いて、連れて来られたジョーをまじまじと見つめる。

あれは地震でも何でもなかったんだ!知ってるだろう?息子の居場所?カバンとディスクを返せ!とジョーは芹沢に迫る。

ここで何が起こっているか分かっているのか?嘘をついているな?ここにある何かを隠す為だったんだろう?とジョーは執拗に続ける。

妻はここで死んだんだぞ!何かに殺されたんだ!本当のことを教えろ!知る権利があるんだ!とジョーの興奮は収まらなかった。

15年前のデータを彼は持っていますとヴィヴィアン・グレアム博士が芹沢に教えると、当時の記録は残ってないと思っていた!と芹沢博士も驚く。

電磁パルスの影響なんだろ?15年前もこれと同じことが起こってたのじゃないのか?とジョーは追求する。

奴が放射線を吸収しました!との知らせを聞いた芹沢は、食べ尽くしたのか!と驚く。

ジョーが持っていた15年前のデータを観た芹沢博士は、パターンが同じだ!と指摘する。

巨大なさなぎのような物が胎動を始めたので、第一地区からの避難を施設内アナウンスで流す。

別室に幽閉されていたフォードは、見張りも避難してしまったので焦る。

避難完了のアナウンスが流れる。

殺そう…と芹沢博士は苦渋の決断をする。

巨大繭に放電を浴びせ、抹殺しようとするが、突如何かが蠢きだす。

巨大な怪獣が確認され、電磁パルスを発生したことが確認される。

施設内の電力が一斉に落ち、停電になる。

フォードが閉じ込められていた部屋のロックも外れる。

全員退却!避難しろ!と指示を出すが、怪獣はクレーンなどをなぎ倒す。

ジョーは、息子のジョーを探し、渡り通路の所にやって来るが、その通路も怪獣に破壊され、前を走っていた人間が墜落して行く。

そんな父の姿を下から見つけたフォードは、父さん!と叫ぶが、次の瞬間、ジョーが立っていた通路全体が崩落する。

フォードは本能的に、持っていた防護マスクを顔に装着する。

巨大な円筒形の檻の中にいた新怪獣ムートは、巨大な翼を拡げ、大空に向けて飛び立って行く。

日本で深度6.3の地震が発生したと言うテロップは、サンフランシスコのエルの家のTVでも流れていたが、心配してブロディに電話を入れたエルは、通じないことにいら立っていた。

側に寄って来たサムに気づくと、心配しないで良いのよ、パパ大丈夫だからと慰め、抱いてやるエル。

この基地はアメリカ軍の管理下に置かれましたとのアナウンスが流れ、芹沢博士とグレアム博士は、黒人兵士ラッセル・ハンプトン大佐(リチャード・T・ジョーンズ)の指示に従うことになる。

ハンプトン大佐は、モナーク計画は聞いています。未確認生物の事を知ってますね?と芹沢に聞いて来る。

今後は我々がモナークから引き継ぎます。他に何か必要な物は?と聞かれた芹沢は、負傷して担架で運び込まれるジョーと、それを見守るフォードの姿を発見、彼らを!と要求する。

ただちに、芹沢、ジョー、フォードは、ヘリで輸送される。

父ジョーに付き添うフォードは、悪かったよ、信じなくて…と詫びるが、負傷していたジョーは、お前は家族の元へ帰れ。2人を守ってやれ。何があってもだ…と言い残し、絶命する。

日本海近海に航行中だった空母「サラトガ」にヘリは着艦する。

ムートはどこかに飛んで行ってしまった。電磁パルスを発し…、発見するのが我々の任務だ。全て聞かせてくれとハンプトン大佐に命じたのは、彼らを出迎えたウィリアム・ステンツ提督(デヴィッド・ストラザーン)だった。

サラトガへようこそ!とステンツ提督は、芹沢博士も出迎えるが、そんな芹沢にグレアム博士が、ジョーの死を教える。

父ジョーの死を哀しんでいたフォード大尉を呼びに来た兵隊は、芹沢たちがいる部屋に案内する。

力を貸して欲しいのとグレアム博士がフォードに頼む。

かつて、原子力潜水艦ノーチラス号が深海で失踪した。

米ソが互いのせいにした。

その後、米ソで原水爆の実験が相次いだのは、奴を殺そうとしていたからだ。怪獣王を…と芹沢博士も説明しだす。

彼は放射線を食べていたの。核爆発の核を喰い尽くした彼は、その後深海に潜り、地球の核を食べていたのとグレアム博士。

その後、巨大生物を研究する秘密組織「モナーク」が設立された。

我々は奴をこう呼ぶ。ゴジラ!と芹沢博士は、昔の映像を前に説明する。

万物の頂点に立つ神ねとグレアム博士が捕捉する。

我々はフィリピンで、巨大なさなぎを見つけた。

そこには謎の巨大生物の骨と思しき化石が残っていた。

奴等に寄生されたんだ。

それを鉱山会社が知らずに掘り起こした。

そこから生まれた巨大怪獣は、15年かけて日本で放射線を吸い付くした。

その説明を聞いたフォードは、あんたらは奴の存在を前から知っていて、どうして殺さずに放っておいたんだ!と責める。

生態の研究をするためだと芹沢博士は答える。

電磁パルスで攻撃できるなんて知らなかったのとグレアム博士も弁解すると、他に何か、お父さんは言ってなかった?と聞く。

フォードは、聞き流していたんだ。父さんは夢中だったけど…と言葉につまり、何か音を出してるって言ってた。生物音響学がどうとかとか…とか、曖昧な記憶を掘り起こして答える。

それを聞いた芹沢博士は、相手の波形を記録させているかもしれないと気づく。

ムートはまだ若い。えさを探しているんだろうと芹沢博士が言い出すと、先に見つけなければ…とグレアム博士も緊張する。

自然界はバランスを取ろうとする。ゴジラがその鍵を握っているのかもしれない…と芹沢博士は呟く。

その後、フォードはヘリでハワイまで輸送され、そこから民間機でサンフランシスコに戻るよう指示される。

フォードはエルに電話をするが、エルのケイタイは留守電になっていた。

日本で事故があったんだ。父さんが死んだ、会ってから話すよ。ハワイに行って、そこから飛行機に乗る…とフォードはメッセージを入れる。

芹沢博士は、パソコン画面で波形を注視していた。

ホノルル空港

モノレールに乗り込んだフォードは、ホームにいた両親と扉で阻まれ、車内に取り残された日本人少年秋夫(Jake Cunanan)を発見。

扉の所に向かうと、ホームの日本人夫婦に、大丈夫!自分がついてると声をかけ安心させると、秋夫を自分の横に座らせ、持っていたGIジョー人形を渡して、大事にしてくれと声をかける。

アクア型潜水艦がハワイ沖で失踪したとの知らせがサラトガの司令室に届く。

ロシアの潜水艦が北太平洋にいると言う話も聞かん…とステンツ提督は呟く。

すぐさま、疾走した潜水艦のソナー音を便りに、捜査隊が派遣されるが、その行く先は海ではなくハワイの山の中だったので、兵士たちは混乱していた。

やがて、ガイガー計数機が反応し、何か巨大な物があることに気づいた兵士の1人が、その物体の表面を覆っていた粘着質のものを払いのけると、その下には「放射能マーク」が書かれていた。

見上げると、木の上に巨大なスクリューが見え、失踪した潜水艦が引っかかっていることに気づき肝をつぶす。

ガーディアン3!目標発見!とレシーバーで通信していたその時、ジャングルの中からムートーが出現する。

それを聞いたステンツ提督は、もうこれ以上、世界に隠しておけない!と怪獣出現の報道を解禁する決断をする。

芹沢は、正体を突き止めるんだ!奴が来ているんだ!と焦りの色を濃くする。

ホノルル上空をヘリが山の方へ向かって飛ぶのを、海辺にいた少女が見上げる。

ホノルルのホテルの屋上に、ヘリから兵士たちがロープ伝いに降下して来る。

目標確認しろ!シーバーで通信が飛び交う。

モノレールの中にいた秋夫も、空港に迫って来るムートの姿を観て怯えるが、次の瞬間、ムートは電磁派パルスを発信、ホノルル中が停電すると同時にモノレールも停まってしまう。

怯える秋夫に、フォードは、ちょっと待てばまた電気が点くから心配ないよと慰める。

山火事が発生し、先ほどの少女が海の方での異変に気づいて波打ち際に近づく。

海面が発光したので、パパ!と呼びかけるが、近づいて来たパパは、海の異変を知るや、ゾイと言うその娘を抱き上げると、海辺にいた他の人々と共に一斉に逃げ始める。

ヘリから、海で目標発見との知らせが届く。

サラトガの甲板に上がっていた芹沢博士が双眼鏡を覗くと、山のように巨大な背びれが接近して来る。

芹沢は衝突を予期したが、背びれはサラトガの下を潜り、反対側の海面に出現する。

海岸に繋がれていた犬は、津波が発生すると、自ら繋いであった引き綱を振りほどき、先に逃げていた群衆の間を縫って走る。

ゾイを抱いた父親は建物の中に逃げ込み、間一髪津波を逃れる。

グランドホテルの前の道に津波が流れ込む。

ホテルの電機が消えて行き、屋上に降りていた兵士たちが上空に向けて照明弾を打ち上げる。

照明弾が降下して行く先に巨大な壁のような物が出現する。

ホテルの上に隠れていた兵士たちが一斉に射撃を始め、市民たちの悲鳴が聞こえる。

ゴジラは尻尾でホテルを破壊して通り過ぎて行く。

その頃、山の中でムートの行方を追っていた捜査隊は目標を見失っていた。

そんな中、ホノルルの街に電気が灯りだす。

モノレールの電気も点灯し、動き始める。

その時、秋夫は、空港内に侵入したムートの不気味な姿を観る。

伏せろ!とフォードは叫ぶが、次の瞬間、モノレールはひっくり返る。

ムートに持ち上げられた車両から、乗客たちがこぼれ落ちて行く。

秋夫も床を滑って落ちかけたので、持ち棒にしがみついていたフォードが、その身体をしっかり抱きとめる。

空港にムート出現!目標確認!

空港に飛来した攻撃ヘリが、ムートに向かって発砲を始める。

しかし、一機、ムートに払い落とされ、滑走路に待機していた旅客機と衝突炎上、その炎が隣の飛行機にも燃え広がり、爆発を誘発する。

空港ロビーから、この大惨事を観ていた客たちは、突如出現した更に巨大な足のような物に気づく。

自宅で眠りから覚めたサムは、TVで放映しているホノルル空港でのゴジラ対ムートの戦いの生中継に目を奪われる。

サム、テレビを消してと言いながら近づいて来たエルに、サムは、ママ観て!怪獣だよと知らせる。

エルはテレビ画面に写っている物が信じられないように見つめる。

フォードは、秋夫を抱いて、ビーチに設置されていた救護テントにやって来る。

ケイタイは通じますか?とフォードは係員に聞いてみるが、公衆電話もダメなのだと言う。

その時、連れていた秋夫の姿が見えなくなったので、周囲を探していると、両親と再会した秋夫の姿を確認、ほっとする。

その時、海兵隊の一団が通り過ぎるのに気づいたフォードは、1人の軍曹に、本土に帰りたいんだと声をかけてみる。

すると都合が良いことに、軍自体も東に移動するとのことで、一緒に連れて行ってもらえることになる。

軍曹は、狩りに行くんですと余裕を見せていた。

ムートもゴジラも真東に向かっているとの報告がサラトガに届く。

それを聞いた芹沢は、狩りをしているんだと呟く。

ムートが呼んでいるんですか?とグレアム博士から聞かれた芹沢は、ムートが呼んでいるのは別の何かだと答え、ネバダを調べるんだと言い出す。

もう一つ、フリピンで見つかったさなぎは休眠中だったと言う芹沢に、そのさなぎはどこに行ったんです?とステンツ提督が聞くと、放射性廃棄物施設だと芹沢は答える。

ユッカ・マウンテン「核廃棄処理場」に軍の車が向かう。

全ての部屋の確認が命じられる。

次々と密閉されてる扉がチェックされ、異常なし!の声が続く中、一つの扉の前に来た兵士が黙り込む。

扉を開けてみると、中はもぬけの殻状態で、外壁は完全に破壊され、外界の情景が見えていた。

双眼鏡で覗いて観ると、ラスベガスに向かう怪獣の姿が確認出来た。

ラスベガスのギャンブル会場の巨大スクリーンに、ムート接近のニュースが流れるが、その直後、場内は停電し、テレビも消える。

次の瞬間、天井が崩れ、通り過ぎて行くムートの姿が見える。

消防隊がラスベガスに到着するが、ムートが通り過ぎて行った跡は、倒壊したビルが延々と連なっていた。

もう一匹の翼のあるムートが飛んで来る。

モニター映像で、ラスベガスを破壊して行ったムートの姿を観ていたサラトガの司令室では、90mはある!もう一体より大きい。翼がない!と特長を分析していた。

雌なのか?呼んでいたのは求愛の印だったのかもしれない。雌は眠っていた雄が育つのを待っていたんだ!と芹沢は推測する。

メスムートが向かっている先はサンフランシスコ湾だと分かる。

提督は、沖合で核攻撃を仕掛けようと言い出したので、グレアム博士は信じられない!と驚き、芹沢博士は、提督!ゴジラがその答えかもしれない。彼なら自然界の調和を保てると意見を言う。

しかし、リスクが大き過ぎると芹沢の提案を無視したステンツ提督は、核弾頭付きミサイルを西海岸に向かわせろと命じる。

市民の安全はどうなるんです?と言いながら、芹沢博士は懐中時計をステンツ提督に差し出し見せる。

時計は、1945年8月6日御前8時15分で止っていた。

広島の父の形見ですと芹沢は教える。

輸送機に乗っていたフォードは、軍曹から、ネバダにもう一匹現れたそうですと教えられる。

カリフォルニア州ローン・パインに到着したフォードは、電磁パルスの影響でここから先はヘリや飛行機は使えないことも知る。

観ると、軍は核ミサイルを列車で運ぶ計画のようだった。

それを知ったフォードは、自分は爆破係りで、あのミサイルは手動装置に切り替えられているようですが、最後に設定して時間がかかってるんじゃないですか?自分は専門で、カリフォルニアには家族が待っているんですと、その場にいた曹長に列車に載れるよう頼む。

病院で働いていたエルに、フォードから電話が入る。

ようやく、その電話を手に取ったエルは、フォードが無事だったことを喜び、サムも自分と一緒にいると伝える。

フォードは、明日までには帰れると思うので、怪獣は軍に任せて!と言い、愛してると告げる。

エルも切なそうに、私もと言って電話を切る。

怪獣の接近した地域の人々に避難命令が下る。

ミサイルの列車輸送が開始されたことを電話で聞いたステンツ提督だったが、芹沢は核使用を止めてくれと頼む。

ビキニでの核爆弾でもゴジラを倒すのは無理だったんですと芹沢は詰めよるが、同室していたハンプトン大佐は、昔の核爆弾とは威力が違う。今のメガトン級なら周囲一体全部跡形もなくなりますよとあざ笑う。

列車で輸送中の核ミサイルの爆破装置を確認したフォードは、こいつならアナログで爆破出来ると太鼓判を押すが、その時、向かっている山の向こう側で何かが燃え上がるような灯が見えたので、列車は停止する。

トレ・モラレス軍曹(ヴィクター・ラサック)が無線で、橋は無事かどうか確認してみる。

トンネルの前で、奥の様子をうかがっていたフォードは、無線から聞こえて来た悲鳴に驚く。

念のため、2人の兵士を同行させ、トンネルの向こうにある鉄橋を調べに行くことにする。

鉄橋は一応無事だったが、下を流れる川には、燃えた建物のような物が次々に流れて来ていた。

その直後、闇の中から巨大なムートの姿が出現する。

フォードたちは、鉄橋の線路上に寝そべり、すぐ脇を通過して行くムートに気づかれないように息を止める。

そこに近づいて来る列車の音が聞こえる。

フォードは通過して行くムートの雌の腹に、光る卵のような物が付いていることに気づく。

ムートが通り過ぎた後、接近して来る列車に合流しようと待ち構えていたフォードたちだったが、闇の向うから現れたのは、燃えている列車だったので、慌てて、みんな反対方向へ逃げ出す。

フォードは鉄橋から落ち、川の中に沈む。

鉄橋が破壊され、脱線して落ちかけた輸送列車をムートがくわえる様子を、水面を浮き沈みしながら、フォードは目撃する。

その頃、ゴジラの方は水中に潜り、その姿を消していた。

速度も異常に速くなり、もうこれ以上の追尾は無理だと言うことで、ステンツ提督は諦めることにする。

フォードは泥だらけになり、川の下流の岸辺に、他の瓦礫と共に打ち上げられていた。

一見死んでいるかのようだったが、突如目を開ける。

ふらふらと立上がると、同じく打ち上げられていた核ミサイルの回収作業を軍隊がやっている所だった。

作業をしていた兵士の1人が、よろめきながら近づいて来るフォードに気づき、衛生兵を呼べ!と叫ぶ。

エルが勤めていた病院では、接近して来る怪獣を避けるため、重傷者と子供たちの他の場所への移動を進めている所だった。

救助されたフォードは、核ミサイルをどこに運ぶのかと兵士に聞く。

沖合数十キロの所に餌を置くのだ。一隻、3兆だよと呆れながら教える兵士。

スクールバスが病院の前から出発して行く様子を観ていたエルは、一緒にいようと思っていたサムを避難させる事にし、先にバスに乗り込んでいた友人のローラに託す。

サンフランシスコ オークランド作戦司令部

フォードは、衛生兵の治療を受けていた。

そこに、ステンツ提督が到着する。

雄ムートと雌ムートが東から接近していますとの報告を受けたステンツ提督は、ゴジラは?と聞く。

1時間でここに来ますとの報告。

いくつかの箇所に設置されたモニター画像をチャックした提督は、金門橋の上にまだバスがいる!と指摘する。

橋では雨が降っている中、数台のスクールバスが、警察の停止板で止っていた。

バスに近づいて来た警官が、先に行ってくれ!と運転手に外から呼びかけるが、乗っている子供たちが騒がしく、運転手にはその声が良く聞こえない。

そこに、戦車が続々やって来て、海の方に砲台を向ける。

橋の下には、海軍の駆逐艦が集結していた。

その船の大きな汽笛で、サムのバスに乗っていた子供たちは一瞬黙り込む。

その時、大量の鳥がバスの脇を飛び過ぎて行く。

左舷方向200m!来るぞ〜!戦艦の乗組員たちが迫り来る巨大なゴジラの背びれに身構える。次の瞬間、ゴジラの長い尻尾が海面に持ち上がる。

浮上しようとするゴジラの背中で、密集していた駆逐艦が持ち上げられる。

撃て!との声が響き、大砲が発射されるが、弾は橋の方へ飛び、危険を感じたスクールバスの運転手は、強引に前進しようとバスを動かす。

しかし、大砲の弾が当たった吊り橋のメインケーブルが壊れ、橋の上に落下して来たので、思わずブレーキをかける。

橋の上にまだ民間人がいると気づいた駆逐艦は、一旦射撃を中止する。

しかし、すぐに射撃は再会され、海上に姿を現したゴジラは、橋のメインケーブルを掴もうとする。

やがて、ゴジラは金門橋を通過し、サムの乗ったバスも何とか無事橋を通り抜けることができる。

一方、軍は、サンフランシスコに無事到着していた核ミサイルの起爆スイッチを入れていた。

次の瞬間、ムートが発した電磁パルスの影響で、船も停止してしまう。

やがて、エルが立っていたサンフランシスコの街のビルに、戦闘機が落下して来て衝突する。

サンフランシスコ湾に集結していた駆逐艦の周囲にも、次々と戦闘機が落下して来る。

無事か!見えるか!狼狽する兵士たち。

上空から巨大な雄ムートが急降下して来たので、一斉射撃で応戦するが、ムートは一旦懐中に落下すると、起爆スイッチの入った核ミサイルを加えて、再び空へと舞い上がって行く。

町中で泣き声を上げる雄ムートに、雌ムートが近づいて来て、雄が加えていた核ミサイルをくちばしで受け取ると、自分の腹の卵にそのミサイルを接触させようとする。

二匹のムートは中華街で暴れ回る。

フォードは、避難テントを廻り、妻のエルと息子のサムを探していたが、そこにミサイルを奴に取られたとの連絡が来る。

軍のテントに集結したフォード等に、核ミサイル奪還計画をラッセル・ハンプトン大佐が説明しだす。

電磁パルスの影響を受けない高度9000mからパラシュートで降下し、地上に付いたらミサイルに接近すると言うものだった。

ミサイルはどこかと聞かれた芹沢博士は地下だろうと推測する。

起爆装置を解除するのにどのくらいかかる?と聞かれたフォードは、状況にもよりますが、60秒もあれば…と答える。

万が一の場合、プランBは?と聞かれたハンプトン大佐は、ミサイルを船に乗せ、出来るだけ街から遠ざける。今回の任務には救出作戦はないと念を押す。

それを聞いたフォードは、必ずやり遂げます!と覚悟のほどを伝える。

テントの外に出たステンツ提督は、先に外に出て状況を見守っていた芹沢博士に、あなたが信じているゴジラは、必ず勝てるんですか?と聞く。

愚かな人類は自然をコントール出来るとうぬぼれている。戦わせましょう!と芹沢は答える。

飛んで来た雄ムートが、町中の高層ビルの上に留り、高層ビルが倒壊する。

そこから逃げようとしたエルだったが、逆方向に立上がったのはゴジラだった。

退路も断たれたエルは、近くの待避壕の中に他の市民たちと共に入る。

扉を閉める寸前、ゴジラと雄ムートがぶつかり合う姿が一瞬見える。

フォードは街の上空に向う輸送機の中で、エルと写った写真を見つめていた。

同じ降下メンバーの中には聖書を手に祈りを捧げている者もいた。

やがてブザーが鳴り、機内が非常用の赤ランプに転ずる。

フォードは時が来たと悟り、酸素マスクを装着する。

後部が開き、雲海が見えたので、全員、足に信号用スモークを焚き、次々にジャンプする。

サンフランシスコの町中は、暗い雲に覆い尽くされているかのような状況だった。

降下して行く途中、歩くゴジラの姿がちらりと垣間見えた。

地上すれすれでパラシュートを開き、何とか地上に降り立ったフォードたちチーム1は東に向かう。

やがてミサイルの場所を特定する。雌ムートは卵を抱えていた。

フォードたちが向かう方向の霧の中から、突如顔を見せたゴジラが吼えると、逆方向に出現した雄ムートも吼える。

そんな中、フォードたちは前進を開始する。

やがて彼らは、巨大な陥没地帯を発見する。

そこに立っていた核ミサイルの上に雌ムートが生みつけた卵がびっしり張り付いていた。

側に近づいて、光っている卵を見上げたフォードは、その一つ一つに、ムートの幼虫が蠢いているのを確認する。

ミサイルの起爆装置のタイマーを確認した兵士は、後27分ですとフォードに知らせる。

その間も、ゴジラと雄ムートの戦いは続いていた。

ミサイルを地上に降ろし、何とか起爆装置の蓋を開けようとしたフォード等だったが、どうしても開かない。

やむなく、プランBに変更することを決断した彼らは、ミサイルを港で待機している船まで運んで行くことにする。

ミサイルが取り去られた後のムートのさなぎは、放射線が消えたせいか、それまで光っていた卵部分が消えてしまう。

フォードは、1人さなぎの近くに戻ると、道に転倒していたガソリントラックのタンクの蓋を外し、ガソリンを外に噴出させる。

そして、火を点じると、陥没地帯全体が爆発炎上する。

卵が燃やされていると気づいた雌ムートは、ゴジラとの戦いから離れ、卵の元へ駆けつけようとする。

雄ムートも、卵の方へと飛び立つ。

燃えている卵を観た雌ムートは、哀しむように鳴く。

その時、背後から迫って来たゴジラの尻尾の部分の背びれから発光しだし、その背びれの発光が徐々に頭部に移動し、頭部にたどり着いた時、ゴジラは口を開き、白熱光線を雌ムートに浴びせる。

降下部隊は、何とか、核ミサイルを船まで運び込んでいた。

エンジンをかけると、音に気づいたのか雌ムートが迫って来る。

一方、翼のある雄ムートがゴジラの首筋に食いつくと、ゴジラは、そのムートを思い切り振り回し、尻尾で側の高層ビルに叩き付ける。

雄ムートは絶命し、ぶつかったビルは倒壊する。

その下敷きになる形でゴジラも倒れ、エルたちが入っていた待避所も押しつぶされてしまう。

町中に残っていたフォードは、起き上がろうとするゴジラと目が合う。

船に乗っていた兵士たちは、雌ムートに襲撃されていた。

その時、近くにいた援軍が雌ムートに銃撃を浴びせるが、全く効果はなく、逆に襲撃される。

フォードは無人になった船にたどり着くと、エンジンをかけ、航行ナビを自動設定にする。

港を出ようとしたその時、雌ムートが迫って来る。

巨大なムートの顔が接近したので、死を覚悟したフォードは拳銃を向けるが、その時、雌ムートの身体が動き、首筋を背後からゴジラが噛んでいることが分かる。

ゴジラは、くわえて持ち上げた雌ムートの口を両手でこじ開けると、その口に自分の口を近づけ、白熱光線を相手の口の中に放射する。

雌ムートは首の部分で爆発し、ゴジラはちぎれた雌ムートの頭部を握ると、海に投げ捨てる。

フォードを乗せた船はサンフランシスコ湾から外界へ向かう。

ゴジラがゆっくり倒れるのを見ながら、体力の限界を越えていたフォードも、船内で気絶してしまう。

やがてフォードは眩しい光で目を開ける、

光は、飛来して来た救助ヘリのサーチライトだった。

フォードはロープで降下して来た救助隊員によってヘリに引き上げられる。

無人になった船は、やがて核爆発を起こす。

破壊され尽くしたサンフランシスコの街に、救援隊が駆けつけて来る。

彼らは、瓦礫の中で倒れているゴジラを見つける。

フォードは無事サムと再会し、彼の手を引いて、膨大な数の避難民が集まっている臨時救援ドームにやって来る。

外では、消防士たちが必死に埋もれた人々を救い出している中、芹沢博士とグレアム博士が、死んだかのようなゴジラをじっと見つめていた。

その時、突然、ゴジラの鼻孔が広がり、空気を吐き出すと、ゆっくり立上がり始める。

一方、救援ドーム内では、サムが勝手に走り出したので、フォードが呼び止めようとするが、サムが抱きついたのは、助かっていたエルだった。

エルは、抱きしめたサムの背後に近づいて来たフォードの姿も確認し、立上がるとしっかり抱き合うのだった。

海に向かって歩き出したゴジラに、市民たちの歓声が上がる。

奴は救世主なのか?

ゴジラは一声鳴くと、海に入って行く。

それをいつまでも見つめる芹沢博士。


 

 

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